HV、EV、FCV用次世代電装部品市場(市場規模推移)

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HV、EV、FCVは2020年には900万台を超え、世界の自動車生産の8.5%を占めると予測される。今回は急激な転換期を迎えたカーエレクトロニクス市場にスポットを当て、2020年までの世界の自動車用電装システムや機器市場と技術動向についてレポートする。

■自動車生産台数予測

項目 2010年見込 2015年予測 2020年予測 10年比
HV 972千台 3,505千台 7,350千台 7.6倍
EV 13千台 530千台 1,705千台 131.2倍
FCV 僅少 1千台 8千台 15年比 8倍
次世代自動車合計 985千台 4,036千台 9,063千台 9.2倍
自動車 合計 68,820千台 92,320千台 106,000千台 154.0%
次世代自動車シェア 1.4% 4.4% 8.6%  
世界の自動車市場はHV/EVの成長が著しく、市場ではBRICsの生産量が10年比1.9倍に拡大する一方、日産の米市場への「リーフ」投入もあり、いよいよEV市場が本格化してきている。
EVは究極の環境対策車と言われるが、電気を使用するため一回の充電でどれだけ走行距離を延ばせるか、どれだけ無駄な電気を使わないようにするかといった「電費」対策が必要とされる。例えばトヨタ自動車の「3代目プリウス」はソーラーパネルを搭載し、更に炎天下で駐車中に室内の熱気を排出する「ソーラーベンチレーションシステム」をオプション化するなどの対策が講じられている。
一方、視覚認知から動的操作までの反応時間短縮を目指したHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)技術の導入が注目されており、今後、通信、エネルギー、ディスプレイ、インターフェースなどで普及しているICT技術が自動車にも広く採用されていくことが期待される。

■車載電装部品分野別市場推移 (メーカー出荷額ベース)

分 野 2010年見込 2015年予測 2020年予測 10年比
HV/EV関連デバイス 1,811億円 1兆1,275億円 1兆9,787億円 10.9倍
次世代車載デバイス 1,750億円 3,775億円 8,327億円 4.8倍
HV/EVや燃料電池車(FCV)など次世代自動車生産は2015年には2010年比4.1倍、2020年には同9.2倍に拡大し、世界の自動車生産台数の8.6%、900万台超に達すると予測される。
HV/EV関連デバイス市場では、リチウムイオン電池の価格が高く、HV/EVの普及拡大に向けてリチウムイオン電池の大幅なコスト低下が求められている。HV/EV生産の中心である日本の2010年市場規模は1,498億円と見込まれ世界の83%を占める。2020年には8,125億円、40%強の市場と予測される。
次世代車載デバイス分野は、通信・ネットワーク、エネルギー関連、ディスプレイ・インターフェース、パワーデバイス・半導体関連、次世代テクノロジーを対象とした市場規模で、2010年は1,750億円の見込であるが、2015年には10年比2.2倍、2020年には10年比4.8倍に達すると予測される。先進国における自動車の「電子制御化」「電動化」の進展や、「安心/安全」「快適」「環境に優しい」車両へのニーズの高まりにより、今後大きく市場が拡大すると期待される。
次世代テクノロジーは安全系や快適・便利系の技術が主力であり、採用実績がないものやニッチな実績に留まっている技術が多い。その背景には世界不況を境に先進の安全系システムや快適・便利系のインフォテインメント(情報+娯楽を融合させる技術)系システム開発は先送りにして、燃費/環境に対応する技術と低コスト生産技術の開発を最優先しているからとみられる。
バイオメトリクス、飲酒運転防止システム、居眠り運転防止システム、路車間/車車間通信、ジェスチャーインターフェース、クルマから位置情報を取得してカーナビなどに送るプローブ情報システム、次世代車載ネットワークなどの快適・便利系、安全系の先進技術は、2020年までには実車搭載が充分に可能なものの優先順位が低い。
次世代給電システムは燃費/環境系への対応としてEV普及には欠くことの出来ない技術である。路車間/車車間通信の一部も、給電システムと密接な繋がりのあるスマートグリッド関連技術である為、EVなどの普及に連れて大きな発展を遂げる可能性が高いと見られる。

■注目電装品群市場

注目製品群 2010年見込 2016年予測 2020年予測 伸長率
リチウムイオン電池 2.9万台
259億円
649.5万台
8,605億円
33.2倍
モータ(駆動/発電用) 177万基
1,018億円
1,258万基
6,880億円
6.8倍
スマートグリッド用ECU(V2G/V2H) 13.5万台
6.8億円
89万台
40.9億円
6.0倍
次世代給電システム
(急速充電器)
2千基
58億円
8万基
1,445億円
24.9倍
※V2G(Vehicle to Grid):PHVやEVで生まれた電力を電力会社網に送るシステム
※V2H(Vehicle to Home):電気自動車に搭載された蓄電池のエネルギーを家庭内で利用するシステム
リチウムイオン電池は価格の高さが普及を妨げてきたが、2010年以降は生産量の伸びとともに価格が低下し、搭載車種が増加すると見られる。現在はセルあたり50Aが最大電気容量であるが、将来的には70A程度まで高容量化を図ることが可能と推測される。2020年までの次世代自動車は、HVが主流になると思われ、リチウムイオン電池搭載比率も高まることが予想される。市場としてはHVの普及が進んでいる日本国内市場が主力となる。次いで、スマートグリッドなど電力エネルギーマネージメントを推進するNAFTAで市街地においてEVの普及が進むと思われる。
モータは、今まで次世代自動車を牽引してきたトヨタ自動車、本田技研工業以外のメーカーからもHV、EVの発表があり、市場拡大が見込まれる。現在、HVには2基搭載されているが、2013年ごろからコンパクトタイプのマイルドHVやストロングHVの1モータシステム比率が高まることが予想される。
V2G/V2Hは蓄電池エネルギーを宅内で利用するソリューションとして、PHVやEVを移動手段として使わない時に大容量の車載蓄電池を電力貯蔵装置として利用する機能を有している。米国では、V2Gの実証実験や検証が早期から進められて、PHVやEVの充電インフラの構築も積極的に行われており、投入計画も他国より進んでいるためV2GやV2Hを導入する環境は整いつつある。西欧や北欧では、政府がEV普及施策などを積極的に進めており、再生エネルギーが豊富な国が多いため、それらを組み合わせたシステムの実証実験が今後進んでいくと思われる。
2016年以降、北米や欧州などでは実証実験の検証が終わりつつあり、V2GやV2Hなどの本格導入が進むが、導入は慎重にゆっくりと進行すると考えられる。一番導入が早いと思われるNAFTAでは、V2Gの2016年の市場規模は8万台、2020年には40万台と予測される。欧州では、車載器からの制御システム導入が開始されると考えられ、2016年3万台、2020年25万台の市場規模と予測する。日本では、実証実験や検証が2016年以降になり本格的な導入が2020年ごろになると考えられる。
近年、HVやEVのバッテリーに充電する急速充電器が出回って来ており、普通充電の30分の一程度になってきたが、15分程度掛かるため更に時間を短縮する方法が考えられている。北米では、普通充電器のインフラ整備が進んでおり、そこに急速充電器の追加あるいは置き換えで普及が進むと考えられる。北米、欧州では、それぞれ25千基、40千基の販売台数になると予測される。カートリッジ式やネットワーク型も2015年以降に市場導入されると考えられる。
日本国内では2020年に5,000基設置を目標に掲げ、2010年で400基の設置が見込まれるが、規格が標準化されていないために普及は遅れている。

参考文献:「車載電装デバイス&コンポーネンツSelect2011
下巻:HEV/EV関連デバイス・ネクスト車載デバイス編」
(2010年11月09日:富士キメラ総研)


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