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鋼板類を塗装する方法には「プレコート法」と「ポストコート法」の2通りがある。PCM用塗料はプレコートメタル(PCM)向けの塗料である。
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プレコート法で塗装したPCM鋼板は、鋼板ユーザーの生産現場において塗装作業を省略できるメリットがある。そのため、「環境適正」面で優れているPCM鋼板が鋼板ユーザーに支持されている。
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PCM用塗料に要求される代表的な塗膜性能は、加工性(絞り適正、折り曲げ適正)、塗面硬度、耐汚染性、耐薬品性があげられる。また同塗料は環境対応策として、VOC削減のためのハイソリッド化や無溶剤化する動きが一部で進んでいる。
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■PCM用塗料における材料特性 |
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PCM用塗料にはポリエステル系樹脂が主に使用されている。その他にはフッ素樹脂、アクリル樹脂が採用されている。
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顔料・添加剤には粉末シリカを配合することにより防食機能を付与している。特に、乾湿を繰り返すような腐食環境下で効果を発揮する。
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溶剤は有機系溶剤が大半を占める。環境対応型のハイソリッド化した塗料、無溶剤型の粉体塗料などが製品化してはいるが、使用率は極めて少ない状況にある。
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■用途別ウェイト(2004年 国内需要(輸出・輸入を含む)) |
用途名 |
具体的用途例 |
販売数量ウェイト(%) |
建材分野 |
ルーフィング/サイディング(住宅・工場・倉庫・他) |
76 |
家電・産業用分野 |
電気製品(エアコン、電子レンジ、オーディオ、冷蔵庫等)、産業用機械、自動車ほか |
24 |
合 計 |
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100 |
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用途は金属製のルーフィング(屋根材)やサイディング(壁材)を中心とした建材分野が多い。
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2004年は猛暑などの影響もあり、エアコン向けや産業機械用のPCM用塗料が増加しており、家電・産業用分野が前年よりも販売数量ウェイトが増えている。
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■PCM用塗料の市場規模推移(2004〜2008年 国内需要(輸出・輸入を含む)) |
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2004年 |
2005年見込 |
2006年予測 |
2007年予測 |
2008年予測 |
販売数量 |
42,000 |
42,500 |
43,000 |
43,500 |
44,000 |
前年比 |
― |
101.2 |
101.2 |
101.2 |
101.1 |
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2003年からエアコン向けPCM用塗料や欧米向け産業用機械の輸出需要が活発になり、2003年の販売数量は41,000tで前年比2.5%増の伸長率を示した。
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2004年のPCM用塗料市場は42,000t、販売金額(メーカー出荷ベース)は320億円である。2008年は334億円(2004年比4.4%増)に拡大する見通しである。当該市場は内需及び輸出・輸入を含めた市場で捉えており、国内需要のみに着目すると横這いから微減傾向が続いている。
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■参入企業とメーカーシェア(2004年 国内需要(輸出・輸入を含む)) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
日本ファインコーティングス |
60 |
関西ペイント |
14 |
その他 |
26 |
合計 |
100 |
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日本ファインコーティングス(2002年3月設立、本社:東京都品川区)が6割のウェイトを占め、トップシェアを獲得している。同社は日本ペイントと大日本インキ化学工業の国内PCM塗料事業の合弁会社である。
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大日本塗料は2004年、従来品と比較して不揮発分が23%程度のハイソリッド化を実現しつつ、ヒートクラック性に優れる「Vニット #7500シリーズ」を開発した。既に新製品が上市され家電製品向けに採用が進んでいる。
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■今後の動向 |
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VOC削減などの環境対策や高機能化、コスト削減などのメリットを持つ新製品が開発されており、海外からの引き合いも強まっている。環境対応に優れた塗料を中心に輸出需要の増加が予測され、今後のPCM塗料市場は微増推移が予想される。
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参考文献:「2005年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」 (2005年1月31日:富士キメラ総研)
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