カーエアコンの市場動向

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カーエアコンは車室内の温度、湿度、空気の流れを最適な状態に保持するシステムである。また、炎天下の駐車状態や極寒時の野外放置状態からのスタートや走行中の気象状況の急変など、家庭用エアコンと異なり使用環境は厳しい条件下にある。

一般的にエアコンシステムは、HVAC(Heating Ventilation & Air Conditioning)ユニット、コントロールパネル、コンプレッサ、コンデンサから構成される。ここでは車室内の空気を冷やしたり暖めたりする核部品、エバポレータ、ヒータコアを含むHVAC(暖房、換気を含む空調全般)ユニットの市場を捉える。

■カーエアコンの関連製品、材料動向

カーエアコンに使用されている「冷媒(フロンガス)」は、地球温暖化に大きな影響を及ぼすため1995年に「特定フロン」の使用が停止され、オゾン層を壊さない「代替フロン」に切り替えられたが、これも、地球温暖化に影響を与えることが判明した。

カーエアコンに組み込まれている、例えば2段圧縮回転式コンプレッサには、フロン系冷媒が使用されているが地球温暖化係数が大きい。そのため近年では代替冷媒としてCO2、アンモニア、炭化水素等の自然冷媒が注目された。これら自然冷媒のうち、アンモニアは毒性があり、炭化水素は可燃性でありカーエアコンの代替冷媒ガスとして適さないが、CO2は安全性が高いため適性がある。

デンソーは代替フロンと比較して、地球温暖化への影響が1/1300と大幅に抑制できる「二酸化炭素」を冷媒としたカーエアコンを2002年に開発し、トヨタの燃料電池自動車に採用されている。

ヴァレオサーマルシステムズ(旧ゼクセルヴァレオクライメートコントロール)は、カーエアコンのスイッチを入れた時に発生する嫌な臭いを軽減するために、ワサビ成分の抗菌剤を使用したカーエアコンを開発している。

使用樹脂として、例えばカーエアコンのブロワーファンには、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂やPPEを改良したPA-PPE系樹脂コンパウンドを採用することで、成形品の変色を軽減し衝撃強度の低下を抑制する技術が開発されている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正+市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千台、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 8,300 8,500 8,400 8,300 8,200 8,000
前年比 102.4 98.8 98.8 98.8 97.6
市販輸出・補修 290 280 280 270 270 260
前年比 96.6 100.0 96.4 100.0 96.3
合 計 8,590 8,780 8,680 8,570 8,470 8,260
前年比 102.2 98.9 98.7 98.8 97.5
出所:富士キメラ総研

2003年のカーエアコン市場(ライン純正+市販輸出・補修)は859万台であり、その販売金額は2,503億円である。ライン純正と市販他との販売数量比率は97対3となり、ライン純正品市場が極めて多くなっている。

2005年以降の販売数量は微減傾向で推移しており、2008年(金額ベース)は2,285億円(2003年比8.7%減)に低下すると予測している。

カーエアコンはほぼ100%に近い割合で標準的に搭載されている。そのため、純正市場が全体の約97%を占めている。また、自動車生産台数の変動に応じてカーエアコンの市場も変化している。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
旭化成
ケミカルズ
衝撃強度等に優れたPA-PPE系樹脂コンパウンドを開発
 ポリフェニレンエーテル(PPE)は、機械的性質、電気的性質及び耐熱性が良好で、寸法安定性に優れているため幅広く使用されているが、単独では成形加工性に劣っており、これを改良するためにポリアミドを配合する技術が開発され、特に自動車分野では、エアコン用ブロワーファン、ボディパネル、フューエルフラッパー、ドアミラーシェル、ホイールキャップ等の用途で使用されている。
 また、自動車の大型成形部品(ボディパネル、フューエルフラッパー、ドアミラーシェル等)を生産する場合、型締め圧力が数千tクラスの大型成形機を使用するため、成形機のシリンダー内における樹脂の滞留時間が長くなり、特に耐衝撃特性が大幅に低下し易くなるという問題点があった。即ち、成形機内において、滞留後の樹脂は安定性が悪化するため改善が求められていた。
 そこで同社は、PPE樹脂以外に二酸化チタン、カーボンブラック、銅成分を含有し、ブロック共重合体の水素添加物を含んだPA-PPE系樹脂コンパウンドを開発している。その樹脂組成物の特徴は、加熱処理後の引張伸度や成形品の変色を軽減させることが可能である。さらには成形機内で、樹脂の滞留後に衝撃強度の低下を抑制できる。

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
デンソー 48
カルソニックカンセイ 13
ケーヒン 10
ヴァレオサーマルシステムズ 9
その他 20
合 計 100
出所:富士キメラ総研

デンソーは、欧州のデンソー・オートモーティブ・ドイツにあるカーエアコン施設を拡張し、カーエアコンの現地開発をさらに充実させる意向である。

カルソニックカンセイではカーエアコンのシステム化、軽量化、品質向上とコストダウンを図るため、独自技術を集結し、エアコン部品のモジュール化に取り組んでいる。

ゼクセルヴァレオクライメートコントロールは、2005年11月に社名を「株式会社ヴァレオサーマルシステムズ」に変更した。(フランスのヴァレオ社100%出資の資本構成になったことへの対応。)

その他のメーカーにはイオインダストリー、三菱重工業などが参入している。

■今後の動向

運転席と助手席の温度設定が独立して操作できる「左右独立温度コントロールフルオートエアコン」の採用や、前席側と後席側が各々独立して温度設定が可能な「前後独立温度コントロールシステム」の採用等、快適な室内空間の提供が行えるオートエアコンが、今後広がっていくと思われる。高級車を中心に採用されているが、今後は小型車にも普及していくと予想している。

また、カーエアコンの装着率が低い欧州や中国において、生産拠点の海外展開が積極的に進められている。中でもコスト比較を行った場合、日本国内で生産した自動車向けに、カーエアコンが海外生産されるケースも考えられる。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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