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延伸PAフィルムは、1968年にユニチカがテンター法同時二軸延伸技術によって開発された軟包装フィルムである。基本的には他のフィルムと複合化して使用されている。
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■用途別需要構成 2005年国内販売量+輸出 |
用途 |
構成比(%) |
具体的用途例 |
食 品 用 |
小袋調味料 |
21 |
液体スープ、醤油、ラー油、麺つゆ、マヨネーズなど |
水物・漬物 |
15 |
こんにゃく、漬物類(福神漬け等)など |
レトルト食品 |
10 |
カレー、シチュー、パスタソースなど |
その他食品 |
44 |
畜肉加工品、餅、米、冷凍食品など |
非食品用 |
10 |
シャンプー等の詰め替え用スタンディングパウチ、布団袋など |
合計 |
100 |
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用途の主体は食品分野であり軟包装フィルム資材として使用されている。ONYフィルムの持つ強靭性、耐破袋性、耐ピンホール性などを活かし、他のフィルムでは対応できないような用途で採用されている。特に、破袋により内容物の漏れ対策を必要とする液体物で採用例が多い。
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■延伸PA(ONY)フィルムの材料、技術動向 |
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フィルムの原料はPA6樹脂が使用され、PAの持つ耐熱性や強度、ガスバリア性などの特性がフィルムの機能を高めている。その他には、耐油性、耐薬品性などが優れており、低温における物性劣化も少ないといった特徴を持っている。
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フィルムの製造方法は同時二軸延伸、逐次二軸延伸などがあり、メーカーにより製造方法、製品の特徴が異なる。
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参入メーカーはプレーンのONYフィルムを製造しているほかに、共押出フィルムも同じ設備で製造しているため、市場規模の算出に際してはそれらのフィルムも対象とした。
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■市場規模推移及び予測(2005~2009年 国内需要+輸出) |
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2005年 |
2006年見込 |
2007年予測 |
2008年予測 |
2009年予測 |
販売数量 |
48,400 |
49,700 |
51,000 |
52,000 |
53,000 |
前年比 |
― |
102.7 |
102.6 |
102.0 |
101.9 |
販売金額 |
39,300 |
41,500 |
42,600 |
43,400 |
44,200 |
前年比 |
― |
105.6 |
102.7 |
101.9 |
101.8 |
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2005年のONYフィルムの国内販売数量は4万8,400t、金額では393億円である。2009年には442億円(2005年比1.12倍)に拡大すると予測している。食品分野が主な需要先であることから市場の伸び率は以前と比較すると低下している。
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市場の伸長率が低調に推移している中で比較的好調な動きを示しているのは、レトルト食品用パウチ容器や飲用水などに使用するバッグ・イン・ボックス(BIB)などが挙げられる。
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■参入企業とメーカーシェア(2005年国内販売量+輸出) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
ユニチカ |
41 |
東洋紡績 |
27 |
興人 |
17 |
三菱樹脂 |
8 |
その他 |
7 |
合 計 |
100 |
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原料樹脂の製造から取り扱っているユニチカは国内の生産拠点のほかには、インドネシア、中国に拠点を置き、3拠点の生産能力は3万9,000t/年である。同社の製品はテンター法同時二軸延伸により生産を行っている。
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2位の東洋紡績はテンター法逐次二軸延伸で製造している。フィルム事業の中核製品として位置づけており、海外生産を含め積極的に展開している。
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興人はチューブラー法同時二軸延伸で製造している。またONYフィルムの柔軟性(耐つき刺し性)、異方性がないことを特徴として販売展開している。
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■今後の動向 |
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ONYフィルムは原料価格の高騰による採算性の悪化や低価格な輸入品との競合はあるものの、軟包装フィルムの特徴を活かしつつ、今後も安定した需要増加が見込まれる。
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基本的な物性を維持しつつ、バリア性や易カット性などの機能を付与したフィルムも堅調な推移が予想される。
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参考文献:「2006年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」 (2006年7月18日:富士キメラ総研)
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