エマルジョン塗料の市場動向

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エマルジョン(emulsion)は分散質と分散媒が共に液体であり、液体の中で微粒子の状態で分散している分散系溶液である。別名、乳濁液と呼ばれている。

エマルジョン塗料は、主として水とアクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂などを配合して製造される。

エマルジョン塗料には常温乾燥型と焼付型があり、前者は主に木材製品や外装部材用途で使用されている。また1液型と2液型が上市されているが1液型の需要が中心である。

■エマルジョン塗料における材料特性
エマルジョン塗料の構成材料には、アクリル樹脂、アクリル・スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などが採用されているが、需要の中心はアクリル樹脂である。

アクリルエマルジョン塗料の耐候性を改良するには、溶剤系塗料と同様に、フッ素樹脂やシリケート材を導入すると塗膜の耐候性は向上できるが、コスト高になることが課題である。

添加剤には通常、分散剤や防腐剤、消泡剤などが使用されている。近年は抗菌剤、防カビ剤、防汚剤などの多様な高機能化材料が配合され高機能化が進んでいる。

■用途動向(2007年見込 国内需要)

用途別販売量構成比と主な用途 単位:%
用途 販売量構成比 用途例
建築物 60 建築内装用(天井、壁、床、手摺、他)、建築外装用(外壁、屋根、ベランダ、他)など
その他 40 自動車部品、家具(鋼製、木製)、容器、雑貨など
合計 100  
出所:富士キメラ総研
建築分野の需要は内装用と外装用に大別され、内装用の販売量比率が高いと推定される。

内装用途では、住宅内のシックハウス対策、学校などではシックスクール(教室内などで起こる健康障害)対応が要求されていることから、エマルジョン塗料の利用が浸透している。

■エマルジョン塗料の市場規模推移 (2006~2009年、2011年予測:国内需要)

市場規模推移及び予測 単位:t、%
年次 2006 2007見込 2008予測 2009予測 2011予測
販売数量 222,800 217,800 215,000 213,200 211,600
前年比 97.8 98.7 99.2
出所:富士キメラ総研
エマルジョン塗料は溶剤系塗料と比較すると有機溶剤の使用量が少ないという特徴が評価されている。また、水系の環境対応型塗料として有機溶剤系塗料の需要を奪い市場が拡大してきた。近年の市場は縮小傾向で推移している。

2007年のエマルジョン塗料市場は前年比97.8%の21万7,800t、金額では同100.8%の605億円と見込まれ、2011年には2006年比97.9%の592億円と予測される。

現状では主要な需要分野である建築市場が停滞しており、2008年以降のエマルジョン塗料市場も微減推移が予測される。

■メーカーシェア(2007年見込 国内需要)

メーカー名 販売量シェア(%)
日本ペイント 22
関西ペイント 22
エスケー化研 20
その他 36
合計 100
出所:富士キメラ総研
エマルジョン塗料市場は日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研(本社:大阪府茨木市)の3社で6割強のシェアを占め、上位3社の実績はほぼ拮抗している。

その他には、菊水化学工業(同:名古屋市)、恒和化学工業(東京都新宿区)、大日本塗料(大阪市此花区)、スズカファイン(三重県四日市市)、神東塗料(兵庫県尼崎市)などが挙げられる。

■今後の動向
エマルジョン塗料は「環境対応型製品」という側面から、有機溶剤系塗料を代替する方向性は今後も続いていく。

メイン用途の建築業界におけるエマルジョン塗料の切り替えは飽和状態に近い状況にある。今後は建築業界以外の用途での市場開拓が課題である。

参考文献:「2007年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」
(2007年10月22日:富士キメラ総研)


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