自動車用ポリアミド(PA)樹脂の市場動向

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■自動車分野におけるケミカル材料の特徴
PA樹脂はPA6やPA66以外にPA11、12、46などの脂肪族PAが販売されている。また、PA6T、PA9T、PAMXD6などの半芳香族PA、さらにはそれらの共重合PAも工業化されている。

自動車分野ではPAの優れた耐熱性、機械的特性、耐薬品性などを活かし、エンジン周辺の機構・駆動部品やフェンダーなどの外装品用途を主体に供給されている。本稿では、PA需要の9割超を占めるPA6とPA66を対象とする。

■用途別需要構成 2005年国内販売数量

用途 構成比(%) 具体的用途例
機構部品・駆動部品 77 インテークマニホールド、ラジエータタンク、キャニスターなど
外装品 13 フェンダーなど
その他 10 ファスナー、クリップなど
合計 100  
出所:富士キメラ総研
ポリアミド樹脂(PA6とPA66)の主な用途は上記の通りである。

エンジンルーム内に搭載されているインテークマニホールドは各シリンダに混合気を配給するための分岐管である。インマニ材料は以前、鋳鉄やアルミ合金製であったが、グラスファイバーで強化するなど技術開発の進展によりPA樹脂に素材が転換した。

その代替要因としては、PA樹脂が備えている曲げ/引張強度の強さや耐クリープ性、衝撃強度などの機械的特性と150~160℃前後の耐熱性や耐薬品性が評価されたことが挙げられる。

今後はエアクリーナーがモジュール化する方向にあることから、さらに採用部位の拡大が予測される。

■市場規模推移及び予測(2005~2009年世界需要)

(単位:t、%)
年次 2005 2006見込 2007予測 2008予測 2009予測
国内販売数量 106,000 111,000 116,000 121,000 126,000
前年比 104.7 104.5 104.3 104.1
海外販売数量 415,000 438,000 460,000 485,000 510,000
前年比 105.5 105.0 105.4 105.2
合計 521,000 549,000 576,000 606,000 636,000
前年比 105.4 104.9 105.2 105.0
出所:富士キメラ総研
上記の数表はPA6とPA66を合計したPA樹脂の販売量である。

2005年の自動車用ポリアミド樹脂の世界販売数量は52万1,000t、金額では2,485億円である。2009年には2,988億円(2005年比1.20倍)に拡大すると予測される。

PA6はインテークマニホールドに、PA66はラジエータタンクやキャニスターなどに供給されているが、これらの部品と周辺部品を一体成形したモジュール製品が生産されている。このように自動車部品のモジュール化は、金属部品の代替を加速する動きとして注目される。

中国に進出した日系自動車メーカーでは、主要なPA樹脂部品に関しては、日系のPAメーカーが生産した樹脂を輸入しており、基本的には現地PAメーカーの樹脂は採用していない。

■参入企業とメーカーシェア(2005年国内需要)

【PA6】
メーカー名 販売量ウェイト(%)
宇部興産 33
東レ 30
三菱エンジニアリングプラスチックス 22
ユニチカ
その他
合計 100
出所:富士キメラ総研
宇部興産はPA6のトップメーカーである。国内以外にはタイ、スペインの3拠点でPA6の原料から一貫生産を行っており、2005年における世界の生産能力は96,000t/年(自動車以外の全ての用途を含む)である。

【PA66】
メーカー名 販売量ウェイト(%)
東レ 33
DUPONT 30
旭化成ケミカルズ 29
その他
合計 100
出所:富士キメラ総研
PA66は東レ、DUPONT、旭化成ケミカルズの3社で国内市場の9割強を占める。

DPONTは自動車分野を成長市場と位置付け、世界(北米、アジア、欧州など)の各拠点で生産・開発できる強みを活かしながら、自動車メーカーの海外生産需要に応えている。

■今後の動向
PA樹脂の優れた耐熱性、機械的特性を活かしながら、近年はグラスファイバーで強化したPA樹脂を使用して成形性能を高めている。

更には中空体を形成するために振動溶着などの技術を取り入れて二次加工性を高めたり、複雑な形状の加工をはじめ、高温環境や内圧・振動などの外力に対して耐久性を付与する技術開発を推進している。今後も自動車分野におけるPA樹脂の採用率は増加していくと予想される。

参考文献:「2006 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望」
(2006年3月27日:富士キメラ総研)


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