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今回は耐熱・透明ポリマーのコンパウンド市場について解説する。主たる機能用途別コンパウンドの2009年次の市場規模は開の通りとなっている。
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■特殊コンパウンドの市場概要(2009年) |
機能区分 |
市場規模(t) |
構成比(%) |
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導電・帯電防止 |
74,550 |
81.8 |
巨大なマーケットが有るも、新しい帯電・導電ニーズに対応 |
摺動性 |
10,000 |
11.0 |
注目度は低い |
耐熱性 |
2,650 |
2.9 |
一部、耐熱の付加価値を上げたい展開が有り |
電磁波防止 |
1,500 |
1.6 |
新規開発材料などがトライアルされている |
放熱性 |
300 |
0.3 |
導電放熱、絶縁放熱、それぞれに高いニーズ有り |
誘電率制御 |
50 |
0.1 |
次世代アンテナへの採用の可能性が高い |
その他 |
2,071 |
2.3 |
光デバイス等へ応用が期待されるものの研究開発段階 |
合計 |
91,121 |
110.0 |
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導電・帯電防止コンパウンドは、金額ベースでは既に600億円規模の市場を形成している模様(富士キメラ総研推定)。用途はICトレーやエンボスキャリアテープ、半導体・HDD搬送用トレーなどが主体である。
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放熱コンパウンドの注目度は最も高く、既存の放熱用途以外で想定されている用途が多数あり、特に各種電子機器筐体、自動車、LED関連などが挙げられる。導電放熱グレードは多数存在しているが、絶縁放熱でコストダウンに成功すれば採用が大きく拡大する見込み。トレードオフとして耐衝撃性を改善する必要がある。樹脂種はLCP、耐熱PA、PPS、PARなど耐熱性の高い樹脂でのトライアル事例が中心となっている。
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各社、導電グレードは開発が進んでおり、エンプラを中心に導電グレードのラインアップがされている。帯電防止用途がメインだが、火花防止や導電部品などへの展開も一部応用されている。
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摺動性についても、POMをはじめギアなどの部品向けに摺動用途として利用されており、汎用グレードに近い位置付けである。
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耐熱性コンパウンドは、各社考え方が異なるため基本的に樹脂特性に左右される傾向があり、耐熱性訴求ではLCPなどで高付加価値グレードが製品化されている。
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電磁波防止コンパウンドは、SUS繊維を使うことからも軽量化ニーズがあり、これに対する新規の開発品もいくつか上市されている。電子機器の発達により、電磁波防止ニーズが増えているとみられる。
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誘電率制御では、既存アンテナではなく、次世代アンテナの高機能化に寄与する材料であり、今後市場が拡大する可能性が高い。
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光学特性の改善コンパウンドは、まだ開発段階が多く実用性に遠いが、LEDやイメージセンサの屈折率向上コーティングなどが発売されており、市場形成する可能性がある。LEDのパッケージは、白色度・耐候性・熱ストレス緩和ニーズなどがあり、各社開発が進められている。
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■今後の注目コンパウンドと技術的方向性 |
- 導電・帯電防止コンパウンド
- すでに巨大なマーケット確立も、カーボン脱落などのニーズがある。
- 電磁波防止コンパウンド
- 軽量化ニーズがある(電磁波防止ニーズは、今後拡大していくとみられる)。
- 放熱コンパウンド
- 絶縁放熱の実現で自動車関連など用途の広がりに期待/LED関連も有望。
- 誘電率制御コンパウンド
- 次世代アンテナ(ワンセグ、無線関連など)への採用に期待。
- LEDパッケージなど
- 各社コンパウンド技術で、白色度・耐候性などの機能要求へ対応。
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参考文献:「2010年 耐熱・光学ポリマー/特殊コンパウンドの将来展望」 (2010年04月15日:富士キメラ総研)
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