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エンボスキャリアテープはPS、PC樹脂などのシートを押出成形や真空成形で製造し、ポケット状に加工した製品である。電子部品やICの収納、搬送、保管などに使用される包装材料である。
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■エレクトロニクス分野における高分子材料・部品の特徴 |
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エンボスキャリアテープの形状は、テープ状でありエンボス成形されたポケット構造が連続的に続いている。
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実装部品の小型化によるポケットの微細化が進んでおり、ポケットの寸法精度や品質などが厳しく要求されてきている。
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電子部品などを収納した後は、フィルム状のカバーテープで蓋をしてリールに巻かれ、電子機器メーカーなどに納品されている。
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■用途動向(2007年見込 世界需要) |
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用途 |
販売量構成比 |
具体的用途例 |
電子部品 |
68 |
コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、コネクタなど |
ICパッケージ |
32 |
BGA、QFP、SOJ、TSOP、SCPなど |
合計 |
100 |
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電子部品などのチップ化が進んでおりエンボスキャリアテープの採用機会が増えている
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■エンボスキャリアテープの市場規模推移(2006~2009年、2011年予測:世界需要) |
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年次 |
2006 |
2007見込 |
2008予測 |
2009予測 |
2011予測 |
販売数量 |
41,000 |
44,000 |
46,300 |
48,500 |
52,400 |
前年比 |
― |
107.3 |
105.2 |
104.8 |
― |
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エンボスキャリアテープの世界市場(2007年見込)は、前年比107.3%の4,400万m2、販売金額は同102.6%の429億円と見込まれる。2011年は2007年比102.6%の440億円と予測される。2、販売金額は同110.1%の567億円と見込まれ、2011年には2007年比115.7%の656億円と予測される。
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当該製品は被包装物である電子部品や半導体需要に左右される市場である。近年は、液晶テレビやデジタル家電などのアプリケーション市場が堅調であることから、当該市場も拡大基調を示している。
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■採用素材動向(2007年見込 世界需要) |
構成部材 |
使用部品・材料 |
販売量構成比(%) |
原反シート |
PS樹脂系 |
68 |
PC樹脂系 |
17 |
PET樹脂系 |
12 |
その他 |
3 |
合計 |
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100 |
出所:富士キメラ総研 |
販売量構成比は面積ベースのフィルム販売量を重量換算して算出。 |
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エンボスキャリアテープに採用される原反シートはPS系が最も多い。PS系のシートは樹脂単価が安く、製造時の温度幅が広い。シートの種類が豊富であるなどスタンダードな原反シートである。
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■参入企業とメーカーシェア(2007年見込 世界需要) |
メーカー名 |
販売量シェア(%) |
3M(米) |
15 |
Advantek(台湾) |
12 |
信越ポリマー |
11 |
C-PAK(シンガポール) |
11 |
その他 |
51 |
合計 |
100 |
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エンボスキャリアテープ市場のトップメーカーは3Mであり、日本では住友スリーエムが事業を展開している。
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信越ポリマーは原反シートから一貫生産を行っているため、ユーザーニーズに合わせた製品提供が可能である。
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■今後の動向 |
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薄型テレビなどアプリケーション市場の拡大を背景に、エンボスキャリアテープの使用量が増加しており、今後も市場の拡大が予測される。
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数量ベースの市場は堅調に推移しているが、金額ベースでは価格競争あり販売価格が低下し、伸長率は低い伸びが予想される。
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参考文献:「2008年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」 (2007年12月7日:富士キメラ総研)
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