多層フレキシブルプリント配線板の市場動向

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多層フレキシブルプリント配線板(多層FPC)は、回路加工済み片面・両面フレキシブル配線板を積層し、互いに接着層を設けることで多層構造を形成する。ULグレード(米国の安全検査機関が定めた耐燃性評価の安全規格)に準拠した製品が上市されている。

フレキシブル配線板を使用した高密度配線には、表層に感光性ポリイミドの絶縁層を用いたビルドアップ法も活用されてきている。

■タイプ別構成比(2003年世界需要)

タイプ 販売数量ウェイト(%)
圧着法 81
ビルドアップ法 19
合計 100
出所:富士キメラ総研
多層FPCは3層FPCとボンディングシートを交互に積層・熱圧着して製造する圧着法がメインである。

ビルドアップ法は多層FPCの表層に感光性ポリイミド(絶縁材料)を使用してビルドアップ層を形成する製造方法である。日本メクトロン、住友電工プリントサーキットの2社が製品化を行っている。

■多層フレキシブルプリント配線板の市場規模推移(2003〜2008年世界需要)

市場規模推移及び予測 単位:千m²、%
年次 2003年 2004年見込 2005年予測 2006年予測 2007年予測 2008年予測
国内販売数量 350 450 700 900 1,000 1,100
前年比 128.6 155.6 128.6 111.1 110.0
海外販売数量 180 220 350 450 550 650
前年比 122.2 159.1 128.6 122.2 118.2
合計 530 670 1,050 1,350 1,550 1,750
前年比 126.4 156.7 128.6 114.8 112.9
出所:富士キメラ総研
多層FPCはビデオカメラ、ハードディスク磁気ヘッドに採用され小型・軽量化を実現する目的で使用されてきた。多層FPCの用途の1つとしては携帯電話のマザーボードに供給され始めた。コストが高いために高級機種に限定されている。

2003年の多層FPC世界市場は販売数量が53万m²となり、販売金額では445億円である。2008年は1,290億円(2003年比2.90倍)の巨大市場に成長すると予測している。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 技術開発の概要
日立化成工業 LCP製接着シートを用いた多層配線板の製造技術を開発  多層配線板に搭載される電子部品は面実装型に移行し、絶縁樹脂と電子部品の狭小化が進展したため、絶縁樹脂に対する電子部品の機械的、熱的な応力が集中し易くなってきた。
 また多層配線板に対する熱や落下などの内外的負荷に対して、信頼性保証技術の確立は欠かすことができないものとなっている。これら信頼性保証技術に加え、さらに近年では信号伝搬速度を向上させるために基板材料の低誘電率、低い誘電正接が必要となっている。
 そこで同社は、絶縁樹脂にビフェニル及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とリン系難燃剤と熱硬化剤と無機フィラーを必須成分する樹脂コンパウンドを製造し、液晶ポリマー(LCP)製不織布の基材に含浸後、半硬化状態の接着シートを開発している。
 同接着シートに使用する不織布は、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー繊維が用いられており、LCPは高強度、高弾性率で誘電特性が優れている。
 同接着シートを用いた多層配線板の物性は、めっき銅との接着強度(0.8kN/m以上)が良好であり、高弾性率、低熱膨張係数を示していることからプリント板の信頼性向上が期待される。また、誘電特性も良好である。
 また、この多層配線板は、従来の接着シートと比べて低熱膨張、高弾性率、低誘電率、低誘電正接である。
 他にはセミアディティブ工法(樹脂の表面を超薄膜金属で覆った後、配線パターンに必要な銅だけをメッキし、最後に超薄膜金属を除去する製造方法)によるめっき銅との高い接着性がある。
 これによりビルドアップ多層配線板の機械的強度、耐衝撃性による接続信頼性の向上が見込まれる。

■参入企業とメーカーシェア(2003年世界需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
NOK 41
シャープ
AD FLEX
住友電工プリントサーキット
その他 40
合 計 100
出所:富士キメラ総研
NOK(日本メクトロン)の多層FPCの生産は、先端技術を必要とするため国内工場で生産を行っている。ビデオカメラ、携帯電話、HDヘッドなどの用途で販売実績がある。

■今後の動向

多層FPCのフレキ材料は吸水による膨張で寸法変化を抑えるために、2層フレキ材料が多く採用されている。今後は2層フレキ材料の安定供給とビルドアップ法を用いた大量生産方式の確立が急がれている。

参考文献:「2004エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」
(2004年5月21日:富士キメラ総研)


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