フッ素樹脂の市場動向

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■市場規模推移及び予測(2006~2013年 数量ベース)

年次 2006年(実績) 2007年(実績) 2008年(見込) 2009年(予測) 2010年(予測) 2011年(予測) 2012年(予測) 2013年(予測)
数量(千t) 123 135 147 160 173 186 199 212
対前年比(%) 109.8 108.9 108.8 108.1 107.5 107.0 106.5
富士経済調べ
上記の数値にはPTFE、FEP、PFA、ETFE、ECTFE、PVDF、PCTFE、PVFを対象としている。

中国・アジアの成長に伴い、年率7~10%の比率で増加している。アジアでは、需要の大半がPTFEである。

中国メーカーやロシアメーカーが低価格のPTFEで大挙して市場に参入し始めている。今後、中国メーカーやロシアメーカーの動きはフッ素市場全体の構造変化を引き起こす可能性もある。

■用途別需要先

1)需要分野別用途部位
用途分野 用途部位例
電気電子・通信用 絶縁電線(機器配線用)、高周波用同軸ケーブル、LANケーブル、光ファイバー、耐熱絶縁電線、同軸ケーブル、携帯電話アンテナリード線、無線ルーター基板(高周波用基板)、携帯電話基地局(高周波用基板)OA機器部品(トナー定着ローラー(非熱ヒートロール/加圧ロール)、軸受け/紙送りコロ、剥離爪、等)
半導体製造装置 高純度薬品の製造装置、薬品搬送・貯蔵容器、回転成形ボトル、継手、チューブ、ウエハーキャリア、配管材料、ポンプ、フィルター、エッチング槽、等
自動車・建機 ボデイ関連部品、トランスミッション、シャーシー、電装品、エンジン部品、シールリング(ピストンリング、ベアリング油圧用、等)、オイルシール、ベアリングパッド、燃料ホース、プッシュプルケーブル、ドアウィンドウスタビライザー、センサーケーブル等
化学工業 バルブ、ライニング(ポンプ、直管、継手類、塔、槽類)、ホース、ベローズ、ガスケット、ラヒシリング、熱交換器、等
その他 建築用(アーケード、スライディングパッド、等)、機械・産業用(食品製造用ベルトコンベアーベルトコンベア、移送用ホース類(醸造関係)、クッキングシート、フレキシブルホース、等)

電気電子・通信用の比率は約3割と最も高く、アメリカ、ヨーロッパ、中国を主な需要地域としている。

次いで化学工業用途が全体の2割を占める。ヨーロッパと中国が需要地域のメインであり、今後とも中国での需要拡大が予測される。

電気・電子部品では、電気特性、難燃性、外観性などの特性から、スイッチ、コイルボビン、プリント基板などの電子部品に採用されている。

その他用途は産業機械、土木、生活品、等など多岐に亘る。

海外の太陽電池用バックシートにはPVFが採用されている(日本はPET系が主流)。

2)フッ素樹脂種類別用途部位
種類 用途部位例
PTFE パッキン、ガスケット、バルブシート、軸受け、類。非粘着コーティング、電線被覆、シールテ―プ、ガラスクロス含浸、等
FEP 電線被覆、離型フィルム、フィルム(変圧器の絶縁、栽培室、破裂板のカバー、お菓子の焼型)、耐蝕ライニング、等
PFA 半導体工場用薬液ホース・バルプ、チューブ類。電線被覆、耐蝕ライニング。ウェハバスケット、等
ETFE 電線被覆、耐蝕ライニング、グリーンハウスフィルム、等
ECTFE プレナムケーブル(FEPへ移行している)、耐蝕ライニング、等
PVDF 耐熱塗料、バルブ、パイプ、チューブ、ポンプハウジング、釣り糸リチウムイオン二次電池の電極バインダー、中空糸膜
PCTFE LNG配管、薬包フィルム、高圧ガスケット、バルブシール
PVF 内外装建築ラミネート、太陽電池用バックシート

3)フッ素樹脂種類別需要構成比(2007年)
種類 構成比(%)
PTFE 57.0
FEP 10.4
PFA 5.9
ETFE 4.4
ECTFE 0.7
PVDF 18.1
PCTFE 0.7
PVF 2.6

■参入企業とメーカーシェア(2007年 ワールドワイド数量ベース)

メーカー名 シェア(%)
デュポン 31.5
Solvay Solexis 18.1
ダイキン工業 18.1
旭硝子 9.6
Dyneon 9.6
ARKEMA 5.7
呉羽化学 1.0
Honeywell 0.4
その他 5.9
富士経済調べ

世界ではデュポンが3割以上でトップシェアとなっており、これに続くSolvay Solexis とダイキン工業が二番手グループを形成している。また3番手グルーブでは旭硝子とDyneonが拮抗している。

各メーカーは、中国メーカーの参入によるPTFE の低価格化を契機に、高付加価値製品シフトと独自用途の開拓に注力すようになっている。例えばデュポンはPFA、ダイキン工業はFEPに注力している。

ARKEMAはPVDFのみの展開だが、乳化重合方式を採用し、耐熱塗料向けで高いシェアを有している。

その他では、上海3F、浙江巨化、山東東岳、江蘇梅蘭、済南、阜新などの中国メーカーの動向が今後の焦点となる。中国には20社程度が既に参入している。ロシアには数社あり、その他アジアにもメーカーが存在すると見られている。

■今後の方向性
中国及びロシアのメーカー等新規参入メーカーが低価格路線で市場拡大を図る動きは、今後とも一層活発になると予想される。しかも中国メーカーは安価なPTFE を主体として事業展開しているが、やがてPCTFE など他樹脂へ参入してくることは時間の問題であり、フッ素樹脂市場全体を巻き込んだ業界構造の変化が始まっている。

このため、既存メーカーは販売量に占めるPTFEへの依存率を低下させる動きを強めており、高機能かつ高価格なフッ素樹脂を中心にした事業体制の構築を急いでいる。

同時に、各社の生産能力は慢性的にタイトな状況が続いているため、中国・アジア拠点の新設や増設も進めてゆく方針である。

参考文献:「2008年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」
(2008年5月23日:富士キメラ総研)


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