中国・アジアのポリカーボネート(PC)市場動向

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ポリカーボネート(PC)はその優れた特徴から、電気電子、自動車、精密機器、医療、雑貨などの幅広い分野で使用されている。PCの長所は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)が挙げられる。汎用エンプラの中ではバランスのとれた物性・特性を持ち、産業用途など広範囲に需要が拡大している。

■世界市場におけるアジアエンプラ市場の位置付け(2003年ベース)

市場区分 国・地域 構成比(%) 販売量 位置付け
アジア合計 日本 11.8 244千t 104.4万t
50.6%
中国 19.4 400千t
その他のアジア
(台湾、韓国、ASEAN)他
19.4 400千t
その他 欧州、米国 49.4 1,020千t 49.4%
世界市場 合計 100.0 2,064千t 100.0%
出所:富士経済
2003年PC樹脂の世界需要は206.4万tであり、そのうちアジアは104.4万tと世界需要の半数を超えている。特に中国は高い伸び率で拡大し40万tに達している。中国市場の伸びがアジア市場の伸びを牽引している。

日本を除くアジアでは2003年に80万tの需要を形成し、そのうち台湾、韓国、ASEAN、インドなどを合計すると40万tの需要となる。この中では台湾市場が大きく、台湾の奇美実業がPC樹脂の生産を開始している。

日本の2003年の内需は24.4万tである。これ以外に約14万tのPC樹脂がアジア中心に輸出されている。

■用途動向(PCのアジア市場における用途構成)

用途先 販売量
ウェイト(%)
主な用途例
電気・電子・OA 31 携帯電話(ボタン、液晶レンズカバー、ハウジング)、パソコンハウジング、電池のパックケース、液晶用部品(導光板、フレーム、反射シート等)、電源コネクタなど
光メディア 30 DVD、CD−ROM、CD−R、ミニディスクなど
シート・フィルム・包装 14 銘板、カーポートの屋根、液晶用拡散・反射フィルム、飲料水タンクなど
自動車・産業機器 ヘッドランプ、インナーレンズ、ドアハンドル、バンパ、フェンダ、ルーフレール、インパネ、クラスタ、コンソールボックス、カメラ・VTRカメラの機構部品、電動工具など
医療・保安 人工腎臓容器、三方活栓など
雑貨・その他 18 パチンコ部品、消火器ケースなど
合計 100  
出所:富士経済

2003年のアジアPC市場は、電気・電子・OA分野では、携帯電話のボタンや液晶レンズカバーなどにPCが使用されている。また、ポータブル機器は落下衝撃に強いことが要求され、ノート型パソコンハウジングにはPC/ABSが採用されている。光メディア分野ではPCの透明性が活かされ、CD、CD-R、DVD、MDなどの記憶媒体向けに供給されている。

シート・フィルム用途は、グレージング用途が主体である。環境安全問題からアクリルやPVCの代替が進み、銘板やカーポートの屋根に需要を伸ばし、液晶用拡散・反射フィルムなどの需要が近年拡大している。

自動車用途ではヘッドランプを中心にドアハンドル、ホイルキャップ、インナーレンズなど様々な部品で採用されている。

■PCのアジア市場規模推移及び予測(2003〜2008年)

(単位:千t、%)
  2003年 2004年見込 2005年予測 2006年予測 2007年予測 2008年予測
販売数量 1,044 1,174 1,304 1,455 1,597 1,755
前年比 112.5 111.1 111.6 109.8 109.9
出所:富士経済
2003年アジアのポリカーボネート市場は104.4万tの実績があり、2008年に175.5万t(2003年比1.68倍)に上昇すると予測している。金額ベースでは、2003年は3,160億円の実績があり、2008年には6,720億円(同2.13倍)に増加すると推定している。2004年以降、年率9〜12%増の伸びで需要拡大が見込まれている。

■参入企業とメーカーシェア(2003年)

【PCのアジア市場】
メーカー名 販売量シェア(%)
三菱グループ 32
帝人化成 26
出光興産グループ 12
ダウグループ 11
その他 19
合 計 100
出所:富士経済
2003年のアジアPC市場において、三菱グループは三菱エンジニアリングプラスチックスと韓国の三養化成(韓国の繊維・化学メーカーの三養社と三菱化学との折半出資合弁会社)が生産しており、出光興産グループは出光興産、出光興産・FCFC(FORMOSA CHEMICALS&FIBRE CORPORATION)が生産、ダウグループはダウ、LGダウ・ポリカーボネート(韓国LG化学と米国ダウ・ケミカルの合弁会社)、住友ダウが生産を行っている。

その他メーカーには、ジーイープラスチックス、バイエル、奇美実業グループ(奇美実業、旭化成ケミカルズ)が参入している。バイエルはアジアで低コスト生産を行い、主に中国と欧米需要に対応している。

■今後の動向

アジアのPC需要は難燃性に対する要求が高まっており、他の樹脂からPCに需要が移っている。また、日系メーカーではエコ対応グレードなど、付加価値品の需要が増大し市場拡大が期待されている。

中国の加工メーカーは加工技術を導入し、原料価格を抑え低コスト生産を行い、成形技術では日本に劣らない製品を製造するなど日系の加工メーカーにとっては脅威となっている。

参考文献:「2005年 中国・アジアプラスチック市場の現状と将来展望」
(2004年10月29日:富士経済)


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