ヘッドランプの市場動向

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ヘッドランプは自動車の前方部に光を照射するためのランプである。ヘッドランプの光源はハロゲン球が主流となっている。しかし近年ではハロゲン球より明るい白色光を発するHIDランプ(High Intensity Discharge Lamps:高輝度放電灯は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、 高圧ナトリウムランプの総称で、高効率・高輝度・長寿命なランプである)を採用するケースが増加している。

昨今では、高級車だけでなく標準的な車両にも採用されるケースが増加するなど、HIDランプは一般的なヘッドランプの一つになりつつある。

■ヘッドランプレンズにおける使用材料の特徴

使用材料 販売数量シェア(%)
ポリカーボネート 100
合 計 100
出所:富士キメラ総研

ヘッドランプ用レンズの使用材料は、100%耐候性グレードのポリカーボネート(PC)樹脂が使用されている。ヘッドランプのレンズにPC樹脂が採用されているのは、透明性、軽量性、耐衝撃性、耐熱性、成形性等が優れているためである。

レンズ材料にはPC樹脂が定着している。樹脂製であるため製造工程においてキズの発生を減らすことが、各社の課題となっている。現状では、クリーンルームなどの設備を導入してほこりの抑制を行っている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正+市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千個、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 20,900 21,000 20,900 20,900 20,800 20,700
前年比 100.5 99.5 100.0 99.5 99.5
市販輸出・補修 4,090 4,090 4,060 4,030 4,000 3,950
前年比 100.0 99.3 99.3 99.3 98.8
合 計 24,990 25,090 24,960 24,930 24,800 24,650
前年比 100.4 99.5 99.9 99.5 99.4
出所:富士キメラ総研

2003年のヘッドランプ市場(ライン純正+市販輸出・補修)は2,499万個となり、その販売金額は905億円である。ライン純正と市販との販売金額比率は83対17であり、ライン純正品が圧倒的に多くなっている。

ヘッドランプは、自動車には必ず2個取り付けられる製品であり、その需要動向は自動車の生産台数と比例する形で増減している。2005年以降は微減傾向で推移し、2008年は899億円(2003年比0.7%減)に低下すると予測している。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
帝人化成 色相が安定しているPC樹脂コンパウンドを開発  ポリカーボネート(PC)樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的強度等を有するため電気、機械、自動車、医療用途等に幅広く使用されている。
 PC樹脂は、長期間の屋外使用やランプ光源のカバー等に使用される場合、アクリル樹脂に比較すると耐候性が劣る。
 そこで、PC樹脂の耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が添加(例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPC樹脂とのコンパウンドは紫外線安定性が良好である。)されるが、紫外線吸収剤は、可視光の青色光を少なからず吸収するため成形加工品が黄色化する。
 同社は、成形品の透明性や色相(赤、青、緑など、色味の違い)が、長期間使用した後でも安定したPC樹脂コンパウンドを開発している。そのPC樹脂コンパウンドは、PC樹脂、環状イミノエステル及びベンゾトリアゾール化合物などからできている。物性的には、透明性及び色相に優れ、色相が成形加工後や長期使用後においても安定している。従って、良好な色相が求められる透明部材には有効に利用できる。
 例えば、ヘッドランプレンズなどの用途では、良好な耐紫外線性を保有しつつ、改良された色相が必要とされる場合がある。
 PC樹脂コンパウンドは、各種車両用透明部材(ヘッドランプレンズ、ウインカーランプレンズ、テールランプレンズなど)や照明灯カバー等に対して成形加工適性がある。特に、ヘッドランプレンズやグレージング材(車両用透明部材)向けの製品開発に適している。
 車両用グレージング材としては、フロントドアウインドウ(ウインドシールド)、リアドアウインドウ、クォーターウインドウ、バックウインドウ、バックドアウインドウ、サンルーフ及びルーフパネル等が挙げられる。

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
小糸製作所 54
スタンレー電気 26
市光工業 17
その他 3
合 計 100
出所:富士キメラ総研

小糸製作所とデンソーは、トヨタ自動車と共同で、水銀を使用しないディスチャージヘッドランプを2004年8月に開発し、トヨタ自動車の新型車「ポルテ」に採用されている。

スタンレー電気は、ドイツのHella社とヘッドランプを2005年10月に共同開発した。その試作品は、大型のLEDチップ4個を1パッケージに収めた白色LEDモジュールをロービーム用に5個、ハイビーム用には2個搭載されている。(2005年の東京モーターショーにおいて、多くのコンセプトカーに白色LEDヘッドランプが採用された。)

■今後の動向

自動車の国内生産台数がピークを過ぎており、従来型ランプの市場は海外に生産をシフトしているため、今後は国内生産が増えていくことは考えにくく、今後も横ばいで推移していくと見ている。

ランプメーカーが開発中のLEDヘッドランプは、2006年頃から商品化される見通しであり、HIDランプに続いて、より付加価値の高い製品へのシフトが期待される。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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