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ポリアミド6(PA6)は、カプロラクタムを原料として重縮合反応することによって合成される。比較的吸湿性が高く強靭な特性を活かし、自動車や電気電子機器の成形加工品に広く採用されている。最近では自動車のインテークマニホールドに使用され、PA6の需要を押し上げている。
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■世界市場におけるアジアエンプラ市場の位置付け(2003年ベース) |
市場区分 |
国・地域 |
構成比(%) |
販売量 |
位置付け |
アジア合計 |
日本 |
13.3 |
125千t |
29.6万t 31.5% |
中国 |
7.4 |
70千t |
その他のアジア (台湾、韓国、ASEAN)他 |
10.7 |
101千t |
その他 |
欧州、米国 |
68.5 |
644千t |
68.5% |
世界市場 |
合計 |
100.0 |
940千t |
100.0% |
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PA6の世界需要は94万t(2003年ベース)である。またアジア地域におけるPA6需要は同29.6万tとなり、アジアが世界需要の1/3弱を占有している。特に中国需要の伸びは著しく、2004年の中国市場は8.1万tになると見ている。次に、その他のアジア市場の伸長率は世界需要の伸び率とほぼ同じ4%程度と見られる。
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2003年の中国市場の構成比は、国・地域別に見ると7.4%と小さいが、ターニングポイントになるのは自動車部品向け需要が本格的に立ち上がる2006〜2007年と見ている。
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■用途動向(PA6のアジア市場における用途構成) |
用途先 |
販売量 ウェイト(%) |
主な用途例 |
フィルム・押出 |
43 |
食品包装フィルムなど |
自動車部品 |
18 |
インテークマニホールド、シリンダヘッドカバー、エアクリーナー、ラジエータータンク、チューブ・リザーバータンク、キャニスター・ブレーキ系統部品など |
産業機械部品 |
8 |
電動工具部品など |
電気電子部品 |
6 |
各種コネクタ、スイッチ、コイルボビン等 |
その他射出 |
25 |
ボタン、食品容器、事務用いすの脚など |
合計 |
100 |
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PA6のアジア市場はフィルム・押出分野の需要が大きく、強靭性とガスバリヤー性の良さから、食品包装フィルムが主な用途先となっている。
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PA6は耐熱性、機械強度などに優れ、自動車部品用途に多く供給されている。中でもインテークマニホールドやその周辺部(エアーインテークモジュールシステム)において採用が拡がっている。
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■PAのアジア市場規模推移及び予測(2003〜2008年) |
(単位:千t、%) |
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2003年 |
2004年見込 |
2005年予測 |
2006年予測 |
2007年予測 |
2008年予測 |
販売数量 |
296 |
315 |
337.1 |
361.2 |
387.4 |
416.6 |
前年比 |
― |
106.4 |
107.0 |
107.1 |
107.3 |
107.5 |
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アジアにおけるPA6市場は2003年に29.6万tの実績があり、2008年には41.7万t(2003年比1.41倍)に上昇すると予測している。金額ベースでは2003年は1,270億円であり、2004年以降、年率6〜7%増の伸長率で推移し、2008年は1,940億円(同1.53倍)と急速な成長路線が描かれている。
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■参入企業とメーカーシェア(2003年) |
【PA6のアジア市場】 |
メーカー名 |
販売量シェア(%) |
BASF |
25 |
宇部興産 |
25 |
三菱エンジアリングプラスチックス |
15 |
東レ |
12 |
その他 |
23 |
合 計 |
100 |
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アジアのPA6市場ではBASFがトップシェアにランキングされている。同様に宇部興産はアジア市場で7.3万tを販売し25%のシェアを占めている。その後を三菱エンジアリングプラスチックス、東レが続いている。その他のメーカーにはユニチカなどが参入している。
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PA6を製造している各メーカーの生産能力(2004年における)はほぼ上限一杯の段階にきている。
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■今後の動向 |
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低コストが要求される中国市場では収益性を確保するために、コンパウンド製品等で付加価値を付けていくことが肝要である。
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食品包装用フィルムの需要業界では、樹脂(PA6)に対する技術的要求(透明性、延伸性)が高まっており、技術的に優位にあるメーカーが市場開拓を展開する上で有利である。
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参考文献:「2005年 中国・アジアプラスチック市場の現状と将来展望」 (2004年10月29日:富士経済)
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