水ポンプの市場動向

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水ポンプ(別名:ウォーターポンプ)は、エンジン内部に冷却水を循環させる役割を担っている。エンジン温度を適正に保つために必要不可欠な部品であり、エンジン側面に取り付けられている。

クランクシャフトの回転力がVベルトを介して駆動力が水ポンプに伝達されるが、エンジンが停止している最中は冷却水を循環させることができない。

エンジンフロント回りの軽量化、低コスト化等を図るために、ウォーターポンプ・オイルポンプ・タイミングチェーンケース等を一体化したエンジンフロントモジュールが販売されている。

■水ポンプにおける使用材料の特徴

使用材料 販売数量シェア(%)
アルミニウム合金 80
その他 20
合 計 100
出所:富士キメラ総研

水ポンプのハウジングは従来鋳鉄が使用されていたが、軽量化を目的としてアルミダイカストに転換が進んでいる。ローターも同様にPPS、フェノールなどの樹脂系材料に代替されているほか、鋳鉄も使用されている。

冷却水をエンジンに送る役割を果たす羽根車(インペラ)に付いている羽根は、直線型と渦巻型の2種類があり、渦巻き型が主流である。

樹脂製インペラの回転中心部が、応力負荷によって樹脂部にクラックが発生するという問題点がある。インペラの製品コストを上げることなく、耐久性が向上するインペラ構造の技術開発が進められている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正 + 市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千個、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 16,800 16,900 16,800 16,700 16,600 16,500
前年比 100.6 99.4 99.4 99.4 99.4
市販輸出・補修 6,700 6,800 6,600 6,500 6,400 6,300
前年比 101.5 97.1 98.5 98.5 98.4
合 計 23,500 23,700 23,400 23,200 23,000 22,800
前年比 100.9 98.7 99.1 99.1 99.1
出所:富士キメラ総研

2003年の水ポンプ市場(ライン純正+市販輸出・補修)は2,350万個となり、その販売金額は369億円である。ライン純正と市販他との販売数量比率は72対28であり、ライン純正品が大きく上回っている。2005年以降は微減傾向が続いていくと見ている。2008年は353億円(2003年比4.3%減)と予測している

水ポンプは冷却水の循環に欠かせない部品であり、自動車の生産量推移に連動した形で市場を形成している。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
宇部興産 自動車エンジンルーム内の部品用途に適したPA樹脂コンパウンドを開発  近年、自動車のエンジンルーム内で使用される樹脂製部品は、エンジン性能の高性能化、高出力化に伴いエンジン冷却水の温度上昇やエンジンルーム内の温度上昇など、使用環境が過酷な状況となっている。
 また寒冷地域では、融雪剤として大量の耐道路凍結防止剤が散布され、エンジン部品はこれら薬剤にもさらされる。そこで、このような過酷な使用環境下でも高い強度、寸法安定性などの機能が維持できる素材に対する要請が高まっている。
 例えばポリアミド6、ポリアミド66に、芳香族成分(テレフタル酸など)を含有した高融点コポリアミド樹脂を配合することによって、耐融雪塩性が改善されるが、逆に流動性が悪化し成形性や成形品の外観性が低下することが知られている。
 そこで同社はポリアミド66に、芳香族ポリアミド樹脂及び耐衝撃材を特定量配合することによって、耐融雪塩性、耐衝撃性及び押出成形性を大幅に改善したポリアミド樹脂コンパウンドを開発している。
 同社が開発したポリアミド樹脂コンパウンドは、特にラジエタータンク部部品、ウォーターポンプ部品(ウォーターポンプハウジング、ウォーターポンプインペラ、バルブなど)、ラジエータとエンジンをつなぐ部品(パイプ等)など、自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品(用途)において応用適性が良好である。
出典:宇部興産の公開特許公報を参照

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
アイシン精機 39
日立ユニシアオートモティブ 19
山田製作所 13
葵機械工業 9
その他 20
合 計 100
出所:富士キメラ総研

トヨタ自動車向けを主体とするアイシン精機、日産自動車向けが自社生産の半数を占める日立ユニシアオートモティブ、ホンダ向けが主体の山田製作所が上位を占め、その他のメーカーには葵機械工業(本社:東大阪市)、久保田鐵工所(本社:広島市)などがあげられる。

アイシン精機は米国テネシー州クリントン市にアルミ系機能部品を生産する新会社 アイシン・オートモーティブ・キャスティング・テネシー(AACT)を2004年に設立。トヨタなど取引先の現地生産拡大に対応する。

日立製作所とトキコ、日立ユニシアオートモティブは、自動車機器事業を強化する目的から、2004年10月1日に合併し、日立製作所のオートモティブシステムグループとして一体運営を開始している。

山田製作所は軽自動車から大型車まで幅広いバリエーションを展開し、これらの製品を日本、アメリカ、イギリス、タイの4拠点で生産を行っている。

■今後の動向

自動車の軽量化を目的として、水ポンプの材質は鋳鉄製からアルミダイカストにほぼ代替されている。

水ポンプの基本技術はほぼ確立された部品である。また新規性や付加価値が見出しにくいこともあり、今後も自動車の生産台数に連動した形で市場が増減すると予測している。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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