シリンダーヘッドカバーの市場動向

マーケット情報TOP
シリンダーヘッドカバーはロッカーカバーとも呼ばれ、シリンダーヘッドを覆う蓋である。耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性、防音・制振性が求められ、従来からアルミダイカスト製品が主体であったが、軽量化や低騒音化を狙い、PA樹脂やマグネシウム合金による代替が増えている。

鋼板からアルミ合金への素材転換が進んでおり、現状ではアルミ合金製が主流である。更に軽量化を進め、ディーゼルエンジン用では従来のアルミダイカストからSMC(シート・モールド・コンパウンド)プレス品の採用がみられる。近年、PA6・66ガラス(ガラス繊維強化)製の伸長が著しい。

■シリンダーヘッドカバーにおける使用材料の特徴

使用材料 販売数量シェア(%)
アルミニウム 83
PA(ナイロン) 12
その他 5
合 計 100
出所:富士キメラ総研

国内のシリンダーヘッドカバーはアルミダイカスト製が主流になっているが、海外では樹脂(GF/PA)製が多い。国内ではマーレ フィルターシステムズが樹脂製の製品を専門に取り扱っている。

その他の材料にはマグネシウム合金が使用されている。トヨタの2003年新型ハリアーはマグネシウム製のシリンダーヘッドカバーが採用され注目されている。冷間圧延鋼板やFRPは殆ど残っていない。

車体重量の軽量化を追求し、燃費向上やリサイクル性を高めるために、アルミダイカストに対してナノコンポジットPA6やマグネシウム合金の採用が注目される。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正+市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千本、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 10,400 10,500 10,400 10,400 10,400 10,300
前年比 101.1 99.0 100.0 100.0 99.0
市販輸出・補修 1.600 1.600 1.400 1.300 1.250 1.200
前年比 100.0 87.5 92.9 96.2 96.0
合 計 12.000 12.100 11.800 11.700 11.650 11.500
前年比 100.8 97.5 99.2 99.6 98.7
  出所:富士キメラ総研

2003年のシリンダーヘッドカバー市場(ライン純正+市販輸出・補修)は1,200万個となり、その販売金額は168億円である。ライン純正と市販輸出・補修との販売数量比率は87対13となり、ライン純正品が圧倒的に上回っている。2005年以降は微減傾向で推移し、2008年は161億円(2003年比4.2%減)と予測している。

2003年のライン純正業界の市場規模は1,040万個でアルミ製が8割以上を占めるが、軽量化や低騒音化を実現していることからナイロン製の比率が高まっており、将来的には使用量が逆転すると見られる。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
トヨタ紡織
(旧豊田紡織)
ヘッドカバー本体とバッフルプレートを接合できるシリンダーヘッドカバーを開発
 車両用エンジンのシリンダーヘッドには、樹脂製のシリンダーヘッドカバーが装着されている。
樹脂製シリンダーヘッドカバーの構成図
樹脂製シリンダーヘッドカバーの構成図
 シリンダーヘッドカバーを構成するヘッドカバー本体のシリンダーヘッド側には、シリンダーヘッドカバーのシリンダーヘッド側の空間を、ヘッドカバー本体側とシリンダーヘッドカバー側に仕切るバッフルプレートが設けられている。ガスケットには硬質樹脂が採用されている。
 このバッフルプレートとヘッドカバー本体との空間は、エンジンの燃焼室からピストンとシリンダとの僅かな隙間を経由して、クランクケース内にブローバイガス(エンジンの稼働時に、ピストンとシリンダの僅かな隙間から漏れる未燃焼ガス「燃料の燃え残り」である。)が漏れる流路ができている。
 ブローバイガスは、エンジンのクランクケース内部にジワジワ溜まると、オイルの酸化や金属部品を腐食させる場合がある。
 同社が開発したシリンダーヘッドカバーは、吸収性樹脂材料で形成した部位(固着リブ)の端部にレーザ光を照射して溶融させ、バッフルプレートをヘッドカバー本体に溶着・接合させている。
 同社はヘッドカバー本体とバッフルプレートの溶着作業時に、振動を抑える方式を採用しており、ヘッドカバー本体とバッフルプレートとの間に介在するガスケットを振動摩擦で消耗させることなく、ガスケットのシール性(封止性能)を確保している。その結果、溶着作業を容易にさせている。
 また、シリンダーヘッドカバーはヘッドカバー本体を備えている。このヘッドカバー本体はレーザ光に対して吸収性のある吸収性樹脂材料で加工されており、ポリエチレン樹脂(PE)やポリアセタール樹脂(POM)等の結晶性樹脂材料が適している。(但し、結晶性樹脂材料でもPAやPP樹脂等は、吸収性樹脂材としては適さない。また、結晶性樹脂でなくてもレーザ光の吸収率が高ければ、吸収性樹脂材として適用可能である。)

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
アーレスティ 27
アイシン精機 16
マーレ フィルターシステムズ 13
トヨタ自動車 11
その他 33
合 計 100
出所:富士キメラ総研

アルミダイカスト大手のアーレスティやアイシン精機、マーレが上位を占める。トヨタ自動車やダイハツ工業が内製を行っており、他には広島アルミニウム工業、ヒルタ工業などが参入している。

マーレ フィルターシステムズ(旧マーレテネックス)は日産系列の自動車部品メーカーであり、エンジン周りの樹脂製品の開発ではトップクラスの技術を保有している。2002年にマーレグループに参画。2005年12月には、社名を株式会社マーレ フィルターシステムズに変更している。

■今後の動向

シリンダーヘッドカバー市場は横ばい・微減傾向で推移すると見ている。使用材料の面ではアルミニウム製からナイロン製、更にはマグネシウム製へと代替することが予想される。特に、ナイロンは軽量化が実現できるほか、ビス止めによる組立て、部品点数の削減によりトータルコスト面でも安価であり、代替の最有力材料と考えられる。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


戻る