フッ素樹脂フィルム/シートの市場動向

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フッ素樹脂は、耐候性、耐熱性、耐薬品/溶剤性、非粘着性/離型性、撥水/撥油性、防汚性、電気絶縁性、潤滑性などの特性を持つ汎用エンプラである。

代表的なフッ素樹脂は以下の通りである。

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)など。

フッ素樹脂の中でフィルム(シート)として最も多く利用されているのはPTFEであり、その需要構成比は約60%を占める。

■用途別需要構成 2005年 国内販売数量ベース

用途 構成比(%) 具体的用途例
防食ライニング材 33 配管、タンク類の防食用など
電気絶縁材 28 回路基板離型材、モータ、トランス用など
農業用 15 温室ハウス、園芸用被覆材など
建材用 膜屋根、テントなど
その他 15 摺動材など
合計 100  
出所:富士キメラ総研
当該製品は、非粘着性、耐熱性、溶接信頼性などが優れていることから、配管やタンク類の防食ライニング用途に使用されており国内販売数量比率は33%である。

防食ライニング材の用途ではPTFEが主に使用されている。高い耐食性が必要とされる場合にはETFEやPFAが使用されている。

■市場規模推移及び予測(2005~2009年 国内需要)

単位:t、百万円、%
  2005年 2006年見込 2007年予測 2008年予測 2009年予測
販売数量 1,980 2,030 2,060 2,100 2,140
前年比 102.5 101.5 101.9 101.9
販売金額 11,000 11,300 11,500 11,800 12,100
前年比 102.7 101.8 102.6 102.5
出所:富士キメラ総研
本稿ではフッ素樹脂(PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFEなど)フィルム(シートを含む)を対象とする。

2005年のフッ素樹脂フィルム(シート)の国内販売数量は1,980t、金額では110億円である。2009年には121億円(2005年比1.10倍)に拡大すると予測される。

当該製品の中で最も需要が大きい樹脂はPTFEである。PTFE単独の実績(2005年)では1,200t、44億円の規模である。そしてPTFEは総需要量の60%(数量ベース)、金額では同40%をカバーしている。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 技術概要
旭硝子 接着性、耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れたフッ素樹脂フィルムを開発  フッ素樹脂は耐熱性、耐候性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性が優れることから多様な分野で応用/加工されている。
 しかし、これらのフッ素樹脂を使用して製造したフッ素樹脂フィルムは、他材料との接着性が充分でないことが課題となっていた。
 そこで同社は、広範囲の用途で接着性を向上するために、溶融成形性フッ素樹脂を押出成形したフッ素樹脂フィルムの研究開発を行った。
 同社は、このフッ素樹脂フィルムを300℃に加熱した厚さ0.2mm、幅15cmの鋼板に融着し、フッ素樹脂フィルムと鋼板の積層体(サンプル)を試作した。同サンプルの剥離強度は55N/cmであった。また、この積層体を1N(ノルマル)の塩酸水溶液に浸し100℃で1週間浸漬した。浸漬後、フッ素樹脂フィルムの外観は変化がなく、剥離強度は45N/cmと強固に接着していた。
 同社が開発した溶融成形性フッ素樹脂フィルムは、薬品性、衛生性、非粘着性、防汚性、汚れ除去性、耐候性、防錆性、撥水性、撥油性、耐水性、耐着氷雪性に優れ、表面の摩擦係数が低く誘電率が低い。
 更に同フッ素樹脂フィルムは合成樹脂、金属材料、無機材料、木材との接着性が優れている。
 このフッ素樹脂フィルムの適用用途は、例えば、ステンレス鋼板と同フッ素樹脂フィルムを積層した飲料缶材料、ポリカーボネートなどに積層した外装材や屋根材、アラミド織布等との積層体からなる気球材料、ポリアミド・EVA樹脂・ゴム等の積層体から構成された膜構造物用フィルム、アルミシートと積層した太陽電池用表面材料、輸液バック・血液バック用積層フィルム、太陽電池用保護フィルムなどが挙げられる。
出典:旭硝子の公開特許公報を参照

■参入企業とメーカーシェア(2005年 国内需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
日東電工 32
日本バルカー工業
ニチアス
中興化成工業
その他 47
合 計 100
出所:富士キメラ総研
フッ素樹脂(PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFEなど)フィルム(シートを含む)の国内市場の中で日東電工が首位を獲得している。同社はフッ素樹脂フィルム(シート)需要の1/3、PTFEフィルム(シート)需要の1/2を供給している。

■今後の動向

フッ素樹脂フィルム(シートを含む)は応用分野の裾野が広く、その製品特性を活かし機能的な側面から新規用途の開拓が行われている。当該市場は今後も成長が予想される。

参考文献:「2006年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」
(2006年7月18日:富士キメラ総研)


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