PVDCコートフィルムの市場動向

マーケット情報TOP
PVDCコートフィルムは一般にKコートフィルムとも呼ばれ、酸素バリア性(ガスバリア性)と水蒸気バリア性(防湿性)の両機能を併せ持ちPVDC(ポリ塩化ビニリデン)を用いてOPPやONY、PET、セロハン等のベースフィルムにコーティングした透明なバリアフィルムである。

基材フィルムの付加価値を高める目的で開発され、ラミネートや共押出し品よりも安価にバリア性が得られることから、食品用途を中心に採用されている。ベースフィルムとしてはOPP、ONY、PETの3種類が代表的である 。

■用途動向(2004年見込 国内需要)
【PVDCコートONYフィルムの場合】
用途名 販売量
ウェイト(%)
具体的用途例
畜肉・水産 29 畜肉・水産加工食品
菓子・珍味 21 エージレス封入包装やガス置換包装の多い菓子の内袋。(土産用が主体:半生菓子、カステラ、バウムクーヘンなど)
水物・粘調物 18 漬物、こんにゃく等の水物、味噌など
液体スープ類 13 液体スープ、小袋調味料(醤油、ソース、ドレッシング、マヨネーズなど)
その他 19 チーズ、コーヒー、他
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
以前は液体スープ類での採用が中心であったが、他のバリアフィルムへの代替が進み、長期的に見ると需要量は減少している。一方で、需要が増えているのが畜肉用途である。これは、2002年2月より日本ハムが主力製品の「シャウエッセン」「森の薫り」「ウイニー」の3品目でソルビン酸の使用を中止したことを背景に、当該フィルムの使用量が増加している。

■機能性高分子フィルムの材料特性

コートに使用されるPVDCはガスバリア性機能を発現する代表的な樹脂の1つであり、ガスバリア性と同時に水蒸気バリア性も優れている。主な特性は、防湿性やガス遮断性の他、保香性、防カビ性、変色・退色の防止、耐油性などが挙げられる。

ただ、環境汚染など社会問題を背景として、燃焼時に有害ガスやダイオキシンを発生させるということで敬遠され、Kコートフィルムに替わるバリアフィルムが販売されている。

【ベースフィルム別特徴】
タイプ 特徴 主用途
OPP 乾燥食品のガス充填包装からボイル用まで幅広く使用され、PVDCコートフィルムの主なフィルムとなっている。 ボイル食品、畜肉加工品
ONY PVDCをコートすることで、ナイロンの弱点である透湿性を補い、ナイロンが本来有するバリア性を確実に向上させている。 畜肉・水産、水物、菓子、液体スープ
PET 機械的性質、電気的性質、耐熱・耐寒性、耐薬品性、耐油性、耐水性、耐湿性、透明性、保香性、寸法安定性などの諸特性に優れ、各特性のバランスが良いフィルムである。 スナック菓子

【PVDCコートフィルムの部材別素材別需要構成比】
構成部材名 使用樹脂・素材名 需要量の構成比(%) 需要傾向
ベースフィルム  OPP 59 減少
 ONY 20 上昇
 PET 3 減少
コート層  PVDC 18 減少
合 計 100  

■市場規模推移及び予測(2004〜2008年)国内需要

【PVDCコートONYフィルムの場合】 (単位:t、%)
年次 2004年見込 2005年予測 2006年予測 2007年予測 2008年予測
販売数量 3,100 3,200 3,300 3,350 3,350
前年比 103.2 103.1 101.5 100.0
出所:富士キメラ総研
2004年のPVDCコートONYフィルムの国内市場は 3,100t、34.2億円である。2008年は36.5億円(2004年比1.07倍)と予測している。

2004年のPVDCコートフィルム(OPP、ONY、PETトータル)の市場規模は12,550t、93億円であり、ピーク時に比べOPPとPETは3〜4割減、ONYは半減していると推定される。

OPPとPETベース製品が縮小傾向で推移しているに対し、ONYベースフィルムは、畜肉加工品用途で需要が増加しており、2001年を底にプラスに転じている。2002年に同用途で包材の変更の動きがあり、バリア性が高く、耐ピンホール性のある透明バリアフィルムとしてPVDCコートONYフィルムが採用された。

■参入企業とメーカーシェア(2004年見込 国内需要)

【PVDCコートONYフィルム】
メーカー名 販売量シェア(%)
ユニチカ 52
東洋紡績 29
ダイセルバリューコーティング 13
興人
合 計 100
出所:富士キメラ総研
参入メーカーは上記の4社に限定される。各社とも非PVDC系バリアフィルムは品揃えているが、当該フィルムに対する根強いニーズがあることから生産が続いている。

■今後の動向

脱塩素化に対する風潮は沈静化しているが、積極的にPVDCバリアフィルムを採用する動きは少ない。ONYベースの製品では、一部の用途で需要増加が見られたが特需的な位置付けといえる。

参考文献:「2005年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2004年11月30日:富士キメラ総研)


戻る