■自動車分野におけるケミカル材料の特徴 |
● |
フッ素樹脂は一般に、分子中にフッ素原子を含む樹脂の総称である。数種類にわたるフッ素樹脂の需要のうち、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が約7割を占めている。
|
● |
PTFEは熱可塑性樹脂の中では極めて高い耐熱性を持ち、耐薬品性、電気絶縁性、化学安定性、低摩擦性、非粘着性、耐候性、難燃性などの特徴を備えた樹脂である。他には、非粘着性や低摩擦係数などの特異な性能を有しており幅広い用途で使用されている。
|
● |
自動車部品用途では例えば、軸受けブッシュの摺動面の摩耗を抑制する目的で、同ブッシュの平滑な内周面にPTFE(商品名:テフロン(登録商標))がコーティングされている。
|
|
■用途別需要構成 2005年国内販売数量 |
用途 |
構成比(%) |
具体的用途例 |
機構部品 |
70 |
シールリング材、オイルシールなど |
電装部品、その他 |
30 |
センサ、電線被覆材など |
合計 |
100 |
|
|
● |
自動車1台当たりに使用されるフッ素樹脂の需要量は100~200gと推定される。フッ素樹脂が自動車向けに供給されている用途の中で、最も多いのはシールリング充填剤であり続いては電線被覆材が挙げられる。その他には、ベアリングなどの摺動部品向けや電装品などで使用されている。
|
|
■市場規模推移及び予測(2005~2009年世界需要) |
|
年次 |
2005 |
2006見込 |
2007予測 |
2008予測 |
2009予測 |
国内販売数量 |
2,300 |
2,350 |
2,400 |
2,450 |
2,500 |
前年比 |
― |
102.2 |
102.1 |
102.1 |
102.0 |
海外販売数量 |
12,200 |
13,000 |
13,700 |
14,400 |
15,000 |
前年比 |
― |
106.6 |
105.4 |
105.1 |
104.2 |
合計 |
14,500 |
15,350 |
16,100 |
16,850 |
17,500 |
前年比 |
― |
105.9 |
104.9 |
104.7 |
103.9 |
|
● |
2005年の自動車用フッ素樹脂の世界販売数量は1万4,500t、金額では493億円(メーカー出荷ベース)である。2009年には639億円(2005年比1.30倍)に拡大すると予測される。
|
● |
国内と海外との販売構成比(2005年)は16対84となり圧倒的に海外需要が上回っている。
|
● |
現状では強い競合関係にある材料がみられないことから、アジア市場を中心に堅調な拡大が予想される。
|
|
■参入企業とメーカーシェア(2005年国内需要) |
メーカー名 |
販売量ウェイト(%) |
三井デュポンフロロケミカル |
44 |
ダイキン工業 |
30 |
旭硝子、他 |
26 |
合計 |
100 |
|
● |
国内の自動車向けフッ素樹脂市場の大手は上記の3社がメインであり、他には輸入品などが一部存在している。
|
● |
首位は三井デュポンフロロケミカルであり、シールリング材や電線被覆材用途で実績があり44%のシェアを獲得している。残り56%をダイキン工業と旭硝子の2社が二分している。
|
|
■今後の動向 |
● |
自動車用途で使用されているフッ素樹脂の需要量は2006年に、世界市場で年間15,000トンの規模があり2007年以降は、前年比4~5%増の伸長率で市場拡大が予想される。
|
● |
市場拡大の要因としては自動車生産台数の増加が鍵を握っており、世界規模で自動車の生産台数が増加していった場合、フッ素樹脂市場も成長するという構図(連鎖関係)がみられる。
|
● |
一方、今後、欧米や日本で先行しているハイブリッド車や燃料電池車の生産台数が増大して、ガソリン車が減少した場合には、耐油性・耐熱性を活かしたフッ素樹脂市場の縮小が予想される。
|
|
参考文献:「2006 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望」 (2006年3月27日:富士キメラ総研)
|
|