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ICカードの高機能化、多機能化に対応するために、カードには多くの情報を読み書きするだけでなく、アプリケーションを書き込む動きなどもあり、ICチップの高機能化、高密度化の要求が高まっている。高機能という面では、インターフェースにおいても複数化が求められている。
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ICカードは通信方式により、接触式と非接触式を併せ持ったハイブリッドカード及びデュアルインターフェースカードの2種類のカードが知られている。ハイブリッドカードは、接触/非接触それぞれにICチップを持ったカードである。
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デュアルインターフェースカード(コンビネーションカードとも呼称される)は、1個のICチップで接触/非接触の両方の機能を満たすカードであり、コスト面でハイブリッドカードよりも有利とされているが採用件数は少ない。
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■デュアルインターフェースカードの製造方法 |
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デュアルインターフェースカードの製造は、タブ基板(表面に外部電極が形成された)の裏面中央部にICチップ(半導体チップ)を実装し、その接合部とICチップを封止樹脂で封止する。
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一方、非接触通信用のアンテナ基板の両側に接着性シートを介して、一対の外装シートを積層後、加熱プレスにより製作されたカード本体を準備する。
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アンテナ基板は、例えばポリイミド等の耐熱性フィルムの両面にアンテナ配線などの配線パターンにより構成される。このカード本体の表面部位に、ICモジュールを収容する凹所を設け、そして凹所の段部に露出した配線パターンに対して、タブ基板を導電ペーストで電気的に接続する。同時に熱硬化性樹脂等の接着剤を用いてタブ基板の周縁を凹所(段部)に接着し、カード本体と一体化させることにより、デュアルインターフェースカードが製作される。
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■ICチップ(接触、非接触式)の市場規模推移 2003〜2008年(国内需要) |
単位:百万円、% |
タイプ |
2003年 |
2004見込 |
2005予測 |
2006予測 |
2007予測 |
2008予測 |
接触 |
6,500 |
8,000 |
9,500 |
11,000 |
12,000 |
12,000 |
前年比 |
− |
123.1 |
118.8 |
115.8 |
109.1 |
100.0 |
非接触 |
2,500 |
2,800 |
4,000 |
4,500 |
4,500 |
4,500 |
前年比 |
− |
112.0 |
142.9 |
112.5 |
100.0 |
100.0 |
合計 |
9,000 |
10,800 |
13,500 |
15,500 |
16,500 |
16,500 |
前年比 |
− |
120.0 |
125.0 |
114.8 |
106.5 |
100.0 |
出所:富士キメラ総研 |
注:ICチップはICカード(接触、非接触、接触/非接触一体型デュアルインターフェース)に搭載されるが、上表ではデュアルインターフェースICチップやFeliCa搭載携帯電話向けICチップは非接触に含まれている。 |
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ICカードに使用される接触、非接触、接触/非接触デュアルインターフェースICチップの国内市場規模は2004年(見込)に数量では7,700万個(前年比124.2%)、金額では108億円(同120.0%)となっている。
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接触ICカードでは銀行系クレジットカードを中心に、ETCカード、B-CASカード、3G携帯電話用UIMカード等がそれぞれ順調に増加しており、ICチップの市場拡大要因となっている。
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非接触では、FeliCaを使った交通カードが主要都市を中心に普及過程にある。普及の先駆けとなったJR東日本「Suica」は、2004年からはSuica電子マネーとしてショッピングサービスを開始し第二フェーズに入っている。
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■参入企業と販売シェア(2003年国内需要) |
【接触式ICチップの場合】 |
企業名 |
販売量シェア(%) |
STマイクロエレクトロニクス |
33 |
東芝 |
28 |
ルネサステクノロジ |
26 |
その他 |
13 |
合 計 |
100 |
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接触式ではSTマイクロエレクトロニクス、東芝、ルネサステクノロジの3社によるシェアが高くなっている。STマイクロエレクトロニクスでは、金融分野での早期導入や価格戦略が功を奏しトップシェアを確保している。
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東芝は主に銀行系クレジットカード、B-CASカード、ETCカード向けなどの実績である。
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ルネサステクノロジは銀行系クレジットカードの他にはETCカード向けの実績が多くなっている。
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■今後の動向 |
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特に接触/非接触一体型ICカード市場は、住民基本台帳カードの大部分と一部の社員証、公共分野の認証用途等で市場が形成されている。交通分野や電子マネーでインフラ整備が整いつつあるFeliCaと接触式との1体化が図られており、今後の用途開発によっては接触/非接触デュアルインターフェースICチップの需要が加速することも考えられる。
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参考文献:「カード市場マーケティング要覧 2004年版」 (2004年7月28日:富士キメラ総研)
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