PEIフィルムの市場動向

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PEIフィルムは非晶性の耐熱フィルムであり難燃性や剛性、透明性などの特徴を持っている。PIフィルムよりも低価格であるという優位性から携帯電話のスピーカー振動板向けに供給されている。

■用途別需要構成 2005年 国内販売数量ベース

用途 構成比(%) 具体的用途例
振動板 80 スピーカー振動板
その他 20 絶縁テープ、耐熱ラベル、TABスペーステープ、電線被覆材など
合計 100  
出所:富士キメラ総研
PEIフィルムは携帯電話やカーオーディオ用スピーカー振動板への供給が極めて多い。高級車のカーオーディオ用スピーカーから採用が始まったが、2006年は携帯電話向けが主体である。携帯電話の需要動向にPEIフィルムの実績が影響を受けている。

■市場規模推移及び予測(2005~2009年 国内需要)

単位:t、百万円、%
  2005年 2006年見込 2007年予測 2008年予測 2009年予測
販売数量 55 59 62 64 66
前年比 107.3 105.1 103.2 103.1
販売金額 515 550 575 590 605
前年比 106.8 104.5 102.6 102.5
出所:富士キメラ総研
2005年のPEIフィルムの国内販売数量は55t、金額では5.15億円である。2009年には6.05億円(2005年比1.17倍)になると予測される。

PEIフィルムは携帯電話の市場拡大に伴い好調に推移している。現状では携帯電話用途に依存した状況が続いている。

■研究開発・技術動向

企業名 技術開発 技術概要
住友電気工業 EMIの防止と環境負荷の低いFFCを開発  近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの電子機器には、高速伝送用配線ケーブルとしてフレキシブルフラットケーブル(FFC)が用いられてきている。
 FFCは、電磁干渉とノイズを低減させるシールド層が設けられていないため、EMI(電子回路から発生する電磁波が、周辺の電子機器に作用し悪影響を及ぼす現象)を防止することができないという問題があった。
 また、FFCにEMIを防止する目的でシールド層を設けた場合、導体とシールド層の間の静電容量が大きくなるため、特性インピーダンスの値が低下したり、インピーダンスマッチングがとれなくなるという課題があった。
 同社はこれらの問題を解決するため導体とシールド層の間に低誘電層(FFCの特性インピーダンスの調整機能)を設けることが検討された。
 同社は前掲の課題や条件を達成するため下記のFFCを開発している。

 フレキシブルフラットケーブルの断面構成

FFCの使用材料/サイズなど
導体(銅箔などの導電性金属箔)/導体の直径:例えば20~50μm
導体の両面を被覆する絶縁層(PETフィルム等)/絶縁層の厚さ:同12~50μm
絶縁層の外面に設けられた低誘電層(フィルム)/低誘電層の厚さ:同250μm
低誘電層の外面に設けられたシールド層(PETフィルム等)/シールドテープの厚さ:同9μm
 同社が開発したFFCを使用した場合、電子機器の作動中に電子回路から発生する信号ノイズの低減が可能である。
 また特性インピーダンスを調整するために低誘電層を備えたFFCは、高速伝送用配線ケーブルとして適しており、FFCに使用した樹脂は、非塩ビ系のエンプラを採用することで資源のリサイクルが可能である。
 低誘電層用の樹脂はエンプラ(PC、mPPE、PPS、PI、PEI、PAR、フッ素系樹脂)を主成分とする樹脂組成物を始め、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが候補として挙げられる。

 ここで低誘電層向けのフィルムは、例えば厚みが250μmの場合、以下の製品が市販されている。
低誘電層の樹脂材料 樹脂メーカー 商品名
PC 筒中プラスチック工業※ サンロイドエコシート ポリカ
mPPE GEプラスチックス ノリルWCD801
PPS 東レ トレリナ
PI 宇部興産 ユーピレックス
PEI 三菱樹脂 スペリオUT
PAR ユニチカ エンブレート
フッ素樹脂(ETFE) ダイキン工業 ネオフロン
※住友ベークライトに合併

■参入企業とメーカーシェア(2005年 国内需要)

メーカー名 販売数量ウェイト(%)
三菱樹脂 84
住友ベークライト 16
合 計 100
出所:富士キメラ総研
携帯電話用途で実績を上げている三菱樹脂が首位を獲得し「スペリオUT」の商品名で展開している。同社のシェアが大きいのはフィルムの厚さ(7~300μm)が幅広いことが挙げられ、ラインアップが充実していることが強みである。

住友ベークライトは絶縁材料向けを得意としている。

■今後の動向

携帯電話の需要増加がPEIフィルムの成長要因になっている。今後は、PEIフィルムの様々な特性を活かしながら新規用途の開拓が予測される。

参考文献:「2006年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」
(2006年7月18日:富士キメラ総研)


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