ラジエータの市場動向

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ラジエータは、エンジンによって高温となった冷却水を放熱するための部品である。その構造は、エンジンからの冷却水をアッパータンクから放熱面積の大きいコアを通し、周辺空気の温度差で熱を取る。冷やされた冷却水はロアタンクを経て、再びエンジンに循環している。

ラジエータの主な構成部品は、冷却水が流れるパイプ、フィン(空気と触れる面積を多くして冷却効率を上げる)、冷却水を貯めるアッパータンクやロアタンクから組立てられている。他には、サーモスタット、冷却ファンなどの部品で構成され、冷却水の温度を一定に保つ仕組みになっている。

■ラジエータにおける使用材料の特徴

使用材料 販売数量シェア(%)
アルミニウム 98
その他 2
合 計 100
出所:富士キメラ総研

ラジエータのコア材料は主にアルミニウムと黄銅が使用されている。冷却効果や軽量化が図れることから、主流はアルミ製である。アルミは軽量であることと耐圧性や剛性の面で優れている。ただ、自己放熱性の面では黄銅より劣る。ラジエータタンクには成形性が優れているPA樹脂が用いられている。

黄銅(銅、亜鉛の合金で、別名真鍮と呼ばれており、加工しやすく錆びにくいという特性がある。)製のラジエータは、一部の大型商用車を除けば、100%近くアルミニウム製に代替されている。

ラジエータタンクにはPA(ポリアミド=ナイロン)樹脂が使用されてきたが、最近ではタンク部分までアルミ化する「オールアルミラジエータ」が注目されている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正 + 市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千台、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 10,800 10,900 10,800 10,800 10,700 10,600
前年比 100.9 99.1 100.0 99.1 99.1
市販輸出・補修 1,200 1,250 1,200 1,160 1,130 1,100
前年比 104.2 96.0 96.7 97.4 97.3
合 計 12,000 12,150 12,000 11,960 11,830 11,700
前年比 101.3 98.8 99.7 98.9 98.9
出所:富士キメラ総研

2003年のラジエータ市場(ライン純正+市販輸出・補修)は1,200万台となり、その販売金額は1,176億円である。ライン純正と市販との販売金額比率は90対10であり、ライン純正品が圧倒的に上回っている。2005年以降は微減傾向で推移し、2008年は1,141億円(2003年比3.0%減)と予測している。

1,200万台の中で85〜95万台が輸出台数であり、その仕向け先は近年、北米や欧州を抜いて中国向けの比率が上昇している。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
デンソー 融雪剤の付着でクラックが発生し難い、樹脂製ラジエータタンクを開発  寒冷地等で、融雪剤(凍結防止剤:塩化カルシウム等)が散布された道路を自動車が走行すると、まき上げられた融雪剤が樹脂製ラジエータタンクの表面に付着する。付着した融雪剤によって環境応力が働いて、割れ(クラック)が発生することがある。
 従来、クラック発生を防止するために、融雪剤に強いポリアミド612とポリアミド66のブレンド材で成形加工した樹脂製ラジエータタンクが使用されてきた。
 しかし、ポリアミド612はポリアミド66に比較すると高価であり、ポリアミド612を多量に使用する樹脂製ラジエータタンクの製品価格は高額になる。そこで同社は、融雪剤によるクラック発生を防止し、コスト低減が可能な樹脂製ラジエータタンクを開発した。
 樹脂製ラジエータタンクの部材構成は、アッパータンク及びロアタンクをラジエータに組み込んだ時、外側の部位(融雪剤が付着する可能性がある部位)に、耐久性のあるスキン樹脂層(ポリアミド66/ポリアミド612ブレンド材)が形成されている。
 また、スキン樹脂層は、コア樹脂層の全面を覆うように加工されている。スキン樹脂層は、コア樹脂層の外側表面だけでなく、内側表面にも形成されている。(下記の図を参照)



 従って、このスキン樹脂層で覆われているコア樹脂層は、融雪剤に対して耐性を考慮せずに安価なポリアミド66材料で成形加工ができる。このように、樹脂製ラジエータタンクのブレンド材料は、融雪剤によるクラック発生を防止し、コスト低減を可能にしている。

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
デンソー 47
カルソニックカンセイ 23
東洋ラジエータ 21
東京ラジエータ製造 4
その他 5
合 計 100
出所:富士キメラ総研

■今後の動向

ラジエータに対して軽量化する要望が多いことから、チューブやフィンの薄肉化は更に進むものと考えられる。環境問題の関点から、自動車の解体時において部品の材質が単一材料のほうがリサイクルしやすいこともあり、タンク部分も含めた「オールアルミ化」の傾向が、今後益々高まるものと予想される。

また、今後は欧州車に見られるようにラジエータとコンデンサーを一体化したフロントエンドモジュールの開発搭載も増えていくと考えられる。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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