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フローリングは単層フローリングと複合(複層)フローリングに大別される。本稿では住宅用途に使用される複合フローリングを対象とする。
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■複合フローリング材における材料特性 |
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複合フローリング材は、合板などの基材にサクラ・ケヤキ・ナラなどの薄い化粧単板を貼った構造になっており、反りや縮みなどの変形が少なく種類も豊富である。単層フローリング材は、ナラなどの広葉樹を中心に無垢材が使用されている。
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表面化粧用シートを用いた複合フローリング材は、下地基材(合板など)に接着剤を用い化粧シートを貼り合わせる方式で製造される。また、化粧シートの最外層は表面保護層でコーティングされている。
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表面化粧用シートの材料構成は着色熱可塑性樹脂層、印刷層(絵柄層)、透明熱可塑性樹脂層などが積層されており、使用する熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、PA系樹脂などが挙げられる。
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■複合フローリング材の用途動向(2003年 国内需要) |
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用途 |
戸建住宅 |
集合住宅 |
合計 |
国内販売数量 |
57,500 |
23,500 |
81,000 |
構成比 |
71.0% |
29.0% |
100.0% |
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2003年の複合フローリング材市場(8,100万m²)において、戸建住宅向けが7割強を占め残りの3割弱が集合住宅向けに販売されている。2003年は特に戸建分譲住宅用途で伸びが見られた。
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住宅用途における新築・既築別需要構成 |
単位:千m² |
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用途 |
新築住宅 |
既築住宅 |
合計 |
国内販売数量 |
56,200 |
24,800 |
81,000 |
構成比 |
69.4% |
30.6% |
100.0% |
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新築住宅向けの複合フローリング材が、国内市場(8,100万m²)の7割弱を占めており、新築需要主体の市場となっている。リフォーム需要については、既存のフローリング材の上から貼る方式のリフォーム対応商品がメーカー各社から投入されているが伸び悩んでいる。
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■複合フローリング材の市場規模推移(2003〜2005年) |
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2003年 |
2004年見込 |
2005年予測 |
国内販売数量 |
81,000 |
80,500 |
79,000 |
前年比 |
− |
99.4 |
98.1 |
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2003年の複合フローリング材市場は前年比1.6%増の8,100万m²、金額では2,440億円である。2003年は住宅ローンの減税効果による駆け込み需要が増大し、2003年後半からフローリング需要が増加した。2004年は8,050万m²(前年比0.6%減)と推測している。
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2004年以降は減税効果が薄れ新設住宅着工戸数が減少していった場合、建設件数に連動するかたちで複合フローリング材市場の縮小が予想される。
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■参入企業とメーカーシェア(2003年 国内需要) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
永大産業 |
17 |
松下電工 |
14 |
大建工業 |
13 |
その他 |
56 |
合 計 |
100 |
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上位3社は大手の住設建材メーカーである。2003年は新築需要の増加を背景に永大産業と松下電工が実績を伸ばした。特に永大産業は人気商品の「ビーチヨーロッパフロア」が好調であった。
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その他のメーカーには、朝日ウッドテック(本社:大阪市)、ノダ、ウッドワン、トステム、東洋テックス(東洋エクステリアの協力工場として1982年に設立)、東洋プライウッド(同:名古屋市)、ヤマハリビングテック(同:静岡県浜松市)などが挙げられる。
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■今後の動向 |
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複合フローリング材の需要動向を見通す上で指標となるのが新設住宅着工戸数であり、フローリング業界では同着工戸数の減少を懸念している。
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従って、フローリング需要の削減対策として2つの課題がクローズアップしている。1つにはリフォーム需要の拡大、2つ目は海外市場への進出である。現状では両課題とも順調であるとは言えない状況にある。
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参考文献:「2004年版 住設建材マーケティング便覧」 (2004年7月16日:富士経済)
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