ワイヤーハーネスの市場動向

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ワイヤーハーネスは、電線のほか端子やハウジングなどのコネクタ、ジョイント、ジャンクブロック、ヒューズなどの保護装置、テープやコルゲートチューブなどの外装品を収束し組み上げた電線の束であり、電力供給や電子部品間の信号伝達の役割を担っている。

自動車の電子機器間の配線は1対1で行われているため、近年のカーエレクトロニクス化の発展に伴い、ワイヤーハーネスの使用量は増えている。車種によって大幅に異なるが、自動車一台平均1.5km~2km程度使用されている。また、コネクタの小型化は技術的な注目点となっており、20年前の製品と比べて約 1/6まで小型化している。

■ワイヤーハーネスにおける使用材料の特徴

ワイヤーハーネスには電気信号や電力を伝送する回路の接続信頼性、要求電圧電流の供給、隣接回路への電磁気的なリーク防止、電気ショートの排除などの機能が要求される。

各メーカーは積極的に、鉛フリー電線やハーネスの鉛フリー化などに取り組んでいる。特に、ハロゲンフリー電線の開発に力が入っている。現在、電線の被覆材にはPVC樹脂が使用されており、環境対策の観点からハロゲン系の被覆材が問題視されている。そのため、ハロゲンを使わずハロゲンと同等の性能を持つ被覆材料の開発が行なわれている。

高温環境下に配線されるワイヤーハーネスは高い耐熱性が要求される。ワイヤーハーネスのコネクタにはPOM樹脂が採用される場合がある。ポリアミド系樹脂コンパウンドは、多種類の材料と接着性が良好であり、電線被覆材との密着性が優れている。

■市場規模推移及び予測(2003~2008年:ライン純正+市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千Km、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 18,500 18,900 19,200 19,300 19,300 19,300
前年比 102.2 101.6 100.5 100.0 100.0
市販輸出・補修 11,600 11,600 11,700 11,700 11,800 11,800
前年比 100.0 100.9 100.0 100.9 100.0
合 計 30,100 30,500 30,900 31,000 31,100 31,100
前年比 101.3 101.3 100.3 100.3 100.0
出所:富士キメラ総研

2003年のワイヤーハーネス市場(ライン純正+市販輸出・補修)は3,010千Kmとなり、その販売金額は7,464億円である。ライン純正と市販との販売数量比率は61対39であり、ライン純正品市場が多くなっている。

2005年以降の販売数量は微増傾向で推移していくが、2008年(金額ベース)は7,370億円(2003年比1.3%減)に低下すると予測している。

ワイヤーハーネスは安定需要を形成しており、今後も自動車の電装品の1つとして、その需要は微増で推移していくと見ている。ワイヤーハーネスの需要を妨げる要因は、車内LANの採用やバイワイヤー技術、ツイストペアケーブルや光ファイバによる多重伝送技術などが挙げられるが、いずれも市場に浸透するまでには技術的な進展が必要とされている。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
オート
ネットワーク
技術研究所
熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形技術を開発  同社は、ワイヤーハーネスの分岐部を、密着性良く可塑化した樹脂材料中に埋め込み固定できる、熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形技術を開発した。
 従来、自動車などに配索されるワイヤーハーネスは、調尺(長さを調節)切断した電線の端末に端子を接続して、これら端子をコネクタに挿入し仮結束ハーネスを複数作成後、これら仮結束ハーネスを順次組立図版上に布線してから本結束され配策されている。
 ワイヤーハーネスの組立は、複数の電線が並行する部分に樹脂製テープを巻いて1本にまとめた幹線電線を形成する。この際、幹線電線から各電線が分岐する分岐部は、この分岐部から幹線電線の結束が解けないように固定する必要がある。
 このようなワイヤーハーネスの分岐部を固定するには、例えば、ホットメルト型ポリアミド系樹脂コンパウンドを用いて、分岐部を樹脂材料中に埋め込んで固定する方法などがある。
 ポリアミド系樹脂コンパウンドは、電線被覆材との密着性が優れているが、一般的なホットメルト型ポリアミド系樹脂コンパウンドは、熱に弱いという特性がある。そのため、高温環境下に配索されるワイヤーハーネスへの適用は、耐久性の面が課題となっている。
 同社は、その課題を解決するため、ワイヤーハーネス上に成形される熱可塑性樹脂成形部材とこの成形部材中に埋め込まれる部材との界面密着性が向上する熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法を開発した。金型キャビティ内にワイヤーハーネスを配置し、金型キャビティ内に熱可塑性樹脂材料を射出充填して固化させて、ワイヤーハーネス表面に熱可塑性樹脂成形部材を作成する成形方法である。
 この時、金型キャビティ内に射出充填する熱可塑性樹脂材料に、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂を使用することによって、従来よりも固定した分岐部の耐熱劣化性が得られる。従って、自動車のエンジンルーム内の高温環境下で、ワイヤーハーネスに応用することが可能である。

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
矢崎総業 39
住友電気工業 37
古河電気工業 13
その他 11
合 計 100
出所:富士キメラ総研

矢崎総業はアジア地域において、ワイヤーハーネスの生産拠点を拡大し2006年までに40箇所に増やす方針である。

住友電気工業は子会社の住友電装がワイヤーハーネスの生産を行っている。オートネットワーク技術研究所は、住友電気工業(60%)と住友電装(40%)の出資会社であり、車載用ワイヤーハーネスの研究開発会社である。その他のメーカーには三菱電線工業、フジクラなどが参入している。

■今後の動向

国内メーカーではコスト競争力を強化するため、ワイヤーハーネス製品の海外生産比率を高める傾向が強くなっている。東南アジア等で生産した製品の品質が優れてきており、日本国内向けに製造するアウトインの比率が益々高まっていく他、今後、東南アジアで製造し米国などに輸出するアウトアウトも増えていくと考えられる。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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