フィルムコンデンサ用フィルムの市場動向

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コンデンサは電気を蓄える受動部品であり、基本構成は2枚の金属板を向かい合わせ、その間に誘電体(絶縁体)をはさんだ構造になっている。その特性は2つあり、電気を蓄えたり放出したりする蓄電池としての性質、そして交流は通すが直流は通さないという性質を備えている。

前者の用途は、電源の平滑やタイマー回路、マイコンなどのバックアップ回路などがあげられ、一方後者では、特定周波数の抽出、ノイズを除去するフィルター回路として用いられる。

フィルムの薄葉化技術の進歩により、従来、紙などの絶縁体に替わって、高分子フィルムがフィルムコンデンサの誘電体として用いられるようになった。

■用途動向(2004年見込 国内需要+輸出)

用途名 販売量ウェイト(%) 具体的用途例
産業用機器 49 スイッチング電源、携帯電話、ADSL、電話交換機、他
AV機器 25 TV、DVD、DVC、スピーカネットワーク、他
OA・家電機器 20 照明、家電機器、事務機器、他
自動車 ウインドウ、エアコン、カーナビゲーション、他
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
スイッチング電源を中心とする産業用機器向けが半数近くを占めている。AV機器用途は、海外市場では拡大が見込まれるが国内では減少傾向にある。自動車用途は、数量ベースでのウェイトはそれほど大きくないものの、単価の高さから金額ベースでのウェイトは10%以上を占める。

電子電気化に伴う高周波・高電圧化に対応し、かつ、自動車特有のニーズでもある温度特性や長寿命化などに応えられる部品として、優れた特性を持つフィルムコンデンサの搭載個数の増加が期待されている。HIDランプのような高電圧が要求される電装品にはフィルムコンデンサが採用されている。

■機能性高分子フィルムの材料特性

使用部材の素材構成 (2004年見込 国内需要+輸出)
使用部材名 使用樹脂・素材名 使用素材の重量構成(%)※ 備考(採用理由、等)
ベースフィルム PET 57 安価、耐熱性、等
PP 29 誘電正接、絶縁抵抗、等
PPS、PEN他 14 耐熱性、寸法安定性
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
※当該製品の大きさは様々であり重量換算は難しいが、ここでは約0.1g/個に設定して重量換算した。
誘電体となるフィルムには、PET、PP、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PS等の種類がある。PPはPETより高性能を求める際に採用され、両者はリードタイプのフィルムコンデンサに多く採用されている。

PEN(ポリエチレンナフタレート)はPETと物性が似ているが、耐熱性などでPETを上回る特性を持っており、主にチップタイプに採用されている。チップタイプではより高性能な特性が求められるケースでPPSが選定される。チップ化が進む中、耐熱性に優れているPPSの需要が徐々に増えている。

■市場規模推移及び予測(2004〜2008年)国内需要+輸出

有機フィルムコンデンサと金属化フィルムコンデンサの合計     単位:百万個、%
年次 2004見込 2005予測 2006予測 2007予測 2008予測
販売数量 3,540 3,450 3,370 3,280 3,200
前年比 97.5 97.7 97.3 97.6
出所:富士キメラ総研

フィルムコンデンサ市場(国内需要+輸出、但し海外からの輸入分は含んでいない)は、2004年は35億4,000万個、322億円と算出している。2008年の販売金額は292億円に縮小すると見ている。

有機フィルムコンデンサと金属化フィルムコンデンサの割合は、数量ベースでは約69%を有機フィルムコンデンサが占める。金額ベースでは金属化フィルムコンデンサが約70%を占めている。

フィルムコンデンサ市場は、オーディオ機器などユーザーの海外生産展開及びコンデンサ自体の海外生産の進行によって、国内需要の縮小が顕著となっており、2004年以降の伸長率はマイナス成長を示している。


■参入企業とメーカーシェア(2004年見込 国内需要+輸出)

メーカー名 販売量シェア(%)
松下電器産業
(松下電子部品)
47
ニッセイ電機 16
ニチコン
日立エーアイシー
その他 26
合 計 100
出所:富士キメラ総研
はくタイプ、メタライズドタイプのどちらにおいても松下電器産業が首位を占めている。チップタイプに限ってみると95%を同社が占めると見られる。国内フィルムコンデンサ市場は、各メーカーのシェア構造に大きな変化は無い。

なお、松下電器産業は2004年10月にフィルムコンデンサ事業を子会社の松下電子部品に移管。コンデンサ事業の経営資源を松下電子部品(2005年4月1日、パナソニック エレクトロニックデバイス「PED」に社名を変更)に集中し、グループ全体の経営効率化を図っている。PEDが承継会社となっている。

■今後の動向

アプリケーション機器の海外生産活動が拡大するにつれて、フィルムコンデンサの国内市場は縮小傾向で推移しており、今後も減少推移が続いていく。但し国内の自動車用途は、自動車の電子電気化により需要拡大が見込まれている。

一方、世界市場で捉えた場合、情報関連機器の需要増加やハイブリッドカー、電気自動車など自動車のエレクトロニクス化の進展に伴って、フィルムコンデンサの世界市場は微増傾向で推移すると見ている。

参考文献:「2005年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2004年11月30日:富士キメラ総研)


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