液晶ポリマー(LCP)の市場動向

マーケット情報TOP
■市場規模推移及び予測(2006~2013年 ワールドワイド数量ベース)

年次 2006年(実績) 2007年(実績) 2008年(見込) 2009年(予測) 2010年(予測) 2011年(予測) 2012年(予測) 2013年(予測)
数量(千t) 30,250 34,500 38,500 43,000 47,500 52,000 56,000 60,000
対前年比(%) 114.0 111.6 111.7 110.5 109.5 107.7 107.1
富士経済調べ
上記に示した数量はニートレジン或いはコンパウンド品として販売された合計値の推移である。但し、ニートレジンでの販売は微量であり通常はコンパウンド品として販売されている。

中国・アジア地域では成形技術の蓄積が進んでいることもあり、コネクタやボビンなどLCP採用電子部品の量産化が急速に進展している。そのため、今後ともアジア地域における小型精密電子部品の生産拡大を反映して年率11%前後の伸張率を示すものと推測される。

LCPは日本からの輸出比率が高いため、原油価格の高騰や近年の円高傾向がマイナス要因となっている。

■用途別需要先

用途分野 用途部位例
電気/電子 コネクタ(SMTコネクタ):FPCコネクタ、ボードtoボードコネクタ、CPUソケット用コネクタ(メモリーカード用コネクタ)、カードエッジコネクタ、光コネクタ等
その他電気電子(SMT部品)
ボビン:LCDバックライト用ボビン、コイルボビン、フラットボビン、トランスボビン、磁気ヘッドボビン等
リレー:リレーケース、リレーベーススイッチ、リフローディップスイッチ、タクトスイッチ
センサー:センサーケース
車載用:リレー、スイッチ
抵抗器:コンデンサ、ボリューム、トリマー
AV・OA 光ピックアップ部品:光ピックアップレンズホルダ、光ピックアップベース→主にDVDやCDの光ピックアップ向け
その他:マイクロモータ(HDDモータインシュレータ、モータ端子)レーザプリンタ部品(ドラム部品)等
繊維/フィルム 繊維:魚網用ロープ、光ファイバーテンションメンバ、不織布等
フィルム:高周波対応FPC用ベースフィルム、銅張積層板ベースフィルム
コネクタ
LCPは0.5mmピッチを切る狭ピッチコネクタで優れた特性を評価されている。難燃剤レス、難燃性、耐熱性、精密成形性が高いため、軽薄短小な成形加工品に適している。

電子部品のファインピッチや薄肉化により、高い流動性と耐熱性が要求されるケースではLCPが不可欠となっている。主にボードtoボード、FPC向け等の薄肉成形タイプのコネクタに用いられる。携帯電話内のコネクタでは通常、設計段階からLCPとされることが多く、数十個あるうちの8割程度はLCPコネクタである。

芳香族PAは大型メモリーソケットやボード挿入部等の大型・多ピンタイプのコネクターが主流である。比較的耐熱性の低い箇所ではLCPよりも芳香族PAが用いられる。0.5mmピッチ以上の汎用コネクタでは芳香族ナイロン(PA9T、PA6T)等の特殊エンプラでもコネクタの要求特性を満たす為、LCPと芳香族PAが競合し、結果的に価格競争にもなっている。

競合の芳香族PAでは難燃剤を配合すると成形性が劣る一方、LCPは芳香族PAよりも割れやすい欠点がある。このためLCPはPAで成形できない箇所のコネクタに多く用いられる。

近年はパソコンのCPUソケット、メモリーソケット等でもLCPが採用され、また、液晶テレビ1台で30~40個のFPCコネクタを使用する。

その他電気電子
ボビンやリレーに採用されるケースが多い。ボビンは熱硬化性樹脂が主流だが、耐絶縁電圧性等が必要な特殊ボビン向けでLCPが採用されている。ボビンやリレーはⅠ型が主流である。SMT部品では基板上に取り付けた後、直接に熱が伝わるため耐熱性が求められる。リレーも薄肉で変形し易い為、Ⅰ型が採用されている。

液晶テレビのインバータートランスのバックライトボビンにもLCPのⅠ型が採用されている。およそ4,000~5,000トンクラスの需要量とも見積られている。住友化学がメインサプライヤーであり、一部新日石化学やソルベイも供給している。但し、当該用途はCCFLタイプのバックライトで用いられるため、今後LEDバックライトに置き換えが進んだ場合、需要が消滅する可能性も指摘されている。

■参入企業とメーカーシェア(2007年 ワールドワイド数量ベース)

メーカー名 シェア(%)
ポリプラスチックス 26.1
住友化学 23.8
デュポン 14.5
新日本石油 9.6
ティコナ 9.3
上野製薬 8.1
東レ 4.3
その他(Solvay、SABIC、DIC、他) 4.3
合計 100
富士経済調べ

コネクター用途は、世界的にポリプラスチックスが高いシェアを有している。日本では、ポリプラスチックス、東レ、上野製薬、住友化学の順番と見られる。

ポリプラスチックスとティコナは互いに「ベクトラ」を展開しており、ポリプラスチックスが主にアジア、ティコナが主に欧米で販売している。

新日本石油とソルベイは互いに「ザイダー」を展開し、新日本石油が主にアジア、ソルベイが主に欧米で販売している。

欧米市場では、ティコナ、デュポン、ソルベイの、住友化学、SABIC(旧LNPエンプラ)が強い。

上記以外のその他参入メーカーとしては、大塚化学「ポチコン」「テラウェイブ」、アールティーピー等が挙げられる。

■技術開発動向(2007年)
LCPは製造工程で着色しやすいため、光学部品のように外観が重視される用途や白色性が求められる部品では採用が乏しい。しかし新日本石油はレジンの白色化に成功し、独自のコンパウンド手法によって高反射グレードを開発している。

LEDバックライトの樹脂性反射板は、LEDの高出力化により変色しやすいため、耐熱特性と白色性が要求されている。またチップと端子の接着には導電接着剤から金+ハンダの使用へ移行している。これに伴い同工程では290~320℃/2分に耐えうる耐熱性が求められている。

■今後の方向性
LCPは工程や装置内部用のコネクタ向けに使用されて来たが、今後はIOソケットやワイヤーハーネスコネクタ等の人手に触れるコネクタにも採用が進むものと見られる。

従来のPBTコネクタは数十ピン/個がメインだが、ファインピッチに適したLCPコネクタは数百ピン/個が可能である。このためLCPコネクタ1個でPBTコネクタの5~10個分を代替できることになり、コストダウンや部品点数の削減、スループットの向上に役立つ。LCPの誘電特性を活かしたフィルム向けで高周波対応の採用が拡大する可能性がある。

参考文献:「2008年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」
(2008年5月23日:富士キメラ総研)


戻る