耐熱・透明ポリマー市場 市場概況

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今回より耐熱透明性ポリマー市場についてレポートする。総括的な市場動向の解説と注目ポリマー樹脂の動向をシリーズで紹介していくことにする。

尚、ベースとした調査データの収集時期が2010年2月~4月のため、東日本大震災による市場への影響は考慮されていないので留意願いたい。

■耐熱・透明ポリマー市場の概況
2008年からの世界的な不況は、耐熱性、光学特性に優れるポリマー市場にも大きな影響を与えた。耐熱性、光学特性という機能を活かし、需要先である電気・電子部品や自動車部品が多いことが、影響が大きかった要因である。

2009年第2四半期以降からは、フラットパネルディスプレイ関連市場が回復し、また自動車や産業機械関連も新興国を中心に市場が回復しつつある。現状は超耐熱性ポリマーの採用が加速しており、ポリマーの高機能化やコンパウンド技術を駆使し、各社が参入している。

■耐熱・透明ポリマー市場の推移(ワールドワイド)

分野 2009年 2010年見込 2013年予測
耐熱ポリマー 1兆6,952億円 1兆8,308億円 2兆1,193億円
透明ポリマー 4兆7,915億円 5兆637億円 5兆9,171億円
合計 6兆4,867億円 6兆8,946億円 8兆364億円
2009年の市場は、2,295万トン(前年比2.8%増)、6兆4,867億円(同1.2%増)となった。数量ベースでは、耐熱ポリマーが7.1%、透明ポリマーが92.9%を占める。

※上記市場規模の数値に含まれる対象製品群
耐熱ポリマー LCP、耐熱PA、変性PPE、PPS、PSU、PES、PAR、PI、TPI、PEI、PAI、PBI、PEEK、PCT、SPS、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂
透明ポリマー PC、特殊PC、PMMA、MS樹脂、PS、ABS樹脂、SBC、PMP、環状ポリオレフィン、フルオレン系ポリエステル、PEN、脂環式エポキシ、透明PI、透明PA、透明フッ素樹脂、PLA、導電性高分子、透明エラストマー

■耐熱ポリマー市場の概況
エンプラ、スーパーエンプラ、熱硬化性樹脂など、耐熱性の高さを主な特性とするプラスチックが対象で、耐熱性の他にも機械的強度、耐摩耗性、耐衝撃性、寸法安定性、耐薬品性、電気的特性などを有しており、電気・電子部品や自動車部品など多様な用途展開を可能としている。市場は2008年、2009年と2年連続縮小した。

優れた耐熱性を有することを前程として採用されるケースが多いが、一部では光学分野、特殊分野での採用がみられる。LCP(液晶ポリマー)フィルム・繊維、PES(ポリエーテルサルホン)フィルムが特殊分野で、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が光学分野で採用されているが、全体に占める割合は小さい。

耐熱ポリマーは電気・電子と自動車の2大分野でニーズが高く、自動車分野ではエンプラからスーパーエンプラへの切り替えもあるが、耐熱PA(ポリアミド)のように車体軽量化を目的として金属を代替する例もある。

自動車分野で使用される耐熱ポリマーは耐熱性のほか、各々が持つ諸物性(耐薬品性、寸法安定性、低温特性など)により使い分けられているとみられる。電気・電子分野(車載電装品関連も含め)では、鉛フリーハンダ対応、SMT(表面実装技術)対応など、使用環境がより厳しくなっており、樹脂に対して高耐熱性が求められるようになっている。そのため、従来エンプラを使用していた用途で、より耐熱性の高いスーパーエンプラに切り替える動きが強まっている。PA6やPA66、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などから耐熱PAなどへのシフトがその例として挙げられる。

電子部品で使用される高耐熱ポリマーの代表はLCP、耐熱PA、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などであり、エンプラからの切り替えにより需要が拡大する一方、耐熱ポリマー間の競合が激化している。

■透明ポリマー市場の概況
透明ポリマーは、非晶性樹脂など透明性を有する樹脂を対象とした。既存グレードを改質することで透明性を向上させているケースや、もともと光学樹脂として開発されたケースなど、製品化に至った経緯は様々である。2009年の透明ポリマー市場は、新興国向けの需要が堅調であったことから前年を上回り、2010年以降は年率5%程度の伸びが予想される。

光線透過率、低複屈折率など、光学特性を活かした用途に展開されており、PC(ポリカーボネート)樹脂の光ディスクや光学フィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)導光板、MS(スチレン-メチルメタクリレート)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂の拡散板、環状ポリオレフィンの光学フィルムや光学レンズ、LED封止材、輝度向上フィルムといった多くの製品に使用されている。

これらの用途は、光学特性のみならず、耐熱性、寸法安定性(低吸湿性)、強度などの他の物性にも高い要求がある。これに加えて、成形性、生産性、コストなどの点からも取捨選択される、競合が特に激しい分野として位置付けられる。なお、透明ポリマーは、あまり光学用途に使われないABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)、PAの需要量が多いため汎用領域が大部分を占めている。光学分野は透明ポリマー全体の4.3%(数量ベース)に過ぎない。

ABSの自動車用途、PMP(ポリメチルペンテン)のFPC(フレキシブルプリント基板)用離型フィルム、LCD反射シートなど電気・電子用途、高圧ゴムホース用マンドルなど産業資材用途、電子レンジ対応など耐熱容器・包装資材用途、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなど耐熱性を特に重視した用途にも展開されているが、耐熱分野は透明ポリマー全体の2.4%(数量ベース)に過ぎない。

参考文献:「2010年 耐熱・光学ポリマー/特殊コンパウンドの将来展望」
(2010年04月15日:富士キメラ総研)


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