■注目製品の市場動向 |
■スチレン・ブタジエンゴム(SBR) |
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2010年実績 |
2015年予測 |
10/15年伸び率 |
数量 |
480万トン |
674万トン |
104% |
金額 |
14,400億円 |
20,752億円 |
144% |
(SBRは重合方式によりE-SBRとS-SBRに分かれる)
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自動車の生産に連動して新車用やアフター需要が拡大している。リーマンショック後、中国でのSBR需要の回復が早く、2009年には前年比で約3%増加した。燃費規制が世界的に高まるなか、S-SBRが省燃費タイヤ向け需要を拡大しており、需給がひっ迫している。
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2011年以降、世界市場の25%、27%を占めるアメリカ/ヨーロッパでも需要が回復し、S-SBRの需要の拡大が継続し、年率7%程度で2015年に向けて拡大すると予測する。 |
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中国やその他アジアでは、日本や欧米からのタイヤメーカーの生産シフトによってSBR生産が拡大し続けている。インドでも自動車需要の増加から急速にSBR需要が高まっている。インドだけで2010年で10~12万トンと見られる。 |
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ヨーロッパでは、1012年から省燃費タイヤのラベリング制度が始まるためS-SBR需要が高まり、制度基準に合わせたSBRの開発が課題となっている。合成ゴムメーカーは低燃費をはじめ低騒音、軽量化、長寿命化、走行安定性や制動性向上など自動車用タイヤの高性能化への求めに対応した材料開発が求められている。S-SBRの需要が世界的に増大する見通しから、日系メーカーであるJSR、日本ゼオン、旭化成ケミカルズなどは相次いでアジアでのS-SBRプラントの新増設計画を打ち出しており、アジアで生産量拡大を目指している。 |
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■ポリブタジエンゴム(BR) |
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2010年実績 |
2015年予測 |
10/15年伸び率 |
数量 |
285万トン |
380万トン |
133% |
金額 |
9,070億円 |
12,460億円 |
137% |
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2010年の世界市場は前年比6%増加した。2011年以降も年率6%程度で拡大していくと予測する。中国、アジア、東欧で自動車の需要が拡大しており、それに伴って新車用、交換用のタイヤ需要が拡大し、タイヤ向けに採用されるBR需要も拡大する見通しである。また低燃費タイヤの需要拡大により、特に日本や欧米などで耐摩耗性や低温特性に優れるハイシスタイプタイヤの需要が拡大する見通しである。
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世界市場ではランクセス(ドイツ)がトップシェアを占めるが、中国系メーカーSINOPEC、中国石油集団との差は急速に縮まっている。宇部興産は高い技術開発力を持ち、千葉工場、中国、またタイでも2015年に向けてBR生産能力の増強とを計画している。
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■スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロックコポリマー(SBS) |
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2010年実績 |
2015年予測 |
10/15年伸び率 |
数量 |
110万トン |
126万トン |
115% |
金額 |
2,530億円 |
3,200億円 |
126% |
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SBSは、常温で優れた弾性を持ち、成形加工も容易という特長を持つ。アスファルト改質、PS(ポリスチレン)樹脂改質、靴底材料として広く世界に普及している。
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2008年から2009年にかけ日本や欧米などでは需要が減少した一方で、オリンピックや万博の開催を控え道路整備などの大型公共工事が進められていた中国ではアスファルト改質向けの需要が旺盛となり、同地域の需要が牽引する形で世界の販売量は増加した。中国の旺盛な需要に応じて、台湾や韓国のSBSメーカーが生産を拡大している。
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2011年以降も中国を中心にアジア地域の需要が市場を牽引していくと予測される。ただアジア地域ではコストダウンの必要であり、大ロットの低価格品と小ロットの高付加価値品の二極化が進む傾向にある。
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クレイトンポリマー(アメリカ)はプラスチックなど高分子製品の世界最大手メーカーで、「クレイトン」ブランドは世界的に知名度が高いが、生産面、販売面において徹底した合理化を図っており汎用的な低価格品の競合を避ける傾向にあることから、汎用グレードでは台湾や韓国のメーカーがシェアを高めている。日本では、旭化成ケミカルズのSBSの商品化が早く、アスファルト改質及びPS改質用途でトップシェアを占めている。
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■α-オレフィンコポリマー |
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2010年実績 |
2015年予測 |
10/15年伸び率 |
数量 |
45万トン |
66万トン |
147% |
金額 |
2,000億円 |
2,900億円 |
145% |
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バンパー、インパネなど自動車向けPP(ポリプロピレン樹脂)改質用の需要が約70%を占める。ゴムに似た特性を有しながら成形材料として熱可塑性樹脂と同様に使用でき、またオレフィン系樹脂との相溶性も良く耐衝撃性などを改善する改質材として使用される。
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2009年後半から中国をはじめ新興国の需要が急回復し、2010年の販売量は前年を大きく上回った。今後も中国を中心としたアジア地域において旺盛な需要が期待でき、現在シンガポールで年産20万トンの生産能力を有する三井化学に加え、ダウ・ケミカルやエクソンモービルもアジアでの生産を開始する。中国をはじめとしたアジア市場が牽引してこの販売は順調に拡大していく見通しである。
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α-オレフィンコポリマー大手のダウ・ケミカルなどが事業展開しているヨーロッパやアメリカでの需要比率が高い。また近年自動車の生産台数が急激に拡大している中国の需要が大幅に伸びている。また中国では包装資材や建築資材、電線被覆、日用雑貨向けなど幅広い用途で需要が伸びており、今後も大幅な拡大が見込まれる。東南アジアやインドなどでも自動車向けをはじめ幅広い用途で需要拡大が予測される。これに備えて、三井化学に次いでダウ・ケミカルやエクソンモービルもアジア地域での大規模な能力増強を予定している。
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尚、出典元の調査資料では各対象品目別に世界の市場規模推移や日本、アジア、欧米などの地域ごと用途別の需要、参入メーカーの生産動向や販売動向、また価格動向、技術開発動向、他の材料との競合状況、流通構造を明らかにしている。詳しくは、出典資料を参照ください。
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参考文献:「2011年 高機能エラストマー&コンパウンドのグローバル展開」 (2011年07月01日:富士経済)
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