ポリアセタール(POM)の市場動向

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■市場規模推移及び今後の予測
(ワールドワイド数量ベース2006〜2013年:推定)

摘要\年 2006年(実績) 2007年(実績) 2008年(見込) 2009年(予測) 2010年(予測) 2011年(予測) 2012年(予測) 2013年(予測)
数量(千t) 770 790 810 830 850 870 890 910
対前年比(%) 102.6 102.5 102.5 102.4 102.4 102.3 102.2
富士経済調べ
上記に示した数量はPOM メーカーがニートレジン(パウダも含む)或いはコンパウンド品として販売した合計値の推移である。尚、コンパウンド品の需要ウェイトは上記数量の約25%程度である。

POM は中国を中心としたアジア地域の電気・電子分野や雑貨向け用途、及び近年の自動車分野の拡大により需要が増加している。

今後も自動車分野の車載樹脂部品・燃料系周辺の用途拡大が牽引役となり、安定的に需要が増加していくと予測される。

2008年以降POMメーカー各社がプラントの新増設を計画しているため、需給バランスが懸念されている。

■用途動向

用途 分野 用途部位例 要求特性




OA機器部品 コピー機・デジタル複合機、ファクシミリ・複合機(紙を排出するための回転体ギア)、インクジェットプリンタやレーザープリンタ、パソコンのキーボード(キーボードシュテム)等 摺動性、強度、耐疲労性
AV機器部品
(音響機器部品)
車載用オーディオ機器(カーナビ等)、DVDプレイヤやDVDレコーダ、光ピックアップ(スライドベースラック、シャッタラック、ギア)、フロッピーディスク、VTR等
家電部品 洗濯機、ゲーム機、テレビ、冷蔵庫、エアコン、ジュースミキサー、タイマー等
電気電子部品
その他
モータートランス、マイクロスイッチ、携帯電話部品等




燃料系部品 燃料ポンプモジュール部品(乗用車)、燃料ポンプ(ディーゼル車)等→POMにCFを配合した導電グレードが採用されている 強度、耐疲労性、耐熱性、耐薬品性、バネ弾性、ガソリン透過性
ドア回り部品 ウィンドレギュレータ、パワーウィンド、ドアロック等 強度、耐疲労性、低VOC
内装部品 シートベルト(ex.パワーシートギア)、エアバッグ(前面、側面、天井)、ハンドル、ワイパー、レバー、メーター、インナードアハンドル、サンルーフ等
クリップ・ファスナー クリップ・ファスナー 強度、耐疲労性、バネ弾性、耐薬品性、耐熱性
電装部品
その他
スイッチ、ウィンカー、エアコンバルブ等 強度、耐疲労性
産業機器 スプリンクラー、給水機器、食品製造撹拌機(羽根)、建材(ex.サッシローラ、カーテンフック)、工場設備機器(ex.搬送機スクリュー、ベルトコンベア、チェーン)、キッチン/浴室シャワー水栓部品(散水板、開閉ボタン)、トイレ/洗面水栓部品、緑化資材(ジオグリッド:ジオテキスタイルの1つ、土壌補強が目的)、芝刈機部品等 強度、耐疲労性、バネ弾性、耐薬品性
その他
(主に雑貨)
玩具(ミニカー、人形、クリップ)、医療機器、衣料(ex.ファスナー、バックル、ジッパー)、スポーツ用品(ex.スキー板)、使い捨てライター、医療用具(インスリン注射器、噴霧式や粉体の吸入器、等)、食器トレイ、DIY用品(電動工具類)等 強度、耐疲労性等

電気電子分野
電気・電子分野ではPOMはギアで採用されている。ギア音の低騒音化が図れる為、低摩耗・低摩擦性の高い「摺動グレード(更に特殊と汎用がある)」の需要が拡大している。

プリンタ・ファクシミリ・コピー機等のOA機器用ギアでは高精度要求から、低粘度の摺動グレードが採用されている。一方、家電部品用ギアでは中高粘度の摺動グレードが採用されている。

キーボードシュテムは摺動性、強度、耐疲労性要求から採用されている。

自動車分野
日本の自動車分野ではPOMは車1台あたり約4.5kg(燃料系部品は1kg、ドア回り部品は1kg、内装部品は1.5kg、クリップ・ファスナーは500g、電装部品その他は500g)の使用量と推定される。海外では約2.5kgと推定される。この使用量の差はPOMの高機能化による技術力の差とみられる。

燃料系部品では耐油性が要求される為、燃料系部品のモジュール化に伴い世界的にPOMの採用が拡大してきている。

自動車はリサイクルの観点から解体し易さが要求されるため、クリップ・ファスナーが自動車1台当たり500個程使用されている。クリップ・ファスナーには耐熱性や耐油性が要求される為、樹脂材料はPOMとPAが主流である。ただPOMは「低吸水性」「手離れの良さ(カチッと固定する必要がある)」がポイントとなり採用されている。

自動車・産業機器向けでは耐侯性に対する要求が高い為、耐候性を更に改善したグレードが求められている。

■主要参入メーカーシェア

メーカー名 シェア(%)
ポリプラスチックス 24.7
ティコナ 19.1
デュポン 16.6
韓国エンジニアリングプラスチックス 12.5
三菱エンジニアリングプラスチックス 11.4
旭化成ケミカルズ 5.4
BASF 2.5
KTPインダストリーズ 1.3
その他 6.5
富士経済調べ


ポリプラスチックス(ティコナとダイセル化学の合弁会社)はアジア向け、ティコナは欧米向けを主体に事業展開を行っている。

旭化成ケミカルズは自動車分野やOA 機器向けに強く、近年は特に燃料ポンプモジュール部品向けでの実績が高い。

KTP インダストリーズでは、製造が同社、販売はコーロンと東レが行っていた。しかし2005 年に「製造・販売・開発」の全てをKTP インダストリーズに集約し、現在はKTP ブランドで販売している。

云天化や藍星集団、蘭花集団など中国の新興企業がでプラント新設の計画を打ち出しており、中国からの供給能力は一段と高くなるとみられる。

■今後の動向
技術開発動向(2007 年)
自動車分野では室内空間から発生する極微量のホルムアルデヒドを抑制する為に、自動車内装部品向けに低VOC グレードのPOM が開発・上市されている。

摺動性を向上させたグレード開発が活発であり、ギア用の静音性、磨耗性、寸法安定性を改良したグレードなどが開発されている。

ナノコンポジットや金属・汎用樹脂(土木建築分野のPP やPE)代替を目指したグレード、意匠性に優れた外観部品用グレードの開発が進められている。

今後の方向性
自動車分野では中国やタイを中心としたアジア地域に自動車部品の生産シフトが進行している。その為、アジア地域における自動車分野のPOM 需要は引き続き拡大すると予測される。

参考文献:「2008年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」
(2008年5月23日:富士キメラ総研)


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