PANフィルムの市場動向

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PAN(ポリアクリロニトリル)はガスバリア性があり成形加工性に優れた樹脂である。PANフィルムは通常、インフレーション法で成形されている。

手触りや外観は硬質塩化ビニルフィルムと類似しているが、塩ビよりも成形性が良好で、ガスバリア性、保香性、非吸着性、耐薬品性、耐油性などが優れている。但し、水蒸気遮断性が低いため防湿包装には適さない。また、ヒートシールは可能であるがシール適性はPEやCPPフィルムよりも低い。

■用途別需要構成 2005年 国内販売数量ベース

用途 構成比(%) 具体的用途例
医薬品包装用 85 経口薬品、経皮薬品、ハップ剤など
食品包装用 水産加工品、菓子類、香辛料など
その他 防臭剤、自動車用品、化粧品、農薬など
合計 100  
出所:富士キメラ総研
PANフィルムはガスバリア性、耐薬品性などの材料特性が評価され、医薬品包装用途(国内販売比率85%)で極めて高い比率を占めている。現状ではPANフィルムと同等レベルの特性を備えた競合製品がないなど機能面の良さから採用されている。

■市場規模推移及び予測(2005~2009年 国内需要)

単位:t、百万円、%
  2005年 2006年見込 2007年予測 2008年予測 2009年予測
販売数量 214 215 217 218 221
前年比 100.5 100.9 100.5 101.4
販売金額 310 311 314 315 319
前年比 100.3 101.0 100.3 101.3
出所:富士キメラ総研
2005年のPANフィルムの国内販売数量は214t、金額では3億1,000万円である。2009年には3億1,900万円(2005年比1.03倍)に拡大すると予測される。

当該製品は、医薬品包装分野でバリア性、保香性、耐薬品性などの特性を活かし独自の需要基盤を確立している。その反面、コストや機能面から新規需要を創出することが難しく、大きく需要が拡大する余地は低いとみられる。

バリアフィルムの国内市場ではEVOHフィルムが普及しておりPANフィルムと競合していることが、当該製品の普及を妨げている大きな要因である。

■参入企業とメーカーシェア(2005年 国内需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
タマポリ 81
三井化学 19
合 計 100
出所:富士キメラ総研
タマポリと三井化学の2社が各々のブランド名でPANフィルムを販売しており、タマポリが81%と極めて高いシェアを獲得している。

三井化学は19%のシェアを占めているが、タマポリからPANフィルムを調達しており、生産ベースではタマポリが当該市場を独占している。また、タマポリが製造に使用するPAN樹脂は三井化学から調達している。

■今後の動向

当該市場は、医薬品包装分野を中心に安定した需要基盤を形成している。新規用途の開拓は進んでいないが、需要が大きく変動することは小さいとみられる。

近年はスポーツ選手を始め、心身の健康や美容を増進するため「アロマテラピー」に関心が高まっている。「香り(匂い)」が商品の付加価値を高める要素として注目されている。保香性が優れている当該製品のビジネスチャンスは増加傾向にある。

参考文献:「2006年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」
(2006年7月18日:富士キメラ総研)


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