■カーナビゲーションシステムの製品概要 |
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カーナビゲーションシステムは下記の4タイプに分類される。
1)モニタをダッシュボード上に設置するオンダッシュ型 2)モニタも含めユニットを1DINスペースに設置するインダッシュ型 3)AV機能を備え主に2DINスペースに設置するAV一体型 4)バッテリーなどを備え携帯して使用できるポータブル型
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同製品は車載専用機を対象としポータブル型は対象外とする。
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通常、カーナビゲーションシステムの記録媒体にはCD-ROMやDVD-ROM、HDDなどが使用されている。本稿では、記録媒体として主流のDVD-ROMやHDDを使用した機種を対象とし、CD-ROMを使用した機種は対象外とする。
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■カーナビゲーションシステムの市場規模推移(2006~2010年予測、世界生産数量) |
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年次 |
2006年 |
2007年見込 |
2008年予測 |
2009年予測 |
2010年予測 |
世界生産数量 |
7,200 |
7,900 |
8,600 |
9,100 |
9,600 |
前年比 |
― |
109.7 |
108.9 |
105.8 |
105.5 |
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2006年におけるカーナビゲーションシステムの世界生産数量は720万台(国内生産量が480万台、海外生産量が240万台)である。2010年には960万台に拡大すると予測される。
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カーナビゲーションシステムの生産は、日系メーカーでは松下電器産業、デンソー、パイオニアなどが行っており、日系メーカーの生産量構成比は78%である。一方、海外メーカーの同構成比は22%であり、主な参入企業はドイツのBECKER(ベッカー)やSIEMENS VDV、韓国のHyundai Groupなどが挙げられる。
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■使用材料別需要構成 |
使用材料 |
構成比 |
需要傾向 |
金属 |
74% |
減少 |
樹脂 |
9% |
増加 |
その他 |
17% |
増加 |
合計 |
100% |
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需要構成は代表的なAV一体型の機種を対象とする。
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使用材料別には、金属材料が最も多く7割強を占める。樹脂材料は10%未満で使用量は比較的少ない。
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当該製品には、耐熱性、放熱性、精密成形性などの物性が要求され、高い信頼性が求められる構造部品や駆動部品が多いため金属材料の構成比が高くなっている。
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■カーナビゲーションシステム向けエンプラ・汎用樹脂の販売数量(2006年世界需要) |
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汎用樹脂 |
エンプラ |
合計 |
世界販売数量 |
650 |
1,150 |
1,800 |
構成比 |
36.1 |
63.9 |
100.0 |
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カーナビゲーションシステムに使用されている樹脂材料はエンプラの販売量が上回っている。その構成比は6割強を占める。
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■エンプラ・汎用樹脂の種類別販売構成比(2006年世界需要) |
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樹脂名 |
PS |
PE |
PP |
PVC |
ABS |
PMMA |
その他 |
合計 |
販売量構成比 |
0 |
0 |
0 |
6 |
66 |
17 |
11 |
100 |
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ABSはキャビネットなどに用いられており構成比が最も大きい。
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PMMAはバックライトユニットの導光板やプリズムシートの他に、モニタの前面板や光学部品などに使用されている。
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樹脂名 |
PC |
PA |
POM |
m-PPE |
PBT |
PPS |
LCP |
その他 |
合計 |
販売量構成比 |
64 |
6 |
5 |
10 |
3 |
4 |
5 |
3 |
100 |
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PCは主にキャビネット(ハウジング)に使用されており構成比が最も大きい。キャビネットなどにはABSも使用されているが、ノンハロ難燃性への対応が難しいことからPC/ABSの採用が主流である。
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m-PPEは耐熱性や難燃性、機械特性などが優れておりシャーシなどに採用されている。また耐熱性や精密成形性が要求される部品が多いためPPSやLCPなどのスーパーエンプラも使用されている。
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■今後の動向 |
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日本市場ではカーナビの普及率が高く飽和状態に近づいており、今後大きな需要拡大は見込めない状況にある。一方、北米は世界最大の自動車市場であるが当該製品の普及率が低く、今後、需要拡大が見込まれる。
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自動車部品の軽量化やコスト低減などの観点から構造部品や駆動部品などでは、金属材料から樹脂材料に代替が進んでいる。今後も耐熱性や精密成形性が優れたスーパーエンプラや汎用エンプラの採用が予想される。
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参考文献:「2007年 エレクトロニクス製品樹脂材料の世界市場」 (2007年5月23日:富士経済)
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