■市場規模推移(2006〜2013年:ワールドワイド数量ベース) |
摘要\年 |
2006年(実績) |
2007年(実績) |
2008年(見込) |
2009年(予測) |
2010年(予測) |
2011年(予測) |
2012年(予測) |
2013年(予測) |
数量(千t) |
690 |
720 |
755 |
791 |
827 |
863 |
899 |
935 |
対前年比(%) |
― |
104.3 |
104.9 |
104.8 |
104.6 |
104.4 |
104.2 |
104.0 |
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● |
PBTは成形性、機械特性、耐熱性、耐薬品性に優れ、コネクタなどの電子部品や、OA 機器の機能部品、自動車部品、医療機器、住宅資材、精密機器などに採用されている。
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● |
近年の自動車のエレクトロニクス化拡大により車載電装部品向け需要や、中国を中心としたアジア圏での家電/OA機器部品向け需要が拡大している。
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■用途動向 |
用途分野 (需要構成比率) |
用途部位例 |
自動車部品(37%) |
ハーネスコネクタ、ECU ケース、ランプリフレクタエクステンション、リレーブロック、イグニッションコイル、スイッチ、エアバッグ用通電部品、ギア、ロック、ドアミラーステイハウジング、アウターハンドル等。 |
電気・電子部品(36%) |
コネクタ、スイッチ、リレー、マイクロスイッチ、コンデンサケース、メディアドライブフレーム、キーボード、トリマ、プリンタ駆動部ハウジング等。 |
フィルム・押出品(7%) |
シュリンクラベル、容器トップフィルム、PBT ラミネート紙、鋼板ラミネート、冷却ファン等。 |
その他(20%) |
医療機器、住宅資材、住宅用壁材、事務機器、水道部品、ガス機器、エアゾールバルブ、排気ガス対策バルブ、ドライヤ・整流器等。 |
*需要構成比率の数値は2007年ワールドワイド数量ベースの推定比率(富士経済調べ)。 |
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● |
PBT は吸水性が極めて低く、広範囲の温度や湿度下にあっても長期にわたって優れた電気的特性を保持できるほか、成形性、機械特性、耐熱性、耐薬品性などの機能が評価され、コネクタ、マイクロスイッチ、コンデンサケースなどの電子部品、車載電装部品などに採用されている。
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● |
電気・電子部品向けは、中国を中心とした日本以外のアジア地域では汎用スイッチやコネクタの需要が多く、日米欧からの生産移管が進展している。日米欧では特殊スイッチや小型コネクタ向けなど特化した需要があり、ノンハロ難燃グレードや電気安全規格に対応した要求仕様となっている。
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● |
自動車部品では、耐熱性、剛性、靭性、電気特性などの点でハーネスコネクタ、ECUケース、ランプリフレクタエクステンション等に採用されている。
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● |
コネクタなどリフローハンダ工程を伴う製品では高耐熱性が求められており、一部PPS やLCP のスーパーエンプラにシフトしているケースもみられるが、自動車電装品ではモジュール化が進展しており、PBT採用が主力である。
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● |
PBTフィルムはPETボトルのシュリンクラベル、生麺の容器トップフィルムなどに一部採用されている。PET 単体ではシュリンクしないため、PBT は必要不可欠となっている。また、弁当容器などに使用される区分け紙に、レンジにも対応できるPBT/紙ラミネートが使用されている。フィルム・押出品需要はコンビニ関連商品向けの需要が主であり、大半は国内向けである。しかし、近年PBT の価格上昇に伴ない需要は減少している。
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■主要参入メーカーシェア(2007年 ワールドワイド数量ベース) |
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SABICイノベーティブプラスチックスは日本でのシェアは低いものの、欧米でのシェアが高い。独自の非ハロゲン系添加剤を使うことで優れた難燃性を付与するとともに電気特性も高め、環境規制に対応した素材として市場優位性が高い。
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● |
デュポンも日本でのシェアは低いものの、欧米でのシェアが高い。30 種類以上のグレードを持ち、その半数が難燃性グレードである。
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ウィンテックポリマーは自動車分野に特に注力し、ECU ケース、ランプ回り等自動車向け特殊グレードの開発を進めている。電気電子分野では低そり特性の改良、環境対応ノンハロゲン製品の改良を進め、近年、注力しているのはゲーム機用途や設備関連の空圧部品・水回り部品などである。
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三菱エンジニアリングプラスチックスは、テレフタル酸および1,4 ブチレングリコール(1,4 ブタンジオール)からポリマーまでの一貫生産が強みである。パワーリレー向けに新グレードを開発、また、自動車分野ではECUケースに注力し、高機能製品で新規用途を開拓している。
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東レは自動車分野に強く、国内ではワイヤーハーネス、自動車電装品向けに販売を伸ばしている。アロイ原料であるABS やPET を自社調達できることも東レの強みである。
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■技術開発動向(2007年) |
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環境意識の高まりからエレクトロニクス製品に使用されるPBT のノンハロ難燃グレードの環境対応材料の開発が活発である。エレクトロニクス製品の主要メーカーは独自に臭素化合物の使用を制限する動きもあり、今後の動向が注目される。
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参考文献:「2008年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」 (2008年5月23日:富士キメラ総研) |
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