コンクリート補強用繊維の市場動向

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コンクリート補強用繊維には、鋼繊維(スチール、ステンレス)、ビニロン繊維、PP繊維、炭素繊維、アラミド繊維などがある。それらの短繊維を生コンクリートに分散させることによって、コンクリートの引張強度、曲げ強度、ひび割れに対する抵抗性、靭性などの改善を目的としており、その繊維補強コンクリートは、トンネル履工、法面保護工など土木、建築分野で広く利用されている。

補強用繊維はコンクリートを補強する目的で従来から使用されてきた。構造物の長寿命化が図れ、維持管理の簡略化につながるためLCC(ライフサイクル・コスティング)の削減にも貢献する。

■用途動向(2003年ベース)

用途分野 販売量ウェイト(%) 主な採用先
トンネル 75 一次吹付、二次覆工
コンクリート舗装 12 橋梁床版、空港舗装
法面保護 6 コンクリート吹付工法
その他 7
合 計 100
出所:富士キメラ総研
トンネル分野の需要が中心であり市場の3/4を占める。特に、トンネルのコンクリート剥落事故が相次いだことを受け、剥落防止対策向けの需要が高まっている。

使用素材として鋼繊維が主に採用されているが、2003年に日本道路公団がトンネル施工管理要領で補強繊維として合成樹脂繊維が認定を受けたことから、合成樹脂繊維の需要が増えている。

■市場規模推移及び予測(2003〜2007年)日本メーカーの出荷量ベース

(単位:t、%)
  2003年 2004年見込 2005年予測 2006年予測 2007年予測
販売数量 16,900 17,000 17,100 17,150 17,200
前年比 100.6 100.6 100.3 100.3
出所:富士キメラ総研
2003年のコンクリート補強用繊維市場は16,900tであり、金額では40億円と推定される。2007年は42.5億円(2003年比1.06倍)と予測している。

補強用繊維は主に新設構造物で採用されており、新設件数の伸びが見込めない中、急成長に起因するJH需要が終息すると市場は半減することも考えられる。そのため、今後は補修需要獲得に向けた用途開拓が重要といえる。

全体市場は横這い推移を示す中で樹脂系繊維は高い成長率で市場拡大している。しかし鋼繊維に比べ市場における位置づけは小さい。

■製品・開発動向

企業名 製品名 製品・技術特性
サンゴ コンクリート・モルタル補強用PET短繊維
「テレフタロンAC」
 同社は、耐食・耐候性と親水性に優れた廃ペットボトル(再生したPET樹脂)を原料とするコンクリート補強用プラスチック繊維を開発した。
 同プラスチック繊維は、神奈川県下請企業経営基盤強化事業による補助を受け、東京大学と神奈川県産業技術総合研究所の協力を得て開発されている。
 PET繊維補強コンクリートは、曲げ強度、靭性、耐久性(耐アルカリ性)が良好で、付着性(引抜き強度)も向上している。
 同社は、分散性、施工性に優れたPET繊維として、テレフタロンACの商品名で2004年4月から販売を開始している。

■参入企業とメーカーシェア(2003年国内ベース)

メーカー名 販売量シェア(%)
ブリヂストン 41
神鋼建材工業 36
その他 23
合 計 100
出所:富士キメラ総研
鋼繊維販売が主体の上位メーカー2社が市場の77%を占める。ブリヂストンは当初建築用途で実績を高めてきたが、その後土木用途にも注力し後発ながらトップシェアに至っている。

樹脂系繊維ではクラレがビニロン繊維の大手であり、PP繊維は萩原工業が上位メーカーである。その他メーカーには、多数の参入企業が挙げられる。

■今後の動向

コンクリート剥落事故が多発したことから、コンクリート構造物の安全性、耐久性に対する認識が年々厳しくなっている。

コンクリートの補強、剥離・剥落防止対策として、長期的な安全性を確保するため補強用繊維の採用量は増加している。但し、新設構造物での需要が主体であるため、主用途であるトンネル工事の案件が減っていることから伸び率は徐々に鈍化していく。

参考文献:「2004年 道路関連市場の現状と将来展望」
(2004年4月28日:富士キメラ総研)


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