光学用PCフィルムの市場動向

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主に位相差フィルム(液晶画面の画像をより鮮明に見やすく表示させるために用いる)向けに使用される光学用ポリカーボネート(PC)フィルムを取り上げる。同フィルムは汎用系と芳香族系に分類される。

芳香族PCは汎用PCと比較するとTg(ガラス転移温度)が高く、波長分散を自由に制御できるなどの機能特性を持っており、複屈折率を制御することで視野角の拡大やコントラスト向上に寄与できる。従来、2枚使いのPCフィルムが1枚で済むなど、多様な特徴が評価され引き合いが増えている。

■用途動向(2004年見込 世界需要)

用途名 販売量
ウェイト(%)
具体的用途例
位相差フィルム 96 STN液晶位相差板、VAモードTFT液晶位相差板
その他 光ディスク用カバーレイヤー、FPD向け光学補償フィルム
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
光学用PCフィルムは、LCDパネル部材である「位相差フィルム」が全用途の96%を占める。各種延伸配向処理を行なうことにより、多様な位相差フィルムの生産が可能となる。

今後は、大型LCD向けやブルーレイディスク(次世代大容量ディスク)のカバー層など、新たな用途拡大が見込まれている。

■機能性高分子フィルムの材料特性

使用部材の素材構成 (2004年見込 世界需要)
使用部材名 使用樹脂・素材名 使用素材の
重量構成(%)
備考(採用理由、等)
基材フィルム ポリカーボネート(PC) 100 耐熱性、透明性、光学的等方性、透湿性、寸法安定性
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
ベース材料のPC樹脂は、耐熱性、光学特性(透明性)、寸法安定性などに優れており、中でも芳香族PCは、汎用PCや非晶性POに比べ、高い耐熱性(Tg:210〜230℃)、低い吸水率(水分率 0.2%)を保持している。

■市場規模推移及び予測(2004〜2008年)世界需要

単位:t、%
年次 2004見込 2005予測 2006予測 2007予測 2008予測
国内販売数量 510 580 650 720 800
前年比 113.7 112.1 110.8 111.1
海外販売数量 60 60 65 70 70
前年比 100.0 108.3 107.7 100.0
世界市場 570 640 715 790 870
前年比 112.3 111.7 110.5 110.1
出所:富士キメラ総研
光学用PCフィルムは、位相差フィルム(偏光板)をメインとしたLCD用途に使用されており、2004年(見込)の世界市場は、販売量で570t、販売金額では61億円規模と推定している。また2008年は、販売量が870t、販売金額では88億円規模と予測している。

位相差フィルムは、液晶テレビ、モニタ向けのTFT-LCDにおいて視野角改善や輝度向上のために使用されており、2005年以降の世界市場は年率10%台の成長を続ける見通しである。

■参入企業とメーカーシェア(2004年見込 世界需要)

メーカー名 販売量シェア(%) 製品名
帝人化成 75 ピュアエース(汎用PC)、ピュアエースWR(芳香族PC)
カネカ 16 エルメック
その他  
合 計 100  
出所:富士キメラ総研
7割強のシェアを占める帝人化成がトップメーカーであり、独自のポリマー設計、製膜、延伸などの技術的な強みを活かし、さらなる事業拡大を図っていく方針である。

帝人化成の位相差フィルム「ピュアエースWR」は、より位相差の広帯域性に優れているため、反射光を可視光の広い範囲で押さえることができ視認性を大幅に改良できる。

■今後の動向

LCDディスプレイ部材の位相差フィルムを主用途とする光学用PCフィルムは、LCD端末機器の好況に連動し順調に市場規模を拡大させている。

大型LCDパネルを使用する液晶テレビやモニタなどは今後も裾野の拡大が見込まれ、当該市場も非晶性POフィルムなど競合材料は存在するが、ユーザーからの引き合いは強く需要を伸ばしていくと思われる。

参考文献:「2005年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2004年11月30日:富士キメラ総研)


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