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エンプラ(汎用・スーパーエンプラ)の世界需要は、2008年後半からの米国金融危機を機に下降傾向が顕著となり、2009年は数量ベースで約6,698万t(2006年比9.5%減)に縮小した。
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特にスーパーエンプラは2009年で急激な下降を示したが、2010年には回復する見込みである。しかしながら汎用・スーパーエンプラ両樹脂ともに2007時点の市場規模水準に戻るのは2012年以降と推測される。
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■汎用エンプラ市場の現状 |
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自動車の需要が世界的に回復してきたことに伴い、自動車部品、特に電装品の搭載率拡大及びハイブリット車やEV(電気自動車)の普及が更なる市場回復のキーポイントとなっている。
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一方、電気電子部品はスマートフォンやタッチパネル携帯端末の普及が市場を牽引している。
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本稿で対象としているエンプラ(汎用、スーパー)は以下のアイテムである。 |
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区分 |
対象グレード |
汎用エンプラ (7品目) |
ポリカーボネート(PC)、ポリアミド6 (PA6)、ポリアミド66 (PA66)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET) |
スーパーエンプラ (18品目) |
ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6T (PA6T)、ポリアミド9T (PA9T)、ポリアミドPA11,12 (PA11,12)、ポリアミドMXD6(MXD6)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS) |
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■汎用エンプラとスーパーエンプラのワールドワイド市場規模推移と予測 |
摘要\年 |
2006年 (実績) |
2007年 (実績) |
~ |
2009年 (推定) |
~ |
2012年 (予測) |
エンプラ |
数量 |
6,898 |
7,260 |
~ |
6,360 |
~ |
8,000 |
対前年比 |
- |
105.2% |
- |
- |
スーパーエンプラ |
数量 |
421 |
457 |
338 |
490 |
対前年比 |
- |
108.6% |
- |
- |
合計 |
数量 |
7,319 |
7,717 |
|
6,698 |
|
8,490 |
対前年比 |
- |
105.4% |
- |
- |
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地域 |
汎用エンプラ |
スーパーエンプラ |
汎用エンプラ +スーパーエンプラ |
日本 |
12.1% |
23.9% |
12.8% |
中国・台湾 |
25.6% |
18.6% |
25.1% |
その他アジア圏 |
11.1% |
6.2% |
10.9% |
北米 |
26.4% |
26.3% |
26.4% |
欧州 |
23.7% |
23.8% |
23.7% |
その他 |
1.1% |
1.2% |
1.1% |
合計 |
100.0% |
100.0% |
100.0% |
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汎用エンプラは中国・台湾及びその他アジア圏の需要が拡大方向にある。欧米は需要量は大きいが、成熟段階にあり、日本も同様な傾向といえる。
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一方、スーパーエンプラは、米国が26.3%と最も多い需要地域である。ついで日本、欧州、日本を除くアジアである。特に日本やアメリカはICT/エレクトロニクス産業が盛んであることから、スーパーエンプラの比率が高くなっている。
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用途別需要動向(2007年数量ベース換算) 汎用エンプラ |
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用途 |
日本 |
中国・台湾 |
その他アジア圏 |
北米 |
欧州 |
その他 |
世界合計 |
電気・電子用途 |
9.3% |
41.1% |
16.1% |
17.1% |
15.7% |
0.7% |
100% |
自動車用途 |
16.8% |
7.0% |
9.1% |
34.7% |
31.2% |
1.4% |
100% |
その他用途 |
11.4% |
24.4% |
8.2% |
28.9% |
25.8% |
1.3% |
100% |
合計 |
12.1% |
25.6% |
11.1% |
26.4% |
23.7% |
1.1% |
100% |
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用途 |
日本 |
中国・台湾 |
その他アジア圏 |
北米 |
欧州 |
その他 |
世界合計 |
電気・電子用途 |
23.5% |
31.7% |
9.8% |
21.2% |
12.7% |
1.2% |
100% |
自動車用途 |
28.8% |
5.3% |
2.4% |
32.4% |
31.1% |
0.0% |
100% |
その他用途 |
19.4% |
16.5% |
5.9% |
26.2% |
29.5% |
2.4% |
100% |
合計 |
23.9% |
18.6% |
6.2% |
26.3% |
23.8% |
1.2% |
100% |
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電気・電子用途では、日米欧のメーカーが中国を中心としたアジアに生産拠点を移管しているため、アジア地域でのシェアが飛び抜けて大きいのが特徴である。
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自動車用途は欧米市場が最大のシェアを占めているが、アジア地域(特に中国・タイ・インド)に生産拠点が移転し始めた為、同地域でもシェアが伸びている。また、自動車の軽量化・省エネ向上ニーズに対応するため、自動車部品の樹脂化が進展しており、中長期的に拡大傾向にある。
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参考文献:「2008年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」 (2008年5月23日:富士キメラ総研) |
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