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ポリイミド(PI)は極めて高い耐熱性、耐寒性があり、他には機械的強度、耐薬品性、低誘電率など優れたスーパーエンプラである。
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PIの特性を活かしてFPC(フレキシブルプリント回路)基板、TABテープなどを中心にエレクトロニクス分野で広く利用されている。PIフィルムの増産計画も進展しているが、当面、供給不足の状況が続いていくとみられる。
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■用途別需要構成 2005年 国内販売数量ベース |
用途 |
構成比(%) |
具体的用途例 |
FPC基板用フィルム(銅張積層板、カバーレイ) |
75 |
携帯電話、FPD(フラットパネルディスプレイ)、DVD、デジタルスチルカメラなど |
TABテープ |
14 |
パソコン、携帯電話、カーナビゲーションシステムなど |
その他 |
11 |
電気絶縁材料など |
合計 |
100 |
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主力用途はFPC用の銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)やカバーレイ(Cover Layer)向けであり国内需要の3/4を占めている。同用途は、品不足状態が続いているため参入各社は2003年に、大幅な増産計画を打ち出した。
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2007年には各社の増産体制が整備されるため、PIフィルムの供給量不足の問題は収束する見込みである。
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■市場規模推移及び予測(2005~2009年 国内需要) |
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2005年 |
2006年見込 |
2007年予測 |
2008年予測 |
2009年予測 |
販売数量 |
2,950 |
3,300 |
3,700 |
4,300 |
4,900 |
前年比 |
- |
111.9 |
112.1 |
116.2 |
114.0 |
販売金額 |
49,000 |
55,500 |
64,000 |
75,000 |
86,000 |
前年比 |
- |
113.3 |
115.3 |
117.2 |
114.7 |
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2005年のPIフィルムの国内販売数量は2,950t、金額では490億円である。2009年には860億円(2005年比1.76倍)に拡大すると予測される。
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FPC向けの需要は旺盛であるが、2006年は製品の供給が追いついていない状況が続いている。FPCの供給量不足に対応し、LCP、PEN、アラミドフィルムなどの競合材料メーカーは新製品開発を行い市場開拓に注力している。
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■参入企業とメーカーシェア(2005年 国内需要) |
メーカー名 |
販売数量ウェイト(%) |
カネカ |
41 |
東レ・デュポン |
37 |
宇部興産 |
22 |
合 計 |
100 |
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カネカの「アピカル」は2005年秋に2,600t(年産能力)の生産体制を構築するなど販売実績を伸ばしている。特に3層FPC向けに強みを持っている。
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東レ・デュポンは「カプトン」ブランドを展開している。国内市場ではパイオニア企業として2004年までは首位を堅持してきた。2005年は2位に転じた。
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3位の宇部興産が取扱っている「UPILEX(ユーピレックス)」は3層TAB用途が得意である。
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■今後の動向 |
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PIフィルムの主な販売先はFPC用途である。FPCの需要先である携帯電話、HDD、光ピックアップなどの業界が拡大しているので、PIフィルムを使用した電子機器やデバイス、コンポーネンツ市場の需要拡大に牽引され、2007年以降、前年比2桁増の実績拡大が予想される。
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参考文献:「2006年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」 (2006年7月18日:富士キメラ総研)
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