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ワイヤーハーネスは、自動車に搭載されている個々の電装部品を電気的に接続させる機能を持ち、導線(ケーブル)や周辺部品(コネクタなど)をアセンブルしたユニット部品である。
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バッテリーからの電力を各々の機器に供給する働きと、各種センサの信号や音声、画像データなどを伝送する役割を果たしている。
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ワイヤーハーネスの参入メーカーは使用済み自動車の解体作業を効率化するため、解体作業時に締結部品を取り外すことなく、電線端部を端子本体から短時間で容易かつ確実に切り離すことができる端子構造の研究開発を行っている。
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■ワイヤーハーネスにおける材料特性 |
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ワイヤーハーネスのユニット部品は、電線以外には接続端子(コネクタ)や電線被覆材、ジョイント、ジャンクブロック、ヒューズ、テープなどから構成される。
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複数の電線が並行して配線される箇所では、樹脂製のテープを巻き1本に束ねた幹線電線を形成している。
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電線被覆材(絶縁電線)は以前から、耐磨耗性と柔軟性を併せ持つ塩化ビニル樹脂が用いられてきた。近年は、ハロゲン元素を含まないポリオレフィン系樹脂を使用した難燃性樹脂コンパウンドの研究開発が行われてきた。
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ワイヤーハーネスのコネクタ部は高い耐熱性が要求されるため、POMやPBT、PA樹脂などのエンジニアリングプラスチックスが採用された。
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■市場規模推移及び予測(2004~2007年、2010年 世界/国内需要) |
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2004年 |
2005年見込 |
2006年予測 |
2007年予測 |
2010年予測 |
世界販売数量 |
22,580 |
23,200 |
24,150 |
24,800 |
25,200 |
前年比 |
― |
102.7 |
104.1 |
102.7 |
― |
国内販売数量 |
4,730 |
4,700 |
4,650 |
4,500 |
4,000 |
前年比 |
― |
99.4 |
98.9 |
96.8 |
― |
国内販売比率 |
20.9 |
20.3 |
19.3 |
18.1 |
15.9 |
出所:富士キメラ総研 |
※ワイヤーハーネスの単位:両端にコネクタがついている電線を1回路と設定。 |
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近年、自動車の開発テーマはクリーンな環境への対応、安全運転支援、快適走行、情報通信への対応が注目されている。そのため、自動車に搭載されるアプリケーション機器や電子部品の使用量が増大し、それに伴ってワイヤーハーネスの回路数も増加傾向にある。
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2004年の世界市場の販売数量は225.8億回路で、販売金額は3兆3,700億円(メーカー出荷ベース)である。2010年は同3兆6,580億円に成長すると予測している。
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■参入企業とメーカーシェア(2004年 世界需要) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
矢崎総業 |
30 |
デルファイ(米国) |
28 |
住友電気工業 |
14 |
その他 |
28 |
合 計 |
100 |
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世界市場では矢崎総業、デルファイ、住友電気工業が代表的なワイヤーハーネスメーカーである。一方、2004年における国内市場では、矢崎総業、住友電気工業、古河電気工業、三菱電線工業が大手メーカーである。
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トヨタ自動車が2003年に発売した新型プリウスには、矢崎総業の「ハロゲンフリーISO電線」が採用されている。従来、重量が32.1kgあったワイヤーハーネスが25.4kgまで軽量化されている。
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古河電気工業とデルファイは、自動車用ワイヤーハーネスの合弁会社「デルファイ・フルカワ・ワイヤリング・システムズLLC」を設立し、主に北米のトヨタ自動車向けにワイヤーハーネスの販売を展開している。
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■今後の動向 |
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近年、自動車のエレクトロニクス化の進展に伴いワイヤーハーネスの使用量が増加しているため、車体重量を軽量化するという開発目標が阻害されている。
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その対応策としては、車内LAN を導入し自動車1台当たりの回路数を減らし車体重量を低減する方法が有力である。他には、ワイヤーハーネスメーカーサイドでは製品自体を軽量化/フラット化することにより車体の軽量化を進めている。
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参考文献:「2005年版 自動車部品マーケティング便覧」 (2005年5月31日:富士キメラ総研)
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