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厚生労働省の「健康保険法施行規則及び国民健康保険法施行規則」が2001年2月に改正され、従来、紙ベースで1世帯に1枚交付されていた健康保険証(健康保険被保険者証)が、2001年4月からカード様式で1人に1枚、個人カードとして交付されることになった。但し、カードの種類(材質)は規定されておらず、ICカード以外には紙、プラスチック、磁気ストライプ方式のカード導入も可能である。
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健康保険証のカード化は事務処理コストを削減すると共に、患者情報の記載ミスによる過誤請求を防止することができる。ICカードが普及して診療情報の蓄積が進んでいくならば、診察時に過去の診療データを参照することによって重複検査、重複投薬などが回避でき、結果として医療費の無駄を省くことができる。
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■健康保険証カードの市場規模推移 2003〜2008年(国内需要) |
【発行数量推移】
単位:千枚、% |
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2003年 |
2004年見込 |
2005年予測 |
2006年予測 |
2007年予測 |
2008年予測 |
発行数量 |
100 |
100 |
150 |
200 |
300 |
400 |
前年比 |
− |
100.0 |
150.0 |
133.3 |
150.0 |
133.3 |
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各健康保険組合の財政状況に配慮しながら、準備の整った保険者から順次カード様式へ移行する段取りになっている。(導入時期に猶予を持たせている。)
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カードの種類は規定していないので、磁気ストライプカードや単純なプラスチックカードでも対応が可能であるため、コスト負担の高いICカードを導入する保険者は極めて少ない状況にある。
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ICカードを交付している団体には、東芝健康保険組合やトヨタ自動車健康保険組合などが挙げられる。
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■参入企業とシェア(2003年国内需要) |
企業名 |
発行数量シェア(%) |
凸版印刷 |
40 |
NECトーキン |
30 |
東芝 |
20 |
その他 |
10 |
合計 |
100 |
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凸版印刷、NECトーキン、東芝の3社がカードの主な発行企業であり市場全体の90%を占める。また、保険者別の累計カード交付枚数で捉えると、東芝健康保険組合(ICカードを採用)による交付が最も多く、次いでトヨタ自動車健康保険組合が続いている。
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■今後の動向 |
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健康保険証のICカードは、記録容量の大きさとセキュリティーの高さから、利便性の向上と多様なアプリケーション展開の可能性を持っているが、保険者に高いコスト負担が要求される。
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健康保険証ICカード1枚の価格は1,000〜2,000円と推定され、財政難に直面している保険者や組合が多い現状では、高コスト負担がICカード導入の阻害要因となっている。
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今後はICカードの低価格化が課題となっており、また、医療データの互換性が拡張され、ICカードシステムが普及してくれば、ICカードの利便性が向上し、保険者による導入事例の増加が予測される。
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参考文献:「カード市場マーケティング要覧 2004年版」 (2004年7月28日:富士キメラ総研)
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