視線誘導標(デリネーター)の市場動向

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視線誘導標は、広義ではデリネーターの他に、スノーポール、線形誘導標示板など様々な種類がある。それらは、設置目的や場所により使い分けられている。ここでは最も広く利用されているデリネーター(又はデリニェーター)を調査対象とする。

デリネーターは自動車のヘッドライト光を、デリネーターの反射板に再帰反射させることで、ドライバーに道路の線形や障害物の位置を認識させるために、道路の路肩や中央分離帯などに設置される。視線誘導と注意喚起を促すなど、交通事故を防止するために事故多発地帯・危険箇所に設置されている。

反射型のデリネーターが一般的である。反射面に酸化チタン光触媒をコーティングしたり、回転羽根をつけた自掃型、太陽電池と一体になった自発光型の製品等も上市されている。

■用途動向(2003年ベース)

用途 販売量ウェイト(%) 主な設置場所
道路 100 ガードレール、ガードパイプ、ガードケーブル、高欄、縁石、
側壁、中央分離帯など
合 計 100
出所:富士キメラ総研
デリネーターは全て道路に採用されている。反射型が最も多く使用されているが、交通量の多い幹線道路、トンネルなどデリネーターが汚れやすい場所では自掃式が適しており、風車タイプと光触媒タイプが採用されている。(自掃式の光触媒タイプは太陽光線の届かないトンネル内では使用できない)

■デリネーターにおける材料特性

使用部材 主な使用素材
反射体 PC樹脂、アクリル樹脂
反射体取付枠 アルミニウム、鋼板、PE、ABS、FRP、PC、ウレタン、ゴム等
支柱 鋼管(STK400)、アルミニウム、PE、FRP、PC、PVC、PU等

デリネーターは主に反射体、反射体取付枠、支柱の3部材から構成される。反射体はPC樹脂が一般的に使用されており、アクリル樹脂は大型デリネーターで一部見られる。反射板取付枠はアルミニウムが一般に使用されている。支柱は一般的に鋼管が使用され、溶融亜鉛メッキ処理後に静電粉体塗装が施されている。

自動車のヘッドライト光を再帰反射させるため、反射体の裏面はプリズムカット(ダイヤカット)と呼ばれる多数の小さな凹凸が全面にわたり、規則正しく配列されている。凹凸の各一辺の長さは数mmで、隣接する面同士が約90度の角度をなす三角錐状の小突起からできている。

また反射体の反射性能を発揮させるため、光線透過率が高く成形性に優れ、透明度の高い樹脂(PC、PMMA等)が使用されている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2007年)日本メーカーの出荷量ベース

(単位:千基、%)
  2003年 2004年見込 2005年予測 2006年予測 2007年予測
販売数量 1,230 1,220 1,220 1,210 1,210
前年比 99.2 100.0 99.2 100.0
出所:富士キメラ総研
2003年のデリネーター市場は123万基であり金額では53.5億円である。2007年は52.5億円と推定している。 デリネーターは一定の補修・代替需要が発生するため、一定の市場規模を確保している。しかし、予算削減の影響から、取替え交換需要は必要最低限に抑えられており、市場は横這・縮小傾向で推移していく 。

2004年度から防護柵を設置する際に、景観に配慮することが原則化している。その中で、視線誘導への配慮として「視線誘導は視線誘導標など他の手段によって確保する」と規定されており、デリネーターにとっては、多少プラス要因に働いている。しかしデリネーター以外には、単にテープで視線誘導を行うケース、防護柵の支柱に予め反射体をつけておく方式等、コスト縮減をはかる方法もありデリネーター需要を押し上げる要因は少ない。

■研究開発・製品特性

企業名 技術開発 製品特性
積水樹脂 少ないLEDで広範囲に発光可能な、発光電力の少ない自発光型視線誘導標を開発
 同社が開発した自発光視線誘導標は、複数配置された発光部から前面側に光線を放射する視線誘導標である。発光部においては、LEDの前面に円錐状のレンズ(LEDからの光線を前面側に全反射させる)が配置されている。(下図参照)
 発光ダイオード(LED)から発光される光線を拡散させることなく、更に側方に拡散しようとする光線を、円錐状側面により平行光線とすることで、光束を外部に放射できるように設計されている。

透光性吸音材の断面構成

 LED(電球よりも光線の指向性が強く、発光寿命が長く省メンテナンス)単独の場合よりも広範囲に、光線の拡散による発光輝度の低下を抑制し、光線が視認される効率を向上し高い視線誘導効果を発揮している。
 ここでレンズの特徴は、透明であること、内部反射においてある一定の角度以上で入射する光線を全反射する材料で製作されている。PC樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用い、射出成形等によってLEDからの光線が前面側に全反射する形状に加工されている。
 また、電源は太陽電池で発電した電力のみを使用して発光させれば、商用電源等を必要とせず、配線等の手間も軽減できる。蓄電手段には、電気二重層コンデンサが適しており、頻繁な充放電が行われても蓄電装置のメンテナンスコストは少くて済む。

■参入企業とメーカーシェア(2003年国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
積水樹脂 38
吾妻商会 34
その他 28
合 計 100
出所:富士キメラ総研
道路関連資材を幅広く扱っている積水樹脂と道路関連では交通安全用品と景観材を扱う吾妻商会の2社が市場をリードしている。製品の差別化が難しく、シェア変動につながる要素は少ないため、この2強体制には変化は見られない。

■今後の動向

デリネーターは道路交通の安全性向上に貢献する製品として使用される。しかし、必ず設置しなければならない製品ではないため、予算削減の影響から新設・メンテナンス需要ともに設置数量を抑える傾向があり、当面、市場は縮小傾向で推移すると予測される。

参考文献:「2004年 道路関連市場の現状と将来展望」
(2004年4月28日:富士キメラ総研)


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