電動パワーステアリングの市場動向

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電動パワーステアリング(EPS)は、舵輪(ハンドル)の操作によりステアリング軸に発生する操舵トルクやその他の信号を検出し、その検出信号に基に電動モータを駆動し、ウォーム歯車減速機構などを介してステアリング軸を回転させ操舵力を補助する装置である。運転者はこの装置を利用することにより軽い力で操舵することができる。

EPSはその構造からコラム式、ピニオン式、ラック式の3種類に分けられる。コラム式、ピニオン式は小型車を中心に、ラック式は中・大型車向けに供給されている。

■電動パワーステアリングにおける材料特性

ウォーム歯車減速機構は、電動モータの駆動軸と共に回転するウォームと、ステアリング軸のステアリング出力部に外嵌され、ウォームと噛合するウォームホイールを備えている。

ウォームホイールにおいて、ステアリング出力部に外嵌固定される金属製の芯金の外周面に、パワーアシストモータ側のウォームに噛合する減速ギヤ部に対して、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性等に優れたPA樹脂が使用されている。

また、設計方法によっては金属製芯金の代替材料として、ポリアセタール(POM)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンプラが採用され射出成形で加工される場合がある。

■市場規模推移及び予測(2004~2007年、2010年 世界/国内需要)

  (単位:千台、%)
  2004年 2005年見込 2006年予測 2007年予測 2010年予測
世界販売数量 9,160 11,440 13,910 16,060 25,230
前年比 124.9 121.6 115.5
国内販売数量 2,795 3,200 3,630 4,140 6,050
前年比 114.5 113.4 114.0
国内販売比率 30.5 28.0 26.1 25.8 24.0
出所:富士キメラ総研
2004年の世界市場は916万台で、販売金額は1,775億円(メーカー出荷ベース)である。2010年は同4,210億円(2004年比2.37倍)に成長すると予測している。

また、国内市場は約280万台に対して、海外市場は約636万台であり海外市場の方が2.3倍の規模を有している。

EPS装置は小型車を中心に普及してきたが、トルク伝達機構の開発やバッテリ電圧の昇圧回路技術の改良(モータ性能の向上)によって、トヨタ自動車の新型クラウンに搭載されたのを始め、欧州でもフォルクスワーゲン「パサート:PASSAT」を皮切りに中・大型車への普及が進んでいる。

■参入企業とメーカーシェア(2004年 世界需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
光洋精工 37
NSK 19
ショーワ(日本) 12
デルファイ(米国) 12
その他 20
合 計 100
出所:富士キメラ総研
光洋精工は、ワールドワイドの生産量を2006年までに900万台、2007年に同1,000万台という目標を掲げており、世界の各拠点で生産能力を強化している。例えば、アメリカのバージニア工場の生産能力は、30万台から2005年度は50万台に高めた。

光洋精工は豊田工機(トヨタ系工作機械メーカー)と合併し、2006年1月に株式会社ジェイテクト(本社:名古屋市)を設立した。

ショーワ(同:埼玉県行田市)は米国オハイオ州に工場を開設しEPSのアセンブル事業を展開してきた。また、同地に技術開発センターを設置する予定である。今後は、部品の生産を含めEPSの現地生産を開始する計画である。

■今後の動向

EPSの普及は欧州・日本市場を中心に進んできたが、近年、GMのEPS搭載車種が徐々に増えてきており、2006年以降、北米市場において普及に弾みがついてくると予想される。

また、中・大型車種への供給が始まっており、今後、大型車向けEPSの低価格化が進んでいくならば、乗用車市場におけるEPSの普及は更に加速していくと予測される。

参考文献:「2005年版 自動車部品マーケティング便覧」
(2005年5月31日:富士キメラ総研)


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