機能性高分子フィルム市場 市場動向2

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電気・電子、自動車等、最終製品の軽薄短小化、高性能化に伴い、フィルム資材に要求される機能は、年々多機能化、高機能化の度合いが強まりつつある。また、市場拡大や応用用途の多様化とともに参入企業間の競争が激化しており、従来日系企業の得意としてきた分野でも、韓国、台湾、中国などの海外企業が台頭してきている。海外企業はコスト競争力を武器に市場での存在感を強めており、日系企業は従来以上に技術力での差別化を図る必要に迫られている。

機能性高分子フィルムの市場動向、第二回目は機能差別化を武器に市場拡大を続けている高分子フィルムの注目製品を取り上げ、その動向をまとめた。

<注目製品の市場規模> 単位:億円
製品名 2010年(実績) 2011年(見込) 対前年比
輝度向上フィルム 2,220 2,550 114.9%
転写フィルム 555 575 103.6%
透明蒸着フィルム 243 261 107.4%
バイオ・生分解性フィルム 50 62 124.0%
※透明蒸着フィルムは「国内出荷+輸出」分を表す。その他はワールドワイドの市場規模である

■輝度向上フィルム
プリズムシートおよび反射偏光板(DBEF)を対象とする。プリズムシートとは、PETフィルム上に光硬化系樹脂を三角形に形成し、光効率を向上させたバックライトユニットに組み込むフィルムである。2010年の市場は、1億5,700万m2、2,220億円となった。LCDパネル市場の拡大により、面積ベースでは市場が拡大しているが、単価下落が激しく金額ベースの伸びは面積ベースのそれを下回る。反射偏光板(DBEF)では、バックライト光源のLED化に伴い、輝度向上要請が強まり、LED-TVなどでの採用が拡大している。TV以外にも、省電力ニーズの強いスマートフォン向けパネルなどで需要が拡大している。

■転写フィルム
成形同時加飾転写システム(フィルムインモールド成形)に使用される加飾付与フィルムが対象となる。成形同時加飾転写システムは、ベースフィルムに印刷または蒸着の図柄を施し、金型内に挿入し射出成形の熱と圧力により図柄がベースフィルムより剥がれ、成形品に金型内で転写する加飾工法で多用されている。

不況の影響から一時的な需要の落ち込みをみせたものの、2010年の市場は回復に向かい、4,950万m2、555億円となった。市場の牽引役となっている携帯電話に加え、ノートPCでも採用が拡大している。また、ノートPC向けでは、携帯電話に比べ個体あたりのサイズメリットがある点も、市場拡大のプラス要素となっている。塗装加工法から大幅に代替していく可能性は低いが、電気・電子機器用途では、多機能化に加えて外観のデザイン性が商品開発において重視される傾向にあり、また、成形物に加飾フィルム自体を貼り付けるフィルムインサート成形に比べ、成型仕上がり品質の良さや、コスト面で優位にある。

■透明蒸着フィルム
無機物を真空中で蒸発させ、ベースフィルム上に薄膜を形成したもので、ガスバリア性、水蒸気バリア性を発揮する透明バリアフィルムで保香性にも優れるこのフィルムは、気密性の高さ、透明性(内容物の確認、製造時の異物混入や噛み込みシールチェック、在庫管理や通関検査などが容易にできる)、電子レンジや金属探知機の使用が可能なことなどが採用ポイントとなっている。

2010年の市場は1万6,700トン、243億円となった。主要用途である菓子関連市場の成熟化、競合フィルムの存在などから伸びは鈍化している。他方、輸出は好調で、レトルト用が欧州、北米を中心に需要拡大しており、アジア圏での需要増加も期待される。非食品用途では、太陽電池バックシート用が拡大しているほか、経腸栄養剤など医療関連用途でも需要が拡大している。食品用途の成長は低いものの、非食品用途、輸出などの需要拡大により、今後も年率5%前後の成長が予測される。

■バイオ・生分解性フィルム
バイオマスプラスチック及び生分解性プラスチックフィルム・シートを対象とする。バイオマスプラスチックとは、植物を原料とした樹脂で、サスティナブルケミストリーとして期待されている。PLA(ポリ乳酸)が代表的であるが、近年はバイオPEやバイオPET、バイオPCなど、既存の石油由来樹脂の原料の一部をバイオマス由来とした樹脂が注目されている。一方、生分解性プラスチックは、「生分解」機能を訴求した樹脂の総称であり、植物・石油両原料から製造可能である。以前は、生分解性を訴求した樹脂が多かったが、近年は地球温暖化や脱石油のトレンドから、バイオ由来(植物由来)がトレンドとなっている。ただし、地域差があり、欧州では堆肥化可能な生分解性樹脂のニーズが高いものの、日本ではCO2削減や環境対応をPRする目的で採用されるケースが多い。

バイオ・生分解性フィルム市場は、2009年に景気悪化の影響を受け若干の需要減があったものの、2010年には回復している。PLAは、シートが大半を占め重量ベースでは最も多く、透明容器として使われる。大手スーパーがPLAを含めたバイオプラスチックの採用に積極的な姿勢を見せている。一方、生分解性フィルムは、農業用マルチフィルム需要がメインである。2009年は景気悪化から減少し、2010年は再び拡大しているものの、今後国内では大幅な需要増は難しいとみられる。

参考文献:「2011年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望」
(2011年03月02日:富士キメラ総研)


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