樹脂サッシの市場動向

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樹脂サッシは、熱貫流率が通常のアルミサッシと比べて1000分の1と小さく、高い断熱効果が得られることから北海道、東北等の寒冷地で多く採用されている。

北海道において樹脂サッシの採用率は90%を超えているが、近年は主力の寒冷地においても新設住宅着工戸数の減少傾向が見られる。

2002年の戸建住宅における樹脂サッシの採用率は81.7%に達しており、戸建比率が圧倒的に高くなっている。戸建住宅の中でも、新築・既築別では新築需要が88.2%を占める。

■樹脂サッシにおける材料特性

樹脂サッシを構成する各種の枠材、各框(かまち)材に用いられる樹脂は、素材的には硬質ポリ塩化ビニルやABS樹脂等が使用される。どちらの樹脂でもよいが、防火性能の観点からは硬質塩化ビニルが適している。これらの樹脂を用いて押出成形や射出成形等によって各枠材や框材が成形加工されている。

樹脂サッシの防火性能向上を目指して、一般の樹脂サッシの構造を変更せずに、高い防火性能を発揮させるための技術開発が進められている。例えば、各樹脂サッシの部材(空洞内)に、エンプラ樹脂などを用いた熱膨張性耐火材料の耐火シート及び木質部材を挿入することにより、防火性能を向上させている。

■樹脂サッシの市場概要

2002年の国内樹脂サッシ市場は285億円であり、数量ベースでは104万窓(前年比99.0%)というトレンドを示している。2003年以降は、横這いで推移すると予測している。

関西や九州地方など関東以西での採用が少しずつ増加しているものの、新設住宅着工戸数の減少で全体市場は微減傾向で推移している。今後も大きな伸びは期待しにくく、100万窓程度の需要量で推移すると見ている。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
積水化学工業 一般の樹脂サッシの構造を変更せずに、防火性の高い樹脂サッシを開発  サッシ材は、樹脂部分の焼失による耐火性能の低下を防止するため、従来まで、型鋼部材と耐火性資材を装填する空洞の半分以上の領域が相互に重なり合う構造になっており、防火用として特別構造のサッシ材にする必要があった。
 同社が開発した防火性樹脂サッシは、長手方向に沿って空洞を有する樹脂製部材であり、縦枠材と横枠材を組み合わせて開口枠体をつくる。縦框(かまち=窓や障子などの細長い枠を形成する部材)材と横框材を組み合わせて障子を構成し、障子は窓ガラスを支持している。
 同社は、一般の樹脂サッシの空洞部分に、熱膨張性耐火材の耐火シートと木質部材を挿入することで、優れた防火性能を実現した。一般の樹脂サッシの構造を変更することなく簡単に防火性能を付与することができ、防火地域等で使用することができる防火性樹脂サッシを開発している。
 防火性樹脂サッシの空洞内に挿入される熱膨張性耐火材料の樹脂は、例えばPP、PE系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、PS系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が使用可能である。
 防火性樹脂サッシは、各樹脂製部材の空洞内に熱膨張性耐火材と、木質部材を挿入することにより、防火仕様によらない合成樹脂サッシに防火性能を付与できるため、防火地域等で使用することができる。
 耐火シートを構成する熱膨張性耐火材は仕切り面と平行に配置されており、火災が発生すると速やかに熱膨張性耐火材が膨張して防火性能を迅速に発揮できる。熱膨張性耐火材は空洞内面に粘着支持されるため施工が容易である。

■参入企業とメーカーシェア(2002年:国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
トステム 28
YKK AP 25
シャノン 20
カネカ 13
その他 14
合 計 100
出所:富士経済

上位に位置するトステム、YKK APは、樹脂サッシよりは断熱型アルミサッシの販売に注力していることもあり販売実績は横ばいで推移している。一方、専業のシャノンは関東以西地域への販売強化が功を奏し、実績を上げている。鐘淵化学工業は2004年9月1日に、株式会社カネカに社名を変更している。

その他には、三協アルミニウム工業、立山アルミニウム工業、新日軽等のサッシメーカーのほか、メルチェン、大信工業、北海道積水工業等の塩ビ系メーカーが含まれている。


■今後の動向

新設住宅着工戸数の減少やアルミと樹脂を組み合わせた断熱型アルミサッシに市場を奪われていることもあり、樹脂サッシ市場も厳しい環境下にある。

新設住宅着工戸数の減少をカバーするため、メーカー各社は北海道、東北などの寒冷地以外での販売を強化することで採用率が少しずつ上昇している。

参考文献:「2003年版 住設建材マーケティング便覧」
(2003年8月26日:富士経済)


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