■ワールドワイドの用途別需要構成 2005年販売数量ベース |
用途 |
構成比(%) |
主な用途例 |
医療関連 |
45 |
膜(人工透析膜、血液フィルタ)、人工腎臓、内視鏡部品、歯科用器具など |
食品関連 |
24 |
食品容器、酪農機器部品、業務用調理機器部品など |
電気・電子機器 |
17 |
コネクタ、ICキャリア、プリント基板など |
その他 |
14 |
イグニッション部品、家庭用配管部品(継ぎ手)など |
合計 |
100 |
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● |
PSFは医療や食品関連の各種規格をクリアし長期間にわたる採用実績があり、安全性の高い樹脂として認知されているため、医療・食品関連の需要量が多くなっている。
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● |
特に、外観性よりも機械特性や耐熱性といった要求特性が重視される場合にはPSFが採用されている。
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■ポリサルホンの材料動向 |
● |
ポリサルホン(PSF)樹脂の材料特性には、剛性(高強度)、耐薬品性、透明性、耐スチーム滅菌性、耐熱性、連続使用での耐熱水性などが挙げられる。
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● |
PSFは、欧米ではメディカル分野や食品関係の用途に多く採用されており、今後も医用分野(人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等)への採用が期待されている。
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● |
合成材料は生体にとっては異物とみなされるが、将来的には生体組織や体液と接触して使用することが想定される。従って、医用材料には生体適合性が要求される。
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● |
そのため、血液と接する生体適合材料には、例えば血液凝固系の抑制や、蛋白・細胞吸着抑制、血小板の粘着・活性化の抑制効果が高いポリサルホン樹脂が開発されてきた。
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■市場規模推移及び予測(2005~2008年、2010年 世界/国内需要) |
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2005年 |
2006年見込 |
2007年予測 |
2008年予測 |
2010年予測 |
世界販売数量 |
8,630 |
8,980 |
9,400 |
9,850 |
10,850 |
前年比 |
― |
104.1 |
104.7 |
104.8 |
― |
国内販売数量 |
1,580 |
1,620 |
1,660 |
1,710 |
1,810 |
前年比 |
― |
102.5 |
102.5 |
103.0 |
― |
国内販売比率 |
18.3 |
18.0 |
17.7 |
17.4 |
16.7 |
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● |
上記の数量は、PSFメーカーがニートレジン又はコンパウンド品として販売した合計値である。
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● |
欧米の医療・食品分野においては従来からPSFが採用されており、PSF市場は欧米の需要が牽引してきた経緯がある。
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● |
今後も「新規グレードの開発」「医療機器や医療用具の生産量の拡大」「医療・食品・その他の幅広い用途での採用」に伴い、PSFの世界市場(数量ベース)は年率4~5%の伸長率で拡大が予想される。
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● |
日本では高齢化社会の進展を背景に、医療分野を中心として徐々にPSFの需要が拡大している。
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● |
2005年のポリサルホン樹脂の世界販売数量は8,630tで、販売金額は161.4億円である。2010年には204億円(2005年比1.26倍)に拡大すると予測している。
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■参入企業とメーカーシェア(2005年 世界需要) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
ソルベイアドバンストポリマーズ(米国) |
87 |
BASF(ドイツ) |
13 |
合 計 |
100 |
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PSFを商用化しているメーカーはソルベイアドバンストポリマーズ(ブランド名は「ユーデル(UDEL)」「ミンデル(変性PSF)」)とBASF(同「ウルトラゾーンS」)の2社である。
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■今後の動向 |
● |
新しいサルホン系樹脂の製品開発が展開されており、今後は医療・食品分野に依存しない積極的な用途開発(配管部品、照明器具部品など)や透明樹脂材料(PC樹脂など)の代替が課題となっている。
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参考文献:「2006年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」 (2006年6月5日:富士経済) |
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