液晶配向膜の市場動向

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液晶ディスプレイは液晶分子の誘電率異方性という特性を利用し、液晶分子の配向を変化させることで表示を行なっている。

液晶セル内の液晶配向膜は、液晶分子を所定の方向に配列させる目的で、ガラス基板と液晶層との界面に設けられている。本稿では供給メーカー向けにカスタマイズされた液晶配向膜を対象とする。

■エレクトロニクス分野における高分子材料・部品の特徴
液晶配向膜に液晶配向能を付与する方法は、ラビング処理の他には、基板表面に形成したポリイミドなどの感光性薄膜に 偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向法が利用されている。光配向法は静電気やほこりが発生することなく、均一な液晶配向をつくることができる。

■用途動向(2007年見込 世界需要)

用途別販売量構成比と主な用途 単位:%
用途 販売量構成比 具体的用途例
TFT-LCD 89 液晶TV・モニタ、ノートPC、携帯電話
TN-LCD 電卓、デジタル時計
STN-LCD 携帯電話など
合計 100  
出所:富士キメラ総研
液晶TV、液晶モニタなどの用途でTFT-LCD向けの需要が圧倒的に多い。TFT-LCDの中でもVA、IPSモードが急拡大している。

携帯電話にはSTN-LCDとTFT-LCDが採用されている。近年はTFT-LCDや有機ELを使用したディスプレイに需要がシフトしている。

液晶を駆動するには2つの電極を片側の基板面に配置し、基板に平行な電界を発生させ、液晶分子をコントロールする横電界型液晶表示素子が使用されている。この素子はインプレーンスイッチング(IPS)型と呼ばれ視野角特性が優れている。

■液晶配向膜の市場規模推移(2006~2009年、2011年予測:世界需要)

市場規模推移及び予測 単位:t、%
年次 2006 2007見込 2008予測 2009予測 2011予測
販売数量 530 670 830 1,000 1,350
前年比 126.4 123.9 120.5
出所:富士キメラ総研
液晶配向膜の世界市場(2007年見込)は、前年比126.4%の670t、販売金額は同119.9%の368億円と見込まれ、2011年には2007年比159.2%の586億円と予測される。

液晶TVの大画面化やTV放送のデジタル化の進展を背景として、今後も液晶パネルの旺盛な需要に支えられ、液晶配向膜市場は、高い成長を維持するものと予測される。

■採用素材動向(2007年見込 世界需要)

構成部材 使用部品・材料 販売量構成比(%)
液晶配向膜 ポリイミド樹脂
溶剤など 93
合計 100
出所:富士キメラ総研
配向膜に使用する材料はポリイミド樹脂や溶剤などで構成されているが、ポリイミド樹脂の販売重量比率は7%程である。

ポリイミドは通常黄褐色しており、配向膜にするには透明性が求められる。そのため、一般的にはモノマー以外に、酸ニ無水物やジアミンなどを配合し、溶剤を加えて配向膜が製造されている。

■参入企業とメーカーシェア(2007年見込 世界需要)

メーカー名 販売量シェア(%)
JSR 48
日産化学工業 37
チッソ 10
その他
合計 100
出所:富士キメラ総研
液晶TVの需要が拡大しており、TFT-VAモードに強いJSRがトップメーカーである。

日産化学工業はTFT-NTモードに強いメーカーであるが、近年はVA、IPSモードの実績が伸びている。チッソは特にTFT-LEDのIPSモード向けに注力している。

■今後の動向
液晶配向膜は液晶パネルの製造に不可欠な材料であり、今後、液晶パネルの生産増加に伴い配向膜市場も順調な拡大が見込まれる。

一方、光配向膜という新たな技術や材料を利用した液晶ディスプレイが開発されている。長期的に捉えた場合、現在のポリイミド系配向膜が、今後も優位な立場で存在するかについては未知数である。

参考文献:「2008年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」
(2007年12月7日:富士キメラ総研)


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