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ポリエチレンテレフタレート(PET)はテレフタル酸とエチレングリコールの縮合重合によって合成される結晶性の熱可塑性飽和ポリエステル樹脂である。融点が約264℃で耐熱性、耐薬品性、電気特性、耐候性が優れている。GF−PETはPET樹脂をガラス繊維で強化したグレードであり、多くの工業用部品に使用されている。
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■世界市場におけるアジアエンプラ市場の位置付け(2003年ベース) |
市場区分 |
国・地域 |
構成比(%) |
販売量 |
位置付け |
アジア合計 |
日本 |
11.7 |
10千t |
4万t 46.8% |
中国 |
23.4 |
20千t |
その他のアジア (台湾、韓国、ASEAN)他 |
11.7 |
10千t |
その他 |
欧州、米国 |
53.2 |
45,5千t |
53.2% |
世界市場 |
合計 |
100.0 |
85,5千t |
100.0% |
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GF−PETの世界需要は2003年に85,500tであるのに対して、アジア地域における販売量は46.8%(4万t)を占める。次いで、日本市場は国内アセンブル企業の海外生産シフトの影響を受け、販売量の減少が続き1万tに低下している。
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一方、中国市場は需要の伸びが著しく2003年は2万tに成長しており、2001年から2003年までの年平均成長率は15%で増加している。2004年は2.3万t(前年比15.0%増)になると推定している。
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■用途動向(GF−PET のアジア市場における用途構成) |
用途先 |
販売量 ウェイト(%) |
主な用途例 |
電気電子部品 |
43 |
スイッチ、コイルボビン、プリント基板などの電子部品など |
家電・OA |
30 |
アイロン、電子レンジなどの家電部品など |
自動車部品 |
20 |
電装部品、外装部品など |
産業機器部品 |
7 |
雑貨、カメラ部品、ガスメーターなど |
合計 |
100 |
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電気電子部品では、電気特性、難燃性、外観性などの特性から、スイッチ、コイルボビン、プリント基板などの電子部品、アイロン、電子レンジなどの家電製品に採用されている。GF−PETの70%がV−0難燃グレードであり、そのうち40%がコイルボビン向けとなっている。
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自動車部品用途では、剛性、耐衝撃性などが優れていることから、電装部品や外装部品などに採用されている。
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■GF−PET のアジア市場規模推移及び予測(2003〜2008年) |
(単位:t、%) |
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2003年 |
2004年見込 |
2005年予測 |
2006年予測 |
2007年予測 |
2008年予測 |
販売数量 |
40,000 |
43,200 |
46,500 |
49,800 |
53,100 |
56,400 |
前年比 |
― |
108.0 |
107.6 |
107.1 |
106.6 |
106.2 |
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アジアのGF−PET市場は4万t(2003年数量ベース)に拡大し、2006年以降は年率6〜7%台の高い伸長率で市場拡大が予測されている。2008年には5.64万t(2003年比1.41倍)に上昇すると推定している。金額ベースでは2003年は226億円であり、2008年には329億円(同1.46倍)に増加すると予測している。
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■参入企業とメーカーシェア(2003年) |
【GF−PET のアジア市場】 |
メーカー名 |
販売量シェア(%) |
デュポン |
50 |
ウィンテックポリマー |
15 |
カネカ |
9 |
三菱エンジニアリングプラスチックス |
8 |
その他 |
18 |
合 計 |
100 |
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2003年のアジアGF−PET市場は、デュポンが2万tを販売し50%のシェアを獲得している。その他のメーカーには、東洋紡績、韓国の三養社などが参入している。
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デュポンが首位につけている理由は、アジア、米国、欧州の3極供給体制を確立していることが挙げられる。言い換えると、ユーザーのグローバルな製造シフトの展開に伴って、GF−PET製品をグローバルに供給できることがデュポンの強みとなっている。
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■今後の動向 |
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アジアのGF−PET市場は今後、中国への需要集中がさらに進むことが予測される。また、GF−PETは物性的には、剛性が非常に高いという特徴があり、金属やフェノール樹脂からの代替需要が期待されている。
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参考文献:「2005年 中国・アジアプラスチック市場の現状と将来展望」 (2004年10月29日:富士経済)
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