機能性高分子フィルムの市場動向 (総論)

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機能性高分子材料は光学、電気・電子、ガスバリア、強度等機械特性、耐熱機能などが優れており、幅広い分野で採用されている。

中でも高分子由来の機能性とコーティングや蒸着等表面処理技術を組み合わせた機能性高分子フィルム製品は、エレクトロニクス、食品、記録材料、医薬品、建材など様々な分野の製品開発を進展させ、製品の高機能化や付加価値の向上に貢献している。

フィルムに求められる機能要求は年々厳しくなっており、表面処理技術の高度化に加え、ベースフィルムのグレードアップを行うことで製品ニーズの高機能化対応に応えている。

■機能性高分子フィルムの機能分野別市場規模分析
 (世界需要ベース)

●機能分野別販売金額、伸長率、4年間の増減額 (単位:億円)
機能分野 販売金額 伸長率
08/04年
増減額
08−04年
2004年見込 2008年予測
表示材用 6,792 10,891 160.4% 4,099
半導体・その他 1,961 2,291 116.8% 330
ベースフィルム 554 761 137.4% 207
※(小計) (9,307) (13,943) (149.8%) (4,636)
バリア機能フィルム 645 735 114.0% 90
その他機能フィルム 1,035 1,241 119.9% 206
50品目合計 10,987 15,919 3,671 144.9%
出所:富士キメラ総研
※上記の(小計)はエレクトロニクス用フィルムの合計を示す。
ここでは機能性高分子フィルム54品目、5機能分野を調査対象に取り上げ、中でも50品目の市場規模の集計を行い、機能分野別の需要トレンドについて分析を行った。

機能性高分子フィルムの世界市場は、液晶ディスプレイ部材やバリア機能フィルムなどの成長分野に支えられ、2004年は1兆987億円(重複品目を考慮)に拡大した。

今後、FPDの大画面化、薄型化の進展に伴い、技術革新のスピードが年々加速しており、2008年は1兆5,919億円(同)の規模になると推定している。また、位相差フィルムや直下型バックライト拡散板など素材間の競合や代替の動きが激化していく。

2004年の販売量は34万628tに対して、採用樹脂の種類は、PE(LDPE、HDPE、特殊PE等)、PET、及びPP(OPP他)の3樹脂が最も多く、合計すると約22万t、65%を占める。中でもPETは、拡散フィルムなどのLCD部材やガスバリア食品包装用フィルム、その他機能フィルムを含め幅広い領域で応用されている。

本レポートでは、表示材用フィルム、半導体・その他用フィルム、ベースフィルム、バリア機能フィルム、その他の機能フィルムに分類し、合計54品目(数値集計の合計は50品目)を対象とした。
機能分野 対象の機能性高分子フィルム名及び製品名
表示材用(14) 偏光板、偏光膜保護フィルム(TACフィルム)、位相差フィルム、視野角補償フィルム、反射防止(AR/LR)フィルム、AG(アンチグレア)フィルム、プリズムシート、拡散フィルム、拡散板、反射フィルム、プラスチックフィルム基板、透明導電性フィルム(ITOフィルム)、異方導電性フィルム(ACF)、プロテクトフィルム(表示材用)
半導体・その他用フィルム(8) ペリクル、バックグラインドテープ、ダイシングテープ、TABテープ、ドライフィルムレジスト、リチウムイオン電池用セパレータ、フィルムコンデンサ用フィルム、キャリアテープ用カバーテープ
ベースフィルム(6) PCフィルム(光学用)、非晶性POフィルム、PVAフィルム(偏光フィルム用)、PIフィルム、LCPフィルム、PETフィルム
バリア機能(16) 二軸延伸PVAフィルム、PVDC系共押出フィルム、EVOH系共押出フィルム、PANフィルム、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム(アルミナ、シリカ、二元)、ONY系共押出フィルム、EVOH共押出OPPフィルム、PVDCコートフィルム、PVAコートOPPフィルム、アクリル酸系樹脂コートフィルム、ナノコンポジットコートフィルム、ナノコンポジットナイロンフィルム、ハイブリッドバリアフィルム、高機能鮮度保持フィルム、防湿フィルム(PCTFEフィルム)
その他の機能(10) 遮熱フィルム・シート、紫外線劣化防止フィルム(PVFフィルム)、セルフクリーニングフィルム(光触媒機能)、イージーピールフィルム、方向性フィルム(直線カット性)、防曇フィルム(OPP)、防錆フィルム、通気性フィルム、表面保護フィルム、生分解性プラスチックフィルム・シート
合計54品目  
( )内の数字は品目数を示す。

■機能性高分子フィルムの特徴、位置付け

機能性高分子フィルムは、一般のプラスチックフィルムに何らかの機能を付与することで、付加価値を高めたフィルムと位置付けられる。

これらの高機能フィルムを加工する技術は、(1)コート/塗布(2)材料特性の応用(3)フィルム多層化(4)蒸着(5)延伸等の物理的加工(6)微孔形成などの技術が挙げられる。

中でも、ポリマー系素材等のコート/塗布技術の採用頻度が最も多く、エレクトロニクス分野の機能性フィルムに応用されている。

また、フィルム単体では十分とは言えない物性を、ラミネートや共押出しなどのフィルム加工技術により補うことで高機能化している。食品包装などガスバリア領域などで応用されている。

機能性高分子フィルムが使用されている需要分野は、エレクトロニクス用途が41%、バリア機能フィルムが22%、その他が37%となっている。

■機能性高分子フィルムの方向性

バリア機能フィルムは、主に食品包装分野の需要に支えられ安定した市場を形成している。特に、食品に対する安全性志向の強まりから、これまでにも増してハイバリアな食品容器に対するニーズが今後も増えていく。

今後、エレクトロニクス領域やバリア機能フィルムなどの分野において、蒸着技術の応用が期待されている。また、微細な孔を形成した分離機能の付与、ナノ技術を用いた表面処理などが注目されている。

参考文献:「2005年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2004年11月30日:富士キメラ総研)


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