■市場別用途動向(2006年アジア市場) |
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用途\市場 |
日本を除くアジア市場 |
日本市場 |
電子機器 |
100 |
85 |
自動車 |
0 |
15 |
合計 |
100 |
100 |
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● |
2006年のPA9Tコンパウンド市場は、日本を除くアジア市場が5,200t、日本市場は2,300tとなり、69対31という需要構造がみられる。日本を除くアジア市場は日本市場の実績を2倍以上うわまわっている。
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● |
日本を除くアジア市場では、PA9TコンパウンドはSMT(表面実装型)コネクタに代表される電子部品向けが100%を占めている。
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● |
特に中国では、主にSMTコネクタの生産拠点が集中する傾向にあり、今後もSMT電子部品の中国生産が拡大する見通しである。
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● |
日本市場では、SMT電子部品の生産が中国にシフトしているが、PA9Tは元々日本先行型で市場開拓が行われてきたため、依然として日本でも底堅い需要がある。
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■PA9Tコンパウンドの用途・使用部位(2006年アジア市場) |
区分 |
用途・使用部位など |
電子機器 |
鉛フリーハンダに対応したSMT電子部品(SMTコネクタ、SMTスイッチなど)、LEDリフレクタ(携帯電話用バックライト部品)など |
自動車 |
ベアリングリテイナー、ヘッドランプアクチュエータギア、スライドドアのローラ、エンジンルーム内部品、ワイヤハーネスコネクタなど |
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■PA9Tコンパウンドの市場規模推移(2006~2009年、2011年予測:アジア市場) |
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区分\年次 |
2006 |
2007見込 |
2008予測 |
2009予測 |
2011予測 |
日本を除くアジア |
5,200 |
6,600 |
8,300 |
10,450 |
16,300 |
前年比 |
― |
126.9 |
125.8 |
125.9 |
― |
日本 |
2,300 |
2,400 |
2,700 |
3,050 |
3,900 |
前年比 |
― |
104.3 |
112.5 |
113.0 |
― |
アジア全体 |
7,500 |
9,000 |
11,000 |
13,500 |
20,200 |
前年比 |
― |
120.0 |
122.2 |
122.7 |
― |
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● |
ニートPA9T樹脂と他の材料との複合化製品(GF強化グレードなど)をPA9Tコンパウンド(着色とGF強化等は含む)と捉え、着色のみのコンパウンドは対象外とした。
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● |
2007年のPA9Tコンパウンドのアジア市場は、前年比120.0%の9,000t、金額では同120.2%の81.5億円と見込まれ、2011年には2006年比269.9%の183億円と予測される。
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● |
日本を除くアジア市場は2008年以降、中国が需要の中心となりSMTコネクタ需要が牽引し、PA9Tコンパウンド市場は前年比25~26%増という高い伸長率が予測される。
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● |
日本市場はSMTコネクタ向けが需要を牽引し、PA9Tコンパウンド市場は拡大傾向にある。しかしSMTコネクタの生産拠点は中国にシフトしている。2008年以降は自動車向けが牽引し、前年比2桁成長が予想される。
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■参入企業とメーカーシェア(2006年アジア市場) |
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メーカー名 |
販売量シェア(%) |
クラレ |
100 |
合計 |
100 |
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● |
PA9Tは炭素数9のノナンジアミンとテレフタル酸との重縮合体である。PA9Tモノマー(ノナンジアミン、テレフタル酸)の特許はクラレが持っており、PA9Tの生産は世界で唯一クラレのみが行っている。「ジェネスタ」のブランド名で商用化している。
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● |
ジェネスタの材料特性は、低吸水性、摺動性、高絶縁性、耐薬品性などが良好であり、特に耐熱性に優れた耐熱性ポリアミド樹脂である。
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● |
PA9Tの重合拠点は、関連会社のクラレ西条(愛媛県西条市)とクラレの鹿島事業所(茨城県神栖市)にあり、2008年の生産能力は11,000tに高め、2010年には12,500tの規模に増強していく方針である。
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■今後の動向 |
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SMTコネクタは小型低背化が要求されており、GF強化グレード/難燃グレードを中心に高靭性のあるPA9Tコンパウンドが開発され上市されている。
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● |
特に、携帯電話に代表される小型電子機器のSMTコネクタ用途では、薄肉成形しても靭性の高い材料(PA9T)の需要が増加傾向にある。
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参考文献:「2007 コンパウンド市場の展望と中国・アジア戦略」 (2007年6月14日:富士経済)
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