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コンクリート用接着剤はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系などの種類があり、エポキシ系接着剤の需要が中心である。補強や補修を行なう工法が数多くある中で、接着剤などの高分子材料を利用する工法が主流である。
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道路関連では橋梁を中心に鉄筋コンクリート構造で建設された場所や、塩害、亜硫酸ガス、気温変動など様々な環境変化のもとで使用され、地震などの外力を受けた箇所はコンクリートの劣化現象を生ずる。その劣化した構造物の機能・性能を維持するためにコンクリート用接着剤が使用されている。
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■用途動向(2003年ベース) |
用途 |
販売量ウェイト(%) |
主な採用先 |
橋梁 |
71 |
床版や橋脚等のクラック補修剤、鋼板や繊維シートによる補強対策 |
その他 |
29 |
トンネル内装用タイル・パネルの貼り付け、地下鉄、PCタンク、ダム、他 |
合 計 |
100 |
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橋梁分野の需要がメイン用途になっている。コンクリート構造物の延命化、若返り化を図るため、コンクリート用接着剤のニーズが増加している。但し、1件当たりの使用量は案件にもよるが多い方ではないため、施工件数の割に使用量は多くない。
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■コンクリート用接着剤における材料特性 |
主な使用素材の種類 |
エポキシ系 ウレタン系 MMA系 ポリエステル系 EVA系 |
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【材料特性】 |
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道路関連構造物を含む土木分野ではエポキシ系接着剤がメインである。同接着剤は、接着強度、耐薬品性、耐水性などに優れ、コンクリート構造物の補修・補強用として汎用的に使用されている。
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ポリエステル系ホットメルト(加熱すると液状になり冷却すると元の固体に戻る)接着剤は、接着性、耐熱性、耐候性、耐溶剤性が良好であるため、これらの特徴を活かす分野で利用されている。
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■市場規模推移及び予測(2003〜2007年)日本メーカーの出荷量ベース |
(単位:t、%) |
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2003年 |
2004年見込 |
2005年予測 |
2006年予測 |
2007年予測 |
販売数量 |
24,000 |
24,200 |
24,400 |
24,600 |
24,800 |
前年比 |
― |
100.8 |
100.8 |
100.8 |
100.8 |
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● |
2003年のコンクリート用接着剤市場は24,000tであり、金額ベースでは580億円である。2007年は2003年と同様の規模と予測している。同接着剤は補修用に使用されており、補修・ 補強ニーズの増加に伴って市場が拡大してきた。
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但し、予算削減の影響から緊急性を要する箇所を先行して施工する傾向があり、近年は微増推移に留まっている。新設やリプレイス需要は減少しており、既設橋梁などのコンクリート構造物を延命化することが道路管理者の見識となっている。
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■研究開発・技術特性 |
企業名 |
技術開発 |
技術特性 |
三洋化成工業 |
耐久性、作業性に優れた防水技術を確立 |
橋梁や高架道路の防水材層に、ウレタンエラストマー(防水材)をスプレー塗布して防水施工する場合、加熱した舗装材を敷設する際に、舗装材との接着力が十分でないために、路面が浮き、剥がれ、クラック等が発生する場合がある。 同社は床版上に防水材を介して舗装材を敷設する防水工事において、防水材と舗装材を強固に固定するため、160℃における溶融粘度が1〜500Pa・sのホットメルト接着剤を防水材層の上に配置し、その上に加熱した舗装材を敷設する防水技術を開発した。
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【防水材、舗装材の構成図】 |
舗装材層 |
150〜190℃に加熱したアスファルトコンクリート |
ホットメルト接着剤 |
160℃における溶融粘度は1〜500Pa・sである |
防水材層 |
床版上にウレタンエラストマーをスプレー塗布 |
床版 |
コンクリート |
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ホットメルト接着剤に使用するベース樹脂は、非晶質ポリオレフィン樹脂、ジエン(共)重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂から選択できる。 この防水技術によって、(1)防水材と舗装材の接着力・塗工性が改善し、(2)乾燥工程等が不要となり、接着剤層を短時間で成形できる。(3)ホットメルト接着剤は、防水材と補装材を強固に接着するため、路面上の水が床版側へ移行するのを完全に阻止し、橋梁や高架道路の橋脚、橋桁等の劣化防止と耐久性が向上する。 |
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■参入企業とメーカーシェア(2003年国内ベース) |
メーカー名 |
販売量シェア(%) |
ショーボンド化学 |
38 |
コニシ |
27 |
東邦アーステック |
19 |
その他 |
16 |
合 計 |
100 |
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土木工事大手のショーボンド建設に接着剤を供給しているショーボンド化学が首位の座を占めている。2位のコニシはエポキシ系接着剤を中心に販売しており、エポキシ系接着剤分野で捉えた場合はトップメーカーに位置付けられる。
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参入企業は、他にはアイカ工業、セメダイン、日立化成ポリマーなどの接着剤メーカーをはじめ多くの企業が参入している。
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■今後の動向 |
● |
コンクリート用接着剤は主に補修・補強用途で使用されており、各道路公団や地方自治体では各々の施工方針の中で、橋梁などの延命化、若返りを推進しているなど、コンクリート構造物の耐震補強等を目的として補修・補強需要はコンスタントに発生すると見ている。しかし予算削減傾向が続く中、市場は横這い又は微増推移と予測している。
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参考文献:「2004年 道路関連市場の現状と将来展望」 (2004年4月28日:富士キメラ総研)
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