ディスクパッドの市場動向

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ディスクパッドは、車輪と一体で回転する円盤(ディスクローター)を両面からはさむようにしてブレーキをかける部品であり、ブレーキパッド、ディスクブレーキパッドとも呼ばれている。よって、車輪1つに2枚(1セット)のディスクパッドが付けられている。

トラックは小型トラックのみにディスクパッドが付いており、中型・大型トラックはドラムブレーキであるので、ディスクパッドは使用していない。

ブレーキをかけるたびに摩耗していく部品である。耐用年数は休日のみの利用車の場合は6〜8年、タクシーやトラックの場合1年おきの交換が必要である。

■ディスクパッドにおける使用材料の特徴

1980年代までは磨耗材にアスベストが採用されていたが、1990年代以降は環境への配慮が高まりノンアスベスト化が進んでいる。

ディスクパッドはスチール繊維の配合比率により、セミメタリック材(スチール繊維が基材)、ロースチール材、NAO(Non-Asbestos-Organic)材の 3つに分類される。日本ではノンアスベスト、ノンスチ−ルのNAO材を用いたディスクパッドが主流である。

これら材料の長所としては、メタリック材は摩耗しにくいこと、ロースチール材は摩擦係数が高いこと、NAO材はブレーキノイズが少ないことが挙げられる。

ディスクパッドの材料には、銅、鋳鉄、黒鉛やアラミド繊維などのエンプラ製品が使用されている。フェノールレジンを結合剤として、10数種類の有機系、無機系材料で構成されている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2008年:ライン純正+市販輸出・補修)日本企業の販売数量ベース

(単位:千セット、%)
  2003年 2004年
見込
2005年
予測
2006年
予測
2007年
予測
2008年
予測
ライン純正 40,300 40,550 40,400 40,500 40,500 40,300
前年比 100.6 99.6 100.2 100.0 99.5
市販輸出・補修 17,250 17,300 17,100 17,200 17,200 17,300
前年比 100.3 98.8 100.6 100.0 100.6
合 計 57,550 57,850 57,500 57,700 57,700 57,600
前年比 100.5 99.4 100.3 100.0 99.8
出所:富士キメラ総研

2003年のディスクパッド市場(ライン純正+市販輸出・補修)は5,755万セットとなり、その販売金額は668億円である。2005年以降の全体市場はほぼ横ばい傾向が続いていくと見ている。2008年は667億円(2003年比0.1%減)と予測している。

2003年のライン純正と市販他との販売数量比率は7対3の構成になっている。市販輸出・補修市場の割合が高い理由は、摩耗交換が必要とされる部品であることや、規制緩和の影響を受けエンドユーザーがカーショップなどにおいて、ディスクパッドの交換が容易になったことが起因している。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
日清紡 ディスクパッドに適した粉体塗料用コンパウンドを開発  ディスクパッドに塗装される粉体塗料は、耐熱性、耐錆性が重視されるため、エポキシ樹脂主体の粉体塗料用コンパウンドが開発されてきたが、スコーチ(加熱)処理において問題点(塗膜の膨張)があった。
 一般的に、粉体塗料用樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が用いられている。従来、エポキシ樹脂を主成分とする粉体塗料は、耐熱性、耐錆性はあるが耐候性(変色性)に劣る。さらに、ポリエステル樹脂を主成分とする粉体塗料は耐候性(変色性)に優れるが耐熱性に劣るといわれている。
 そこで同社は、粉体塗料の平均粒径や各樹脂成分の配合量に着目し、配合粒子の平均粒径を小さくしたり、ポリエステル樹脂の配合量をエポキシ樹脂よりも多くするなどして、ディスクパッド用に塗装適性を高めた粉体塗料用コンパウンドを開発している。
 同コンパウンドの特徴は、ポリエステル樹脂と硬化剤、エポキシ樹脂などから構成されている。膜厚が薄くスコーチ処理性が良好であり、捺印性、耐油性、耐錆性、耐熱性が優れている。組成物中の粒子の平均粒径は15〜35μmであり、粒径が50μm以上の粒子は30質量%以下である。ディスクパッドへの塗装方法は摩擦帯電法が適している。

■参入企業とメーカーシェア(2003年:日本企業の販売数量ベース)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
曙ブレーキ工業 42
アドヴィックス 23
日清紡 21
日立化成工業 7
その他 7
合 計 100
出所:富士キメラ総研

曙ブレーキ工業のディスクパッドは、ローター、キャリパーにアルミ素材が採用されている。摩耗材を含めたブレーキ制御システム全般にわたるモジュール化を進めている。また、摩擦現象の解析、新材料技術を展開し乗用車用高性能パッドの開発を行っている。

アドヴィックス(本社:愛知県刈谷市)はアイシン精機のグループ会社であり、ディスクパッドの製造は、住友電工ブレーキシステム、アイシン化工に委託している。

その他のメーカーには日本ブレーキ工業(本社:東京都八王子市)などがあげられる。

■今後の動向

自動車メーカーによってディスクパッドに用いられる材料にバラツキが見られる。各自動車メーカーのニーズ(例えば、環境対応型の製品が求められている。)に対応したディスクパッドが製造されている。

環境対応仕様の製品は欧州発の概念であり、欧州向けにディスクパッドを供給する体制は、今後も現地メーカーが中心に対応していくと考えられる。

参考文献:「2004年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2004年4月21日:富士キメラ総研)


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