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拡散板は、液晶パネルの背面にあるバックライト(BL)ユニットに配置され、CCFL(冷陰極管)ランプの光を効率的にムラなく液晶パネルに伝える製品である。
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BLのタイプは、直下型とエッジライト型に分けられる。本稿では直下型に使用する拡散板を対象とする。直下型は、主に20インチ以上の大型パネルに採用されている。
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■エレクトロニクス分野における高分子材料・部品の特徴 |
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拡散板は、CCFL(光源)に隣接して配置されているため、光の拡散機能以外には、耐熱性、寸法安定性などの物性が要求される。使用素材は主にMS樹脂(スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂)、PS樹脂、PC樹脂などが採用されている。
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拡散板はMS、PSなどのベース樹脂にアクリルやシリコーンなどの光拡散剤を配合し、光の拡散機能を高めている。どのような拡散剤をどの程度配合するかは各社のノウハウになっている。
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■用途動向(2007年見込 世界需要) |
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用途 |
販売量構成比 |
具体的用途例 |
液晶バックライトユニット(直下型) |
100 |
液晶テレビ、液晶モニタ |
合計 |
100 |
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拡散板の用途は、主に20インチ以上の液晶バックライトユニット向けである。
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■液晶バックライト用拡散板の市場規模推移(2006~2009年、2011年予測:世界需要) |
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年次 |
2006 |
2007見込 |
2008予測 |
2009予測 |
2011予測 |
販売数量 |
36,300 |
61,000 |
81,600 |
102,900 |
135,400 |
前年比 |
― |
168.0 |
133.8 |
126.1 |
― |
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液晶バックライト用拡散板の世界市場(2007年見込)は、前年比168.0%の6.1万t、販売金額は同144.9%の394億円と見込まれ、2011年には2007年比205.8%の811億円と予測される。
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今後も大型液晶テレビ向けの需要を中心に、拡散板市場の拡大が見込まれる。また、海外メーカーの低価格製品が台頭しており、日系メーカーとの価格競争が予想される。
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■採用素材動向(2007年見込 世界需要) |
構成部材 |
使用部品・材料 |
販売量構成比(%) |
基材 |
MS、PS樹脂 |
85 |
PC樹脂 |
10 |
シクロオレフィン樹脂(COP) |
2 |
光拡散剤 |
アクリル、シリコーンなど |
3 |
合計 |
100 |
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基材には、MS(スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂)系、PS系樹脂が主に採用されている。高付加価値製品として帝人化成などがPC拡散板を販売し、日本ゼオンが独自技術で開発したゼオノア拡散板を販売している。
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■参入企業とメーカーシェア(2007年見込 世界需要) |
メーカー名 |
販売量シェア(%) |
住友化学 |
39 |
Entire Technology(台湾) |
11 |
奇美実業(CMO)(台湾) |
11 |
Samsung Cheil(韓国) |
10 |
帝人化成 |
8 |
旭化成ケミカルズ |
6 |
その他 |
15 |
合計 |
100 |
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● |
住友化学は、多くのバックライトメーカーに拡散板の供給実績がありトップシェアを獲得している。同社は愛媛、韓国、中国、ポーランドに生産拠点を配し、安定した供給体制を整備している。ユーザーからの信頼性が高く販売量を伸ばしている。
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Entire Technologyは2003年に設立され、本社は台湾の桃園にある。
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その他メーカーとしては、SABIC Innovative Plastics(旧GEプラスチックス)やタキロンなどが挙げられる。
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■今後の動向 |
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液晶パネル(特に大型)の販売量の増加に伴って、液晶バックライト用拡散板の市場は拡大してきたが、金額ベースではコスト低減要求が強いため、採算面では厳しい状況が続いている。
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参考文献:「2008年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」 (2007年12月7日:富士キメラ総研)
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