ポリフェニレンサルファイド(PPS)の市場動向

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■ワールドワイドの用途別需要構成 2005年販売数量ベース

用途 構成比(%) 主な用途例
電気・電子機器 44 基幹電子部品「マイクロスイッチ、コンデンサ、SMT対応コネクタ等」、一般電気・電子部品「CDドライブ光ピックアップベース、ハードディスク駆動モーター軸受等」など
自動車 37 点火・電気系部品「点火コイルケーシング等」/照明/燃料「燃料ポンプインペラー等」/駆動/制御/冷却系部品など
繊維・フィルム 焼却炉のバグフィルター、フィルムコンデンサなど
その他 12 住宅用機材「ジョイント、バルブ等」など
合計 100  
出所:富士経済
PPSは、耐熱性、精密成形性、寸法安定性、難燃性(難燃剤不要)に優れ、光ピックアップ、コネクタなど電気・電子部品向けの使用量が多い。

また、耐熱性、耐ヒートショック性、耐薬品性などが優れているPPSは、自動車用途では主に電装機器・部品に採用されている。

■市場規模推移及び予測(2005~2008年、2010年 世界/国内需要)

単位:t、%
  2005年 2006年見込 2007年予測 2008年予測 2010年予測
世界販売数量 69,500 74,000 79,000 85,000 97,000
前年比 106.5 106.8 107.6
国内販売数量 28,000 29,100 30,000 31,100 33,500
前年比 103.9 103.1 103.7
国内販売比率 40.3 39.3 38.0 36.6 34.5
出所:富士経済
PPSは電気・電子機器以外には、自動車用ワイヤーハーネスの被覆材や吸気系モジュール部品にも採用が拡がっている。自動車と繊維・フィルム用途で需要が増加しているなど、2006年以降の世界需要は年率6~7%の成長が見込まれる。

2005年のポリフェニレンサルファイド樹脂の世界販売数量は6万9,500tで販売金額は560億円である。2010年には790億円(2005年比1.41倍)に拡大すると予測している。

■参入企業とメーカーシェア(2005年 世界需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
フィリップス(オランダ) 25
大日本インキ化学工業 21
東レ 18
フォートロン・インダストリーズ(米国) 17
その他 19
合 計 100
出所:富士経済
フィリップスは欧州・米国・アジアの世界三極体制でPPS専用のコンパウンド拠点を持っており、グローバルな供給能力に強みを持っている。

大日本インキ化学工業は自動車電装部品を主な用途先として「スーパータフPPS」を製品化している。

その他の参入メーカーにはポリプラスチックス、東ソーなどが挙げられる。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 技術概要
松下電器産業 HEV等に使用されるケースモールド型コンデンサにおいて、騒音の発生を低減する技術を開発  HEV(ハイブリッド自動車)用の電気モータは、使用電圧領域が数百ボルトと高いため、電気モータに使用されるコンデンサは、高耐電圧で低損失の金属化フィルムコンデンサが注目されている。
 またHEV市場ではメンテナンスフリーの要望から極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が顕著である。
 従来の金属化フィルムコンデンサは、コンデンサ素子の外側面と樹脂ケースの内側面との間に、吸音防音材(発泡ウレタン)を配置した構成になっており、コンデンサ素子の振動が外部へ伝播するのを抑制し騒音を低減してきた。
 しかし、金属化フィルムコンデンサは交流電圧印加時にリプル電流の発生により金属化フィルムコンデンサ自体が振動し、騒音の発生が問題となっていた。
 そこで、同社が開発したケースモールド型コンデンサは、ポリフェニレンサルファイド樹脂製の内装ケースと金属製の外装ケースの間に緩衝材層を設けた構造にしている。
 従って、金属化フィルムコンデンサに交流電圧を印加するとリプル電流が発生するが、コンデンサ自体が振動しても、ウレタン樹脂製の緩衝材層がこの振動の低減を可能にしている。
 同社が開発したケースモールド型コンデンサは、ケース内を樹脂モールドしたコンデンサであり、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路の平滑用、フィルタ用に適している。

■今後の動向

今後、PPSの需要拡大が期待される分野は自動車と繊維・フィルム用途が挙げられる。中でも自動車は電装化が進み、自動車にはモータ類、センサー類の搭載量が増えている。また、PPSの性能が向上したことにより、自動車用のインテリジェントパワーモジュールの基材やランプリフレクタなどの用途で需要が拡がっている。

参考文献:「2006年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」
(2006年6月5日:富士経済)


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